この意見について、言いたいことの意味は理解するのですが、そもそも事実誤認があるとしか。
電動キックボードは物理的にも危険極まりない。こんな危険な代物を解禁したのみならず、無免許運転まで合法化したのは理解に苦しむ。これより遥かに安全だったセグウェイには寄ってたかって規制をかけ、事実上公道での運転を不可能にしてしまったのとは対照的。利権の匂いがぷんぷんする。 pic.twitter.com/dfSod6UjSA
— Ettore B. (@bugatti26230755) September 10, 2024
この方の意見は
・電動キックボードを「解禁した」
・セグウェイは「規制を掛けた」
という前提で話をしている。
Contents
セグウェイがダメで電動キックボードがOKな理由
ここでいう「ダメ」「OK」とは法律(道路交通法や道路運送車両法)のこと。
まずセグウェイだろうと電動キックボードだろうと、原付(今は一般原付)の基準を満たせば合法的に道路で運転可能。
セグウェイだから…とか電動キックボードだから…みたいな基準はない。
セグウェイがダメなのは、構造上道路運送車両法の保安基準をどうやっても満たすことができないからなんですね。
セグウェイには制動装置がなくモーター制御だし(制動装置についてはかなり細かい基準がある)、法律上は「前後に」タイヤがないといけない。
しかしセグウェイのタイヤは「左右」。
これらはセグウェイを狙い打ちして規制したわけではなく、元からそういうルール。
仮にセグウェイが安定性が高いとしても、「左右」を認めると著しく安定性が悪いタイプであっても解禁されてしまうので不合理だし、要はセグウェイを日本に持ち込もうとしたら日本の法令上は原付の基準に合致しないのでダメだったという話でしかない。
逆にいえば、原付の基準を満たしているなら何でもいいわけです。
電動キックボードはまさにそれで、日本の法令上、原付の基準を満たしているなら規制不可能。
特定小型原付がスタートしたことで電動キックボードが「解禁された」と思っている人が多いけど、これは事実誤認。
特定小型原付がスタートする以前から、原付として法令を満たしているなら原付扱いだったわけよ。
そして原付として法令を満たしているなら規制不可能だった電動キックボードについて、どんどんエスカレートしてやたらスピードが出る電動キックボードが販売されたり、ナンバー未取得や無免許のまま「原付である電動キックボード」を乗り回す人が増えていた。
それらが社会的に危険なのは明らか。
そこで政府は、「リミッター制御でMAX20キロまで」の電動キックボードなどを特定小型原付として分離して、飴と鞭の政策を取った。
飴 | 鞭 |
ノーヘルOK
免許不要(16歳以上) |
MAX20キロまでしか出ない |
要は原付として法令を満たせば合法な電動キックボードについて、ナンバー未取得など法令を無視して乗り回す人が増えていたし、通販でカジュアルに買えてしまう(私有地で乗るには問題ない以上、販売規制は不可能)。
スピードが出る電動キックボードでウェーイするアホが増加すれば社会的には危険なので、ハードルを下げて低速な特定小型原付に誘導しようとしたのが日本の政策。
○ポイント
・セグウェイを狙い打ちして規制強化したわけではなく、セグウェイが日本の法令に合致しなかった。
・電動キックボードは特定小型原付がスタートする以前から、法令を満たせば「原付」として合法だった。
電動キックボードの安定性がどうのこうのについては同意しますし、乗りたいとは思わないけど、なぜに歴史をねじ曲げて事実誤認した論調にするのかは理解し難い。
その上で
電動キックボードが段差に弱いというのはある意味真実なので、そこについて危険だと思う人がいるのは当然。
ただまあ、そもそも法律に従って乗る分には歩道の段差越えをすることがほとんどないのよ。
歩道を横切り路外のコンビニに入る前には「一時停止義務」(17条2項)があるし、車道から歩道に通行区分をチェンジする際にはモード変更する義務がある。
モード変更は車体が完全停止しないとできない仕組みなので、法令に従っている限りスピードを出して歩道の段差越えをすることがあり得ない。
仮に法令を守らずスピードを出して歩道の段差に突っ込み転倒する人がいたなら、ルールを守らず自爆しただけなので同情の余地すらない。
けど不思議なのは、なぜに事実誤認して批判するのだろう。
電動キックボードの安定性について批判するのはその通りだと思うけど、この手の批判ってなぜか事実誤認して話がおかしくなっていることが多い。
それこそシマノのクランクリコール問題もそうだけど、リコールについて批判するのは当たり前だけどなぜか事実誤認して話を盛る人がいるのは理解し難い。

話を盛ってデマを使ってでも批判したいのか?と勘違いされません?
電動キックボードが「解禁された」という見方は誤りで、元から原付として法令基準を満たしているなら合法だった。
セグウェイは日本の元からある法令に合致しない以上、仕方なかった。
しかしセグウェイは「規制を掛けてダメにした」と事実誤認し、電動キックボードは「規制緩和で新たに許可された」と事実誤認してしまう…
事実誤認したまま語れば、そりゃおかしな話になるよ…
もしかしてセグウェイがダメな理由は、「利権不足」と思っているのだろうか…

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント