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痛ましい事故と責任。

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酷すぎる事故に言葉もないですが、

【続報】過去の高齢者講習は”問題なし” 女児1人死亡・1人重体の交通事故 逮捕された男「事故当時の記憶がない」 家宅捜索で“お薬手帳”などを押収(テレビ静岡NEWS) - Yahoo!ニュース
3月24日、浜松市中央区館山寺町で小学生の列に軽トラックが突っ込み、女児1人が死亡、別の女児1人が重体となっている事故で、逮捕された男は過去に運転免許を更新した際に受講した高齢者講習では問題がなかっ

現状では「事故当時の記憶がない」「高齢者講習では問題なし」。
仮に事故以前に容疑者が意識喪失状態に陥っていた場合、運転避止義務を負っていたのではないか?ということで警察が捜査しているのよね。

一方で、男が当初「なぜぶつかったかはわからない」と話し、その後、「事故当時の記憶がない」と供述していることから、警察は25日に行った男の自宅の家宅捜索で“お薬手帳”などを押収し、既往歴や通院歴、持病や服用している薬の有無なども含め事故が起きた当時の状況や原因について調べています。

既往歴や通院歴、持病次第では運転を差し控えるべき注意義務があった可能性もあるし、薬によっては「服用後に運転するな」と書いてあるものもある。
これらから運転避止義務を負っていたのに運転を開始した過失がある可能性が…

 

仮に事故当時、意識喪失状態に陥っていたのなら「前方注視義務」を課せないことになる。
過失の内容は「それ以前」に求めることになりますが、運転避止義務を認めた事例としては東京高裁 令和2年11月25日判決がある。

以上のような事実関係(主位的訴因に若干の補正を加えた予備的訴因に記載されている事実におおむね沿うものである。)からすると,被告人が,平成30年1月9日午前8時25分頃,被告人方駐車場において普通乗用自動車の運転を開始した時点において,かねてからの低血圧によるめまい等の症状により正常な運転が困難な意識レベルの低下等の状態に陥ること(道路交通法66条参照)を予見できたのみならず,本件事故直前に生じた意識障害についても,これと質的に異ならないものであるから,その因果関係の基本的部分について予見可能であったというべきであることは明らかであって,自動車の運転を厳に差し控えるべき自動車運転上の注意義務があったことを優に認めることができる。これに対し,原判決は,被告人には本件事故に対する予見可能性があったとは認められず,被告人に運転避止義務を負わせることができないと判断しているのであるが,この点に関する原判決の判断は,被告人がかねてから低血圧により度々めまいを生じたことなどがあった上に,医師や家族から自動車の運転をしないように注意されていたという事情や本件事故直前に生じた意識障害について,適切な評価,判断をせず,論理則,経験則等に照らして不合理な判断をし,結論を誤ったものといわざるを得ず,是認することができない。

東京高裁 令和2年11月25日

道路交通法でいうなら66条(過労運転等禁止)に相当しますが、これらは捜査によって明らかになるかと。

 

ところで、「高齢者講習では問題なし」。
これをどう捉えるかはなかなか難しくて、現行の高齢者講習では問題を見抜けない(つまり内容が不足している)という考え方もあるだろうし、そもそも容疑者に運転避止義務に相当するものがあったか次第になるかと。
容疑者を裁くにはいかなる過失があったのか捜査を尽くして立証する必要がありますが、それとは別に高齢者の運転については議論になる。

 

個人的には、こういう意識喪失状態でも他害性が小さい乗り物として、着座型の特定小型原付があるんじゃないのか?という疑問もありますが…特定小型原付は電動キックボードの印象が強すぎてチグハグな状態に陥っている気がする。

 

けど本当に難しいなと思うのは、この事故が仮に意識喪失状態に陥っていたとすると、ある面では先日取り上げた「バスの運転者が病死して起こした事故」とも重なる。
あれにしても乗客はケガをしてますが、

 

「運転避止義務を負っていたのか?」

 

でだいぶ話は変わるのと、一定の年齢以上は他害性が小さいモビリティに移行させる方向もアリなのよね。
この容疑者を裁くかどうかよりも、高齢者のモビリティ問題のほうが重要。

 

ご冥福を。

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