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なぜ?交通整理されてない交差点なのに徐行義務がない理由。

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ではこちらの件。

青信号に従って通行する車両に「徐行義務」(42条1号)があるか?
最近、おかしな解釈を披露しまくる人がいてビックリしてしまいますが、質問です。A車両の進行方向にある三灯式信号は横断歩道との関係でついている信号と考えられ、交差する道路(B車両側)には三灯式信号がない。さてこの交差点を青信号で直進するAには徐...

なぜそのように捉えるか考えていきましょう。

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交通整理されてない交差点?

A車両の進行方向にある三灯式信号は、あくまでも横断歩道との関係でついているのだから、交差点自体は「交通整理されてない」と捉えることもできる。
そのように捉えた場合、42条1号の除外に当てはまらないから徐行義務があるように思える。

 

ここでちょっと考えて欲しいのですが、42条1号は「交通整理されている交差点を除く」なので、当該交差点が「交通整理されてない」と認識できなければ成り立たない。
交通整理されてないことを認識していたのにあえて徐行しなかったなら「42条1号の故意犯」、交通整理されてないことを容易に認識可能なのに見落としたなら「42条1号の過失犯」。

対面に信号があり、かつ交差道路に対面信号があるのか認識できない状況なのに、「交通整理されてない交差点」だと認識することはきわめて困難なんですよね。
そういう場合、仮に42条1号の構成要件を満たしたとしても、そこに至ったには故意も過失もなかったことになる。
したかってA車両には徐行義務を課すことができない。

 

これは一応判例がある。
福岡地裁小倉支部 昭和45年1月16日判決。

この判例は青信号で交差点に進入したB車と、対面信号機がついていなかったことから信号のスイッチがオフだと思い漠然進行したA車が衝突した事故です。
A車・B車ともに業務上過失傷害罪に問われたもの。

 

まず、対面信号がないA車については、「交通整理されてない交差点」として徐行義務があったとした。

信号機が設置されていても信号の故障により正常に信号の表示がなされていない交差点は、その信号機に対面する運転者にとつてはいわゆる交通整理の行なわれていない交差点(道交法42条参照)になると解すべきである

福岡地裁小倉支部 昭和45年1月16日

たとえ信号機の信号が作動していないいわゆる交通整理の行なわれていない交差点であつても、左右の道路から車両等の進入してくることは十分予想しうることであり、従つて予め交差点の手前で徐行し情況によつては一時停止のうえ左右の安全を確認する業務上の注意義務あることは明らかである(道交法42条、119条1項2号参照)。

福岡地裁小倉支部 昭和45年1月16日

対面信号が青のB車両については、徐行義務を否定。

検察官は、「本件交差点のように、人家、板塀のため見とおしのきかない交差点においては、乗客多数を輸送する職務の特殊性を考慮のうえ、信号の如何にかかわらず、左右の交通の安全を確認することが必要である」と主張する。

 

しかしながら、以上認定のような情況の下において、本件交差点に進入しようとする自動車運転者に対しては、他に特別の事情のないかぎり、あえて交通法規に違反して高速度で同交差点に進入しようとする車両のありうることまでも予想し、徐行又は一時停止して左右の道路の安全を確認して事故の発生を未然に防止すべき注意義務はないと解するのが相当である(最高裁判所昭和43年12月17日第三小法廷判決、同12月24日第三小法廷判決 判例タイムス230号254頁参照)。

 

しかして、一方被告人Aは、前示認定のとおり対面信号機の信号が故障し、左右の見とおしのわるい交差点であるのにかかわらず、あえて本件交差点に時速約50キロメートルで進入したものであり、かかる以上被告人Bに対し前記注意義務違反を認めることはできない。

 

また検察官は、被告人Bが本件交差点内に進入直後の相手方車両の発見可能な地点をとらえ、その瞬間ハンドル、ブレーキ操作により急停車、避譲の措置に出て出会い頭の衝突事故を未然に防止すべき業務上の注意義務があると主張するようであるが、前記の如く同被告人が交差点の手前において徐行または一時停止して左右に通ずる道路の安全を確認すべき義務がない以上、時速約25キロメートルで交差点に進入した同被告人としては、たとえ左斜前方約24.9mに時速約50キロメートルで南進してくる相手方車両を認めたとしても、発見可能な地点から衝突地点までの距離が約15.4mであるから、実験則上これとの衝突を回避することは不可能に近く、本件交差点の具体的状況を前提とするとき検察官主張の如き注意義務はない。

 

福岡地裁小倉支部 昭和45年1月16日

要は交差道路の信号灯火は交差道路に向いているのだから、交差道路に信号があるかないかなんて知る術がないのよね。

 

誰に対し義務を課すのかを考えるときには、第三者の視点ではなく当事者の視点に立って考えないと間違える。

 

交差道路に信号があるかないか確認しながら進行するような注意義務はないのよ。

この解釈を間違える人って、要は運転者の視点に立って考えてないから間違える。
徐行義務は「その運転者」に課すのだから、「その運転者」と同じ視点に立って考えないと間違える。

停止線で止まらなかったから違反?

次のケース。
下記状況にて横断歩道に接近する青車両は、

赤車両の前方に出る前に一時停止義務(38条2項)を負う。

しかしこの位置で一時停止した際に、「停止線の直前で一時停止しなかった」として38条1項後段の違反になるのでしょうか?

第三十八条
横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

これは簡単な話。
「横断しようとする歩行者があるときは」という話はその運転者に向けているわけで、

停止線直前で「横断しようとする歩行者」を視認不可能な以上、38条の要件「横断しようとする歩行者があるときは」に該当しない。
とはいえ、横断しようとする歩行者が明らかにいないとは言えない以上減速接近義務を免れず、かつ通行妨害禁止義務はあるのだから、

この位置で一時停止したときに歩行者を発見したならば、通行妨害しないよう歩行者を横断させることになる。

 

要は運転者に義務を課しているのだから、運転者視点で「横断しようとする歩行者が認識可能か?」を考えないとダメなのよね。
解釈を間違える人の話を聞いていると、運転者視点ではなく第三者視点になっていて不可能を強いる話にすり替えているケースが多い。

 

そこが誤解釈に繋がる要因なのよね。

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