ちょっと前に、走行中にクイックリリースが外れたと思われる死亡事故がありましたが、

ちょっと気になって調べていたら、なかなか興味深い資料を発見。
クイックリリースとは何の関係もありませんが。
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前輪が大きく変形破損
まずこちら。
https://www.nite.go.jp/data/000087871.pdf
リムが大きく左側に変形している。
リムのピンジョイント部分が解放し、左のピンが折れ曲がり右のピンは露出。
フォークは左側に変形。
https://www.nite.go.jp/data/000087871.pdf
これを見ると、いったい何と衝突したんだ?と思ってしまいますが、この事故はこうだったそうな。
事故後、自転車の前輪が左に大きく曲がるように変形していた。
・事故発生時、自転車が障害物にぶつかったり、衝突したりしたことはない。
・事故以前に、自転車に異常を感じたことはなかった。

乗車していた人からすれば不意打ち的に突如こうなったと。
そうするとリムに元々問題があったのか?と疑う。
そこで製品評価技術基盤機構(Nite)はまず、リムの接合部の締結力に問題があって起きた事故なのか?と仮説①を立てる。
https://www.nite.go.jp/data/000087871.pdf
Niteは仮説①を検証するため、ピンジョイントのピンを一本取り外して走行する実験をした。
スラローム、急ブレーキ、急旋回、急ハンドル、立ち漕ぎなどをして無線小型カメラで観察。
リム接合部の締結が原因なら何かしら問題が観察されそうですが、異常は認められず。
次に下玉押しの圧痕に着目し、仮説②を立てる。
https://www.nite.go.jp/data/000087871.pdf
仮説②は、ふらつきを感じたユーザーがブレーキとともに左にハンドルを切った結果、前輪に右→左にストップしようとする力がかかり、乗車員は前に進もうとするから強い力がかかりリムが変形したと仮定。
仮説②の検証のため、自転車に仮想人間の重りを載せて台車の上で実験。
ブレーキを掛けたまま、ハンドルを左に切り、自転車を前に押し出しながら台車から前輪を落下させた。
https://www.nite.go.jp/data/000087871.pdf
この実験では事故と同じ状態が再現できたと。
Niteでは今回の実験で全ての車輪変形事故を説明できるわけではないとしながらも、「本件の前輪大変形は、急制動による二次的なものであり、急制動を引き起こした原因ではなかったと推定される」としている。
初期不良と考えがちですが
こんだけ大きく変形して何ら衝突がないとなると、通常頭に浮かぶのは何らかの初期不良的な話やリムの強度不足ですが、再現実験であっけなく再現されたように、条件が重なると簡単に変形するもんですね。
まあ、あまり多く聞く事例ではないですし、ハンドルを大きく切ることをないけど、そもそもなぜふらつきを感じたのか気になります。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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