こちらで書いた件。
横断歩行者妨害事故について、「1~10キロ」でも事故が起きてますよね。
警察庁では危険認知速度と表現していますが、運転者が歩行者の存在に気がついて危険認知した際の速度。
速度 | 件数 | 割合 |
71キロ以上 | 5 | 0.2% |
61~70キロ | 29 | 1.1% |
51~60キロ | 141 | 5.4% |
41~50キロ | 519 | 19.8% |
31~40キロ | 1037 | 39.5% |
21~30キロ | 569 | 21.7% |
11~20キロ | 246 | 9.4% |
1~10キロ | 78 | 3.0% |
計 | 2627 |
これについて質問を頂いたのですが、詳しい内容は分かりませんがたぶん。
「1~10キロ」って交差点で右左折した事故例なんじゃないでしょうか。
車両が直進していて横断歩道事故が起きる場合、ほぼ確実に減速接近義務違反です。
こういうのとか(東京高裁 昭和46年5月31日、昭和42年2月10日など)。
強いて例外を挙げるなら、大阪高裁 昭和54年昭和54年11月22日判決では、時速8~10キロで横断歩道に接近してます。
この判例は、対向車の渋滞停止の隙間から現れた少女が立ち止まったことから、軽信してそのまま進行したところ、少女の後ろから弟がスキップしながら横断して衝突したもの。
せっかく減速していたのに惜しい。
けど、減速していたのに見逃したとか軽信した事例ってたぶんほとんどないと思う。
交差点で右左折した際に見逃したというなら別。
結局、減速接近が問題になる事例がほとんどだし、事故例のほとんどは横断歩道付近で速すぎる。
問題にすべきは減速接近義務なんじゃないでしょうか。
一応、理屈の上では減速接近義務違反のみで検挙可能。
減速接近義務違反のみで検挙可能にするために、昭和46年にわざわざ改正したのだから。
車両等が横断歩道に接近する場合の義務に違反した場合には、それだけで第38条第1項の違反となる。また、横断歩道の直前で停止できるような速度で進行してきた車両等が、横断歩道の直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにする義務に違反した場合も同様である。
道路交通法の一部を改正する法律(警察庁交通企画課)、月刊交通、道路交通法研究会、東京法令出版、昭和46年8月
そしてこれは法律上の問題点でもあるけど、止まれるような速度ではなかったことを警察官が立証しないと切符を切れないので、減速接近義務違反「のみ」の検挙事例はほとんど聞いたことがない。
警察庁のデータによると、21~50キロだった事故が81%を占めてます。
横断歩道の見通し次第でどのくらい減速すべきか違うとはいえ、データからすれば減速していたなら事故はほとんど防げたように見えるので、結局は減速接近義務を重視して調査や取り締まりしないと変わらないと思う。
「いたら止まる義務」ではなくて、その前に「落として警戒する義務」なので。
「落として警戒」してない車両は、いても止まれないのは物理的に当たり前なのよ。
いまだに瞬間停止する技術は開発されてないのだから。
「1~10キロ」については交差点の右左折事故だと思われますが、警察庁ってどこまで事故態様を分析しているのかはわかりません。
けどこれほどまでに「減速接近義務の問題」だとハッキリしているので、問題にすべきなのは減速接近義務の徹底としか言いようがないよね。
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