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無免許運転の代償は、同乗者にも及ぶ。

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全員16歳とのことなので、運転者が無免許だと知っていたと見なせるかと。

警察によりますと、岡山市の無職の少年(16)が運転する軽乗用車が右折車と左折車を分ける「交通島」と呼ばれる構造物に衝突したということで、少年は車外に放り出されていた状態で見つかり、病院に救急搬送されましたが重体となっています。

また後部座席に乗っていた岡山市の男子高校生(16)が重体、助手席の乗っていた久米郡の男子高校生(16)が軽傷です。

警察は、少年が無免許で軽乗用車を運転、スピードが出ていたものと見て、事故の原因について調べています。

国道30号 16歳の少年が運転する軽乗用車が交通島に衝突 無職の少年(16)男子高校生(16)が重体 男子高校生(16)が軽傷【岡山】(RSK山陽放送) - Yahoo!ニュース
きょう(7日)午前2時40分ごろ、岡山県玉野市宇野8丁目の国道30号で、通行人の男性から「車が路側帯に衝突している」と警察に通報がありました。 警察によりますと、岡山市の無職の少年(16)が運転す

これ、危険運転致傷罪の可能性がありますね。
警察の捜査次第ですが。

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危険運転致傷罪の可能性

運転者が無免許かつスピードが出て交通島に衝突し同乗者を傷害した扱いなので、2号の進行制御高速度、又は3号の未熟運転に該当する可能性が。
2号については無免許加重もあります(6条1項)。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

警察の捜査次第になります。
問題は民事のほう。

民事はややこしい

自賠法は人身損害について「運行供用者」に賠償責任を命じてます。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときはこれによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

運行供用者とは主にクルマの持ち主や運転者のこと。

 

運転者が無免許で同乗者をケガさせたのだから、運行供用者が損害賠償を支払う…という話の前に、そもそも同乗者は「他人」なのか?そして運転者が無免許だと知っていながら同乗したことについて過失相殺するのか?という問題があります。

 

ここで一つ判例を。
判例は青森地裁 平成14年7月31日。

 

事案ですが、Xが親の目を盗んで借りたクルマを無免許で運転し事故を起こし、同乗者Aが死亡
Aの両親がXとY(Xの親)に対し民法709条により損害賠償請求を、さらにクルマの所有者Zに対し自賠法3条により損害賠償請求したもの。

 

ややこしいので整理します。

人物 内容 裁判の立場
Z クルマの所有者で、Yにクルマを貸していた 被告(自賠3)
Y 無免許運転したXの親で、クルマの管理をしていた 被告(民709)
X(16歳) 親の目を盗んでクルマを借り無免許運転して自損事故を起こした 被告(民709)
A(16歳) 無免許運転したXの助手席に座り、自損事故により死亡した 親が原告

自賠責保険から3000万の支払いを受けてます。

 

まず、クルマの所有者Zは自賠法でいう運行供用者になりますが、裁判所は運行供用者責任を否定。

前記認定事実によれば、被告Zは、本件車両の保有者として、自賠法3条の運行供用者と認められる余地がある。
ところが、前記事実関係によれば、亡Aは、本件事故当時、中学時代の同級生である被告達の誘いに応じて、無免許である同被告の運転する車両に同乗したのみならず、本件車両の持ち出しの際には運転席に乗り込んでこれを容易にしたり、石持漁港からは自らも無免許で本件車両を運転し、その後、自己の携帯電話に電話がかかってきたことから、再び被告達に運転を替わってもらったのである。このような事情からすれば、亡Aは、被告達とともに、本件車両の共同運行供用者の地位にあったものと認められる。
一方、証拠によれば、被告Zは、平成12年5月に本件車両を被告Yに預けて以降はこれを使用することもなく、被告Yにその管理に委ねていたものと認められる。

このような事実関係からすると、被告Zが本件車両の運行供用者にあたるとしても、同被告の本件車両の運行に対する支配は、間接的、潜在的、抽象的であるのに対し、亡Aの運行支配は、はるかに直接的、顕在的、具体的であり、このような場合、亡Aやその相続人である原告らが、被告Zに対し、自賠法3条の他人であることを主張して同条による損害賠償を請求することは許されないというべきである。

クルマの所有者Zについては、自賠法3条による損害賠償請求を棄却。

問題はクルマを無免許運転したXとクルマの管理をした親のY。
過失相殺しています。

亡Aは、被告達による無免許運転行為に積極的に加担して危険の発生に寄与し、また、同被告による無謀で危険な運転を容認していたものといわざるを得ず、本件事故の発生については相当の帰責性があるといわなければならない。したがって、過失相殺の規定を類推し、原告らに生じた損害からその4割を減額するのが相当である。

4割の過失相殺を認定。
Aの父の損害が約3460万、母の損害が約3310万。
自賠責から既払い分3000万をそれぞれ1500万ずつ控除し、4割の過失相殺をした結果、

◯父→約3460×0.6-1500=約575万
◯母→約3310×0.6-1500=約485万

 

これに弁護士費用約10%をオンして、無免許運転したXと親Yに対し連帯して支払うように判決が出ている。

 

要は同乗者も無免許運転を知っていながら同乗した以上、自らが負った損害についても過失相殺の対象になる。
無理矢理乗せられたみたいな事情があれば別ですが、同乗者といえど賠償上も相応の責任を負うのよね。

 

個別具体的な事情がわからないと、具体的にどうなるかは不明ですが。
無免許運転したXの親Yに過失責任を認めた理由は鍵の管理です。

被告Yは、被告達の親権者として、同被告に対する一般的な監督義務を負っているが、前記認定事実のとおりの本件事故直前の被告達の無職徒遊の状況のほか、証拠によれば、被告達は、中学三年生時である平成11年5月に学校内で乱暴をして補導されたり、翌12年2月には他校の生徒とけんかをしたことによる傷害の非行歴がある上、同年5月には、原動機付自転車を無免許で運転していた疑いにより、警察から注意を受け、被告Yもこの件で交番に呼ばれていたことが認められるのであるから、このような事実関係からすれば、被告Yとしては、自宅横の空き地に保管していた本件車両を被告達が持ち出して運転することのないよう、被告達に対する監督を強化するとともに、その鍵の保管には格別の注意を払うべき義務があったものであるところ、本件車両の鍵を自宅居間の食器棚に保管していたというのみでは、この義務を尽くしたとはいえない

したがって、被告Yには、被告達に対する監督義務違反が認められ、被告達の前記のとおりの行状や運転免許を有していないことなどをも考慮すると、この義務違反と本件事故の発生との間には相当因果関係がある。

そしてクルマの所有者Zの運行供用者責任を否定して同乗者を「他人ではない」とした根拠は、最高裁判例にあるのかと。

(要旨)
友人が窃取し運転していた自動車に同乗中右友人が起した事故により死亡した被害者において右友人の窃取及び運転を容認していたなど原判示の事実関係のもとにおいては、右両名の運行支配が本件自動車のそれに比較して、直接的、顕在的、具体的であるというべきであつて、右被害者の両親は右自動車の保有者に対して右被害者が自動車損害賠償保障法三条にいう他人にあたることを主張することができない。

最高裁判所第二小法廷  昭和57年4月2日

参考までに原判決。

本件乗用車の所有者である訴外会社の従業員及び社長がエンジンキーをつけたままドアに施錠することなくこれを公道上に駐車したことが、Aの本件事故に至る運転を誘発したということができる。このことと本件事故がAの運転開始後瞬時にして発生したことを併せ考えると、訴外会社が当時本件乗用車の運行を直接的、具体的に指示制御すべき立場になく、その運行利益が直接的、具体的には訴外会社に帰属しなくても本件事故当時訴外会社はなお本件乗用車の運行供用者であつたと認めざるを得ない(したがつて、本件乗用車による事故の被害者が全く第三者の通行人である場合には訴外会社は運行供用者として損害賠償責任を負う。)。
しかしながら、本件事故は、Aが同人らの自宅まで乗つて帰るために本件乗用車を窃取して運転中に生じたものであり、同乗者であるXもAと意を通じこれを容認していたのであつて、右両名が本件事故の原因となつた本件乗用車の運行を支配し、その運行利益も右両名に帰属していたものであるから、右両名も本件乗用車の共同運行供用者であつたと認めるのが相当である。もつとも、前叙のとおり、右両名による本件乗用車の運行は所有者である訴外会社の運行支配を全面的に排除してされたとは解されないが、そうだからといつて右両名の運行支配者たる地位が否定される理由はない。却つて訴外会社による運行支配が間接的、潜在的、抽象的であるのに対し右両名のそれははるかに直接的、顕在的、具体的であるということができる。
そうすると、自賠法3条にいう「他人」とは自己のために自動車を運行の用に供する者及び当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうのであるところ、本件事故の被害者であるXは他面本件事故当時本件乗用車の共同運行供用者の一人であつたのであるから、Xの両親である被控訴人ら(このことは成立に争いのない乙第8号証によつて認められる。)は、Xが自賠法3条の「他人」であることを主張して訴外会社に対し同条による損害賠償を請求できないといわなければならない。

名古屋高裁 昭和56年7月16日

民事はだいぶややこしくなりますが、自分たちの責任なんだからしょうがない。
自賠法でいう「他人」に当たらず共同運行供用者である以上、保険会社が支払う理由もない。

 

まあ、平たくいえば無免許運転するなという話と、自爆必至の無免許者のクルマに同乗しないのが鉄則でしょうね。
交通島を壊したなら、道路管理者に対し同乗者も含め共同不法行為責任として賠償することにもなりそうですが、刑事責任としても無免許運転幇助罪になりうるし、民事も過失相殺されたり保険の支払いを拒否又は減額される可能性もあるし、ましてや自らが負った損害については過失相殺されるのでだいぶメチャクチャなんですが…

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