PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

改正道路交通法における自転車への影響①

blog
スポンサーリンク

改正道路交通法案が発表されてますが、

自転車追い越し・追い抜きのルールについて改正道路交通法案が発表されました。
ちょっと前になりますが、自転車を追い越し・追い抜きする際の新ルールができると報道されてましたが、 追い抜きに関する規定は、「自動車が自転車の右側を通過する場合、十分な間隔がない時、自動車は間隔に応じた安全な速度で進行する」よう義務づける。同...

ぶっちゃけた話ビミョーです。
その上でいくつかまとめます。

スポンサーリンク

改正道路交通法案

自転車を追い抜きする場合に関係する部分のみ抜粋します。

第十八条
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
4 前項に規定する場合においては当該特定小型原動機付自転車等は、できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない

注意点としては18条4項により「できる限り道路の左側端に寄って通行」する場合には第一通行帯の通行義務(20条1項)から除外されていること。
なので車両通行帯最外側線の外側が広い場合には、第一通行帯の外側が「道路の左側端」になりうる。

ただし後述するように「できる限り」の意味を間違うとめちゃくちゃになります。

(車両通行帯)
第二十条
3 車両は、追越しをするとき、第十八条第四項、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。

追い抜きに関する規定は、「自動車が自転車の右側を通過する場合、十分な間隔がない時自動車は間隔に応じた安全な速度で進行する」よう義務づける同じ状況で自転車には「できる限り道路の左側端に寄って通行する」義務を課す

「十分な間隔」や「安全な速度」の具体的数値は法令では規定せず、今後検討して目安を定めて示す。間隔は1~1・5メートルが基本になるという。速度については、自転車は通常時速20キロくらいで走ることが多く、追い抜く車はそれを5~10キロ上回る速度が目安になるという

自転車追い抜き時、車に罰則付き義務 ながら運転禁止 道交法改正へ:朝日新聞デジタル
警察庁は21日、道路交通法の改正原案をまとめた。車が自転車を追い抜く際、「間隔に応じた安全な速度」で進行する義務を車の運転者に罰則付きで課す新たな規定を盛り込む。自転車の交通違反に、青切符を受けて反…

まとめます。

・自転車を追い抜きする際に十分な側方間隔がないときは、追い抜き車は減速する義務がある。
目安として「十分な間隔」は1~1.5mと報道されているため、側方間隔1m以下の場合には減速(自転車の速度+5~10キロが目安)
・追い抜きされる自転車は、できる限り左側端によって通行する義務がある。つまり左側端寄り通行している自転車は、その時点で既に義務を果たしている
・これらのルールは車両通行帯の有無に関係なく適用される。
・自転車が「できる限り左側端に寄って通行」(18条4項)する際には、第一通行帯の通行義務から除外されるため、左側端が車両通行帯最外側線の外側になる場合もありうる。

実例から検討します。

普通自転車専用通行帯がある場合

最近、やたら狭い「普通自転車専用通行帯」がある場合もありますが、

改正18条3項は自転車が自転車レーンを通行し、クルマが第二通行帯から「追い抜き」する場合も適用されます
従ってこの関係において「十分な側方間隔」がない場合にも、クルマは「側方間隔に応じた減速」をしないと違反になる。

 

一方、自転車もこの場合において18条4項「できる限り左側端に寄って」の義務がありますが、

このような狭い自転車レーンの場合、自転車レーン内を通行していれば「できる限り左側端に寄って」を満たしているかと。
なお、コンクリートブロック上は通行に適さないので、コンクリートブロック上を通行する必要はありません。

 

改正18条3項、4項は車両通行帯がある場合を除外してないため、このような場合にも適用される点は自転車からするとメリットなのかもしれません。
レーンが異なる追い抜きだろうと、1m以上の側方間隔がない場合には減速して追い抜きする義務がある。

至近距離の追い抜きでも減速すれば…

これについて考えてみます。

改正18条3項は十分な側方間隔がない場合には減速する義務を定めたので、このように十分な側方間隔がない追い抜きでもきちんと減速している以上は違反ではない。
自転車も「できる限り左側端に寄って」を満たしているので、動画中には両者ともに違反がないことになります。

 

個人的には安全側方間隔を義務付けすべきと思うのですが、ちょっと気になる点。
改正18条3項って「できる限り安全な速度で進行」ではなく「安全な速度で進行」なんですね。

第十八条
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。

できる限りとは「客観的可能な限度」と解釈されますが、追い越し時安全運転義務(28条)には「できる限り」とあり、改正18条3項には「できる限り」がついていない。

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

「できる限り」とあるから、事故にならなかったケースは問題にしないみたいな冗談のような運用にもつながっていたので、改正18条3項に「できる限り」とついていないことは「事故に至らなくても違反として検挙する」意思表示なのかも。
これの真意はわかりません。

左折レーンから直進する場合

左折レーンから直進する自転車は、予め左折レーンの右寄りに移動して後続左折車を牽制することがありますが、これが後続左折車との関係において18条4項に違反するでしょうか?

第十八条
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
4 前項に規定する場合においては当該特定小型原動機付自転車等は、できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない

これをどう考えるかですが、左折車には予めその前から徐行義務があるため、直進自転車を左折車が追い抜きすることが本来あり得ない。
なので前項でいう、「車両は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合において」に当てはまらないと捉えていいのではないかと。

 

18条4項は「前項に規定する場合においては」なので、前項に当てはまらないケースなら義務は生じないはず。
つまりこのように左折レーン内で右寄りになることは問題ない気がします。

あと、「前項」は「進行している特定小型原動機付自転車等」に限定している点に注意。
停止状態を除外しています。

懸念としては

要は改正道路交通法が禁止するのは、至近距離&速度差が大きい追い抜き。
側方間隔を義務付けしてない点では懸念がありますし、車両通行帯の有無に関係ないので、下記のような場合でも「できる限り左側端に寄って通行」になります。

実例としてどうなるのかはやや疑問がありますし、穴だらけにも思えますが、今後気づいた点を書いていく予定です。
全般的にはあまり優れた改正には見えませんが。

 

あと、「できる限り」の意味を混同すると間違いの原因。

「できる限り」の意味を混同すると間違いの元。
いきなりですが質問です。 ・「左側端に寄る」 ・「できる限り左側端に寄る」 この2つを比較したときに、正しいのはどれでしょうか? ①「できる限り左側端に寄る」のほうがさらに左側を意味する。 ②「左側端に寄る」のほうがさらに左側を意味する。 ...

「できる限り」とは左側端に寄れない客観的事情、例えば左側端に駐停車車両があるとか、ガラス片が散らばっているとか、左側端が荒れていて左側端が通行できない場合には除外する意味。

要は18条1項と内容が同じなので左側端寄り通行している分には特にすることはないです。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び一般原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号イに該当するものをいう。以下同じ。)にあつては道路の左側に寄つて、特定小型原動機付自転車及び軽車両(以下「特定小型原動機付自転車等」という。)にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない

「できる限り左側端に寄って」とは、「左側端に寄って、ただし道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない」と同じ意味。

 

「できる限り」とは、道路や交通の状況等に鑑み支障のない範囲における可能な限度を意味する。

 

木宮高彦、詳解道路交通法、有斐閣ブックス、1977、p90

できる限りとは道路や交通の状況等をかんがみ支障のない範囲における可能な限度を意味すると解され、単に運転者の主観において可能な限度を持って足りると解すべきではない

名古屋簡裁 昭和46年9月14日

安全てはない範囲まで左側端に寄れという意味ではなく、道路状況に応じた可能な範囲における限度。
要は左側端が荒れていて通行に適さない場合や、ガラス片が散乱していて寄れないなどの場合を除外する意味で「できる限り」としている点に注意。
もちろん通行に適さない側溝上に乗り上げる必要もありません。

 

個人的にはまあまあビミョーな改正案だと思うのですが…
続きはこちら。↓

 

改正道路交通法における自転車への影響②
こちらの続きです。 これって自転車の立場でシンプルにいえば、 これが重要。 既に左側端寄り通行している自転車は、さらに何かをしろという話ではない。 第十八条 3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している...

 


コメント

  1. upmoon より:

    自転車が交通反則通告制度の対象なる以外はあっても無くても良いような改正な気がします

    モペッドに関する運転の定義も検挙しやすくなるかと言えば、結局出力機構を調べなきゃいけなくて検挙が面倒なのはかわらないような
    もしかして出力測定以前に原動機を切っていれば自転車だと思ったという言い訳が有効だったんですかね?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      運転の定義の件は、明確化したいだけで運用に影響しないでしょう。
      追い抜きについても、むしろ無くていい気がするのですが…

  2. kueharaaz より:

    二つ前のポストで質問させていただきました。

    ”左折レーンから直進する自転車は、予め左折レーンの右寄りに移動して後続左折車を牽制することがありますが、これが後続左折車との関係において18条4項に違反するでしょうか?”

    これが私の疑問でした。
    ありがとうございました。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      やはり笑。
      なんとなくそうかなと思ってました。

タイトルとURLをコピーしました