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横断歩行者がいるともいないとも言えない(確認できない)場合に、一時停止して確認する義務を負うか?

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道路交通法38条1項前段は、横断しようとする歩行者が明らかにいないと言い切れない場合には減速して「停止できる速度」を求めています。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。(後段省略)

死角が大きく横断歩道手前の時点で横断歩行者が確認できない場合、一時停止して確認すべきか、それとも最徐行で済むのかについては判例上はいくつか見解があります(38条2項に該当する場合を除く)。

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対向車による死角

対向車の渋滞停止による死角の場面で、東京高裁 昭和46年5月31日判決(刑事)は、一時停止して確認すべき注意義務までは認めていませんが、減速接近義務違反を認定。

検察官の控訴趣意中に、横断歩行者の有無が明確でない場合にも一時停止義務があると主張する部分があるが、この点は採用しがたい。

東京高裁 昭和46年5月31日

大型車の左折

大型車の左折する際の死角については、以下の判示があります。

横断歩道及び自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)における歩行者及び自転車(以下「歩行者等」という。)の通行の安全は、最大限度に尊重されるべきであつて、道路交通法38条も、車両等が横断歩道等に接近する場合には、「当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等により進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車……がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前……で停止できるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通過を妨げないようにしなければならない。」と規定して、その趣旨を明らかにしている。ところで、被告人は、本件当時、左斜下方等直近の死角の大きい本件生コン車を助手なしで運転していたものであつて、左折中本件横断歩道直前に達した際、左方から右横断歩道を横断し又は横断しようとしている歩行者等の存否をそのままでは確認することができなかつたのであるから、道路交通法の右規定の趣旨にかんがみ、左方向からの横断者がないと信じるに足りる合理的な理由がない限り、横断歩道直前で一時停止の上、自車に設置された各種のミラーを通じまた必要に応じて助手席に移動するなどして左方(やや前下方から斜後下方までを含む。以下同じ。)の死角を解消し、左方からの横断者がないことを確認したのちでなければ、横断歩道を通過することは許されないと解すべきである。弁護人の当審弁論は、交通ひんぱんな道路における他の交通への影響を重視する立場から大型車両の運転者が交差点を左折して横断歩道を通過する際の一時停止及び死角解消の義務(以下「一時停止等の義務」という。)を一般的に否定するかのようであるが、そのような見解は、当裁判所のとらないところである。

大阪高裁 昭和62年5月1日

この判例では「左方向からの横断者がないと信じるに足りる合理的な理由がない限り」は一時停止の上、死角消除しない限りは横断歩道を通過することは許されないとする。

 

大型車&左折という態様からこのように判示してますが、この件はガードマンが「左折OK」と指示を出していたため、「左方向からの横断者がないと信じるに足りる合理的な理由」に該当するとしています。

そもそも

道路交通法の義務があるか?の問題と、過失運転致死傷罪でいう「運転上必要な注意」は別問題なので、道路交通法の義務として一時停止を課してない場面でも判例上は一時停止して確認すべき注意義務違反を認定することがあります。

 

過失運転致死傷罪の場合、大雑把にいえば事故さえ起きなければ問われません。
誰もケガしてないのに過失運転致死傷罪に問われることは全くあり得ない。

 

なので「道路交通法で一時停止義務まではないこと」と「一時停止する必要がない」は別問題。
横断歩行者の確認のために必要があるときは一時停止した方がより事故防止にはなるでしょう。

 

なお、同一進行方向に停止車両がある場合には、

強制一時停止義務があります(38条2項)。
停止車両が違法駐停車かは問わずに強制一時停止義務。

所論は、原判示の横断歩道直前に停止していた自動車は、一時停止していたものではなく、「駐車」していたものであるから、本件において、被告人は、道路交通法38条2項にいう「その前方に出る前に一時停止しなければならない」義務を負わないのに、その義務があるとした原判決の認定は失当であると主張する。しかし、被告人の立会のもとに作成された実況見分調書によつて明らかなとおり、原判示道路は、道路標識等によつて駐車が禁止されているし、原判示自動車の停止位置は、道路交通法44条2号、3号によつても停車及び駐車が禁止されている場所であるから、かかる場所に敢えて駐車するが如きことは通常考えられない事柄であるのみならず、同法38条2項にいう「横断歩道の直前で停止している車両等」とは、その停止している原因、理由を問わず、ともかく横断歩道の直前で停止している一切の車両を意味するものと解すべきであるから、本件の場合、被告人の進路前方の横断歩道直前の道路左側寄りに停止していた自動車が一時停止による場合であると停車或いは駐車による場合であるとにかかわりなく、被告人としては、右停止車両の側方を通過してその前方に出ようとするときは、出る前に一時停止しなければならないのである。従つて、右措置をとらないまま横断歩道に進入した被告人に過失があるとした原判決に誤りはない。論旨は理由がない。

 

名古屋高裁 昭和49年3月26日


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