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飲酒運転対策には「罰則強化」よりも「アルコールインターロック」へ。

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ちょっと前にこんな記事がありました。

「息子さんが事故に、即死です」無念の遺族は“運転できなくなる装置”の義務化を目指す…撲滅どころか“増加傾向”の飲酒運転(RKB毎日放送) - Yahoo!ニュース
福岡県粕屋町で高校生2人が飲酒運転の車にはねられ、死亡した事故から9日で13年。飲酒運転はなくなるどころか、近年増加傾向にあります。撲滅を目指して活動を続ける遺族は、飲酒していると車を運転できなくな

飲酒運転への罰則強化などにより飲酒運転による事故は減っていると言われますが、事故件数がどのくらいあるかご存じでしょうか?

自動車、自動二輪車、原付が第一当事者の事故ですが、平成12年に重傷事故が3193件、死亡事故が1276件。
令和3年で重傷事故が288件、死亡事故が152件なのでだいぶ減っています。
ただまあ、この図は「重傷事故」と「死亡事故」。
事故件数でいうとこうなります。

平成24年で飲酒運転による事故が4605件(死亡事故258件)、令和4年で2167件(死亡事故120件)。

 

罰則強化は一定の成果を挙げたとも言えますが、結局のところ事故ではない検挙件数のほか、検挙されてない飲酒運転を含めたら未知数なほど飲酒運転マンがうじゃうじゃしていると予想されますが、そろそろ「アルコールインターロック」にシフトすべきだと思うんですね。

 

アルコールインターロックは、アルコールチェッカーとエンジン起動が同期したシステムですが、要はアルコールチェッカーをパスしないとエンジンが掛からない。
人間の心理なんて、心のどこかでは「ちょっとだけなら」とか「バレなきゃ問題ない」と考える人がいるわけだし、ひどい場合だと泥酔していても運転して事故を起こす。

 

アルコールインターロックならば、飲んだら物理的に運転不能になるだけなので、心の弱さは全く関係ありません。
「ちょっとだけなら」とか「バレなきゃ問題ない」と思っても、飲んだらエンジンが掛からない。

 

海外では既に導入している国がありますが、アメリカなんかだと州によっても違いますが、飲酒運転で検挙された人への再発防止策という意味合いで、飲酒運転違反者に対しアルコールインターロックを義務付けしている州や、裁判官の判断でアルコールインターロックを義務付けできたりするらしい。

 

全てのクルマにアルコールインターロックを装備するのではなく、違反者を対象にしているという点がポイントです。
全てのクルマに義務付けする方法も出来なくはないでしょうけど、全ての人が酒を飲むわけではないし、一度でも違反をした人に対する再発防止策なんでしょうね。

 

一度やった奴は信用してないという話なのかもしれません。

 

飲酒運転のうち、一部については危険運転致死傷罪の対象になります。
「一部」と書いたのは、飲酒運転全般を対象にしているわけではなく、アルコールの影響により「正常な運転が困難な状態」で運転し、事故を起こした場合になります。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

比較的最近もありました。

堺市中区で昨年12月、町内会の歳末パトロール中に男性4人が飲酒運転の車にはねられ、うち2人が死亡した事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)に問われた被告(49)に対し、大阪地裁堺支部は29日、懲役10年(求刑・懲役12年)の判決を言い渡した。荒木未佳裁判長は「運転の危険性は相当高かった」と述べた。

 

歳末巡回中の男性4人死傷、被告に危険運転致死傷で懲役10年の判決…大阪地裁堺支部
【読売新聞】 堺市中区で昨年12月、町内会の歳末パトロール中に男性4人が飲酒運転の車にはねられ、うち2人が死亡した事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)に問われた建築業猪木康之被告(49)に対し、大阪地裁堺支部は29

アルコール危険運転致死傷罪はあくまでもアルコールの影響により「正常な運転が困難な状態」で運転した場合が対象なので、裁判上は過失運転致死傷罪なのか、危険運転致死傷罪が成立するか争われることが多い。

 

この報道事例についても、弁護側は過失運転致死傷にとどまるべきと主張。

⑵ 被告人の運転開始前の挙動
ア 被告人が、本件事故の直前、カラオケスナックから駐車場に向けて歩く様子の一部を撮影した防犯カメラ映像(甲30)によれば、被告人は、歩行中、左右に蛇行する動きをすることがあったと認められる。
このような被告人の動きは、道路の形状に従った歩行とは認め難く、本件当日午後7時半頃、駐車場から居酒屋へ向かって歩く被告人には、蛇行する様子はないこと(甲31)と比較しても、ふらついていたと評価するのが相当であり、その原因は、飲酒の影響と考えるのが最も自然である。

イ 弁護人は、別の防犯カメラの映像(弁8)では、被告人はふらついていない上、カラオケスナックの経営者Gは、被告人は、同スナックを退店する際、寝込んだり、ろれつが回らなかったりする様子はなく、通常どおり会計をし、店外の急な階段をつまづくことなく下りたなどと証言したことを指摘し、被告人の行動に、飲酒の影響が現れていたことは証明されていない旨を主張する。
しかし、酒に酔った者が、歩行中に常にふらついているとは限らず、酔いの程度によっては、ある場面ではふらつき、他の場面では正常な様子で歩行するということも十分にあり得る。また、飲酒が身体に与える影響には個人差があるから、上記Gが、一見して明らかな被告人の酔いの症状を認めなかったことは、必ずしも被告人の言動や判断力等に飲酒の影響がなかったことを意味しない。弁護人が指摘する各事情は、被告人が、本件当時、合理的な言動が全くできない程度まで泥酔するに至っていなかったことを示すものではあるが、飲酒の影響を受けていたこと自体に疑問を生じさせる事情ではなく、この点を考慮しても、被告人は、飲酒の影響によりふらつくことがあったという上記評価が揺らぐことはない。

⑶ 事故現場及び事故態様
ア 上記2⑵のとおり本件道路は、車線幅が広いとはいい難いものの、少なくとも普通乗用自動車が路側帯にはみ出さずに走行するには十分な幅があり、車線が複雑に湾曲しているようなこともない直線道路であった。
また、本件事故当日の被害者らの服装には、明るい色調のものも相当含まれており
、本件事故時と類似の条件下で行った検証の際、被告人は、後方約66.99メートルの地点において、進路前方を歩く歩行者を視認できたことも認められる(甲2、25)。
そうすると、被告人が、本件事故現場において、被害者らの隊列を事前に発見し、同人らを避けて走行することは容易な状況であったと認められる。
被告人は、そのような状況下において、規制速度を20キロメートル以上上回る時速約64キロメートルで被告人車を走行させ、急制動や急転把を含む一切の回避措置をとることなく、路側帯付近を歩行中の被害者らに同車を衝突させており、衝突まで被害者らの隊列に気付いていなかったと推認されることも含め、通常ではあり得ない態様の事故を引き起こしたといえる。加えて、被告人が、運転開始からわずか約2分で本件事故を起こし、これにより被告人車が大きく破損し、相当な衝撃を受けたと考えられるにもかかわらず、そのまま走り去るなど、車両運転者として不合理な行動を続けたことをも考慮すると、被告人は、本件事故当時、注意力及び判断力等が相当程度減退していたといわざるを得ず、その原因となる事情についても、やはり飲酒の影響以外には考えがたい。

 

大阪地裁堺支部  令和5年9月29日

飲酒量、歩行状態、はみ出さずに走行できる車線幅、容易に被害者を発見可能な状況などを総合的にみて飲酒の影響以外には考えがたいと結論しています。

 

「アルコールの影響による正常な運転が困難な状態」とは、最高裁判例で解釈が示されてます。

刑法208条の2第1項前段の「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは,アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいうと解されるが,アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態も,これに当たるというべきである。

 

最高裁判所第三小法廷  平成23年10月31日

罰則を強化したり、危険運転致死傷罪として規定したとしてもまだ飲酒運転はいるし、飲酒運転による事故は存在する。
アルコールインターロックの導入が必要不可欠と思うのですが、国はさほど積極的でもない。

 

変な話、「飲酒運転するな!」で全国民が従うわけじゃないので、物理的に封鎖した方が早いはず。
平成24年に国土交通省からアルコールインターロックの指針が出てはいますが、

少なくとも一度でも飲酒運転で検挙された人に対してはアルコールインターロックを義務付けする方がいいんじゃないのかな。
技術的な問題がある…ようにも見えないし。

 

アルコールインターロックの義務付けについて国が積極的であるようには見えませんが、罰則強化は一方の対策にはなり得ても、物理的に封鎖した方がいいと思う。
動かなければ運転しようがないのだし。

 

罰則強化は一方の成果はあるけど、罰則が必ずしも抑止力になるかというとビミョー。
心の中では「どうせバレない」と思う人がいるわけで、物理的に封じたほうがよい。


コメント

  1. カモがネギしょってる より:

    自転車でも10万円くらいのコストでインターロックの機器が取り付け出来そう。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      自転車の場合エンジンではないので、あまり意味がない気もします。
      クルマについて議論が進んでいない理由もよくわかりません

  2. jukka より:

    免許証にICチップあるのだからアルコールとIC読み取り装置つけたら無免許での運転もなくなるし、国が全額補助つけてもプラスの方が多そうなのにね

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      なぜそこに踏み切らないのかわかりませんよね。
      どんな懸念があるのか謎です。

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