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警察車両は任意保険に入ってない(ことが多い)

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とある件で読者様から質問を頂いたのですが、質問の具体的内容はちょっとまずいので伏せます。
それと関係してですが

警察車両は任意保険に入ってないことがわりと多い

これはあまり知られていない上に具体的な数字は公開されてないけど、警察車両には任意保険未加入車両がわりとあります。

 

これだけを聞くとヤバそうなイメージになりますが、自賠責保険は強制加入だから警察車両といえど未加入は犯罪になる。
任意保険の役割って、要は被害者に十分な弁済をするためにあるわけですが、警察車両が起こした事故は国賠法の規定により都道府県が賠償する。

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

都道府県が賠償金程度を払えないなんてわけもなく、それでいて警察車両の全てを任意保険に加入させると保険料だけで高額になってしまう。
年間一億以上の保険料を払うよりも、事故を起こしたときに支払いしたほうが予算削減になるのであえて任意保険未加入なんですよね。

 

ちなみに民間でも同じ理由から任意保険未加入の場合がある。
要は支払いする能力があればそれで十分なわけで、任意保険未加入=被害者が泣き寝入りになるわけじゃない。

 

ちなみに自衛隊車両のうち道路で使用しない車両や、在日米軍車両は自賠責保険の加入義務すらない(自賠法施行令1条の2)。
これについては過去に国会で質問が出てますが、

自賠責保険の適用除外に関する質問主意書:質問本文:参議院

自賠責保険の加入義務がなくても、いざ事故が起きたときには自賠法3条の適用があり、無過失の立証をしない限り賠償責任を負うことが確認されている。

 自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の趣旨は、自動車事故において、事実上の無過失責任の形で事故に遭った者の救済を図るものであり、この保険があるため国民は安心して自動車を運転できるものといえる。ところが現在、自動車損害賠償保障法(以下「自賠責法」という。)第十条及び同施行令第一条において、自衛隊の車両や米軍・国連軍の車両(以下「適用除外車両」という。)は自賠責保険に加入しなくてもよいことになっている。そのため、適用除外車両と民間の一般車両が公道で事故を起こした場合、民間側が保険金を手にすることができず、泣き寝入りをすることが増えているとのことである。
そこで、以下質問をする。

三  適用除外車両が自賠責保険に加入していないということは、そうした車両と民間の車両及び人が事故に遭った場合、民間側が過失などについて立証しなければならない。政府は民間側がこうした過失の有無等について容易に立証できると考えているのか。また、民間側が立証の負担を負うことは当然と考えているのか。

 自動車損害賠償保障法第三条の規定により、被害者は、加害者の自動車の運行によってその生命又は身体を害された事実を証明すれば損害の賠償を求めることができ、加害者は、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明しない限り免責されないことになっている。
同法第五条の規定が適用されない自動車に係る事故の場合であっても、被害者は、同法第三条の規定により加害者が右の証明をしない限り損害賠償を求めることができるため、御指摘は当たらないと考える。

自賠責保険の適用除外に関する質問に対する答弁書:答弁本文:参議院

なお、警察車両が任意保険未加入の場合。
通常、任意保険に加入している場合は相手方保険会社が示談成立以前にも病院代を先行支払いするのですが、任意保険未加入の場合は被害者が負担して示談成立時に回収する流れになりかねない。
最終的に支払いがあるからマシとも言えるけど、ちょっとややこしい。

 

ちなみに以前紹介した記憶がありますが、白バイと自転車の非接触事故について、立証責任は誰が負うのか揉めた事例がある。
というのも、非接触事故であり白バイ側としては「自転車の転倒と白バイの通行には因果関係がない」と主張したようですが、自賠法によると加害者にあたる白バイ側が無過失の立証責任を負う。
しかし国賠法だと被害者が加害者の過失を立証する責任があるわけで真逆なんですね。

 

あくまでも警察視点から論評した内容になっていたため、警察視点では裁判官の訴訟指揮に不満があったようですが、こういう実例はほとんどないから議論になりにくいのかも。

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