専用通行帯の意義と解釈についてご意見を頂いたのですが、勘違いしやすいのかなと思ったのでまとめておこうと思う。
一例として「路線バス専用通行帯」を考えます。
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路線バス専用通行帯

バス専用通行帯は20条2項の規制(標識又は標示が必要)。
本来車両は第一通行帯の通行義務がありますが(20条1項)、20条1項とは異なる通行区分を設定したい場合に専用通行帯を使う。
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
標識令によると専用通行帯は、このように規定されている。
分かりにくいので分解します。
①特定の車両が通行しなければならなければならない車両通行帯を指定するかつ
②他の車両が通行しなければならない車両通行帯として専用通行帯以外の車両通行帯を指定する
まずは基本部分。
「◯✕専用通行帯」の標識等があるときは、「◯✕」の通行帯が指定され、「◯✕以外」の車両については専用通行帯以外の通行帯が指定される。
ただし「◯✕以外」については以下の場合には除外されます。
「他の車両」
A.当該特定の車両が普通自転車である場合にあつては特定小型原動機付自転車及び軽車両を除くB.当該特定の車両が普通自転車以外の車両である場合にあつては小型特殊自動車、原動機付自転車及び軽車両を除く
バス専用通行帯について考えると、こうなる。
①バスが通行しなければならなければならない車両通行帯を指定するかつ
②バス以外(小型特殊自動車、原動機付自転車及び軽車両を除く)が通行しなければならない車両通行帯として専用通行帯以外の車両通行帯を指定する
まとめます。
| 車両 | 義務 | 根拠 |
| バス | バス専用通行帯の通行義務 | 20条2項 |
| クルマ | バス専用通行帯以外の通行帯の通行義務 | 20条2項 |
| 小型特殊自動車 | 第一通行帯の通行義務 | 20条1項 |
| 原付 | 第一通行帯の通行義務 | 20条1項 |
| 軽車両 | 第一通行帯の通行義務 | 20条1項 |
バス専用通行帯はバスの通行帯を指定するだけではなく、バス以外の車両の通行帯も指定される(20条2項、標識令)。
しかし「バス以外の車両の通行帯指定」から小型特殊自動車、原付、軽車両が除外されているため、小型特殊自動車~軽車両については通行帯が指定されてないことになる。
するとどうなるか?
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
小型特殊自動車、原付、軽車両については「前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているとき(20条2項)」に該当しないので、20条1項により第一通行帯の通行義務が適用されることになる。
ほとんどの場合、専用通行帯は第一通行帯に設定されるので、第一通行帯に設定された「バス専用通行帯」はバス、小型特殊自動車、原付、軽車両が「通行しなければならない」ことになりますが、たまに専用通行帯が第一通行帯以外に設定されることがあります。

この場合、中央寄りにあるバス専用通行帯はバス以外は通行禁止になります。
専用通行帯の意義
頂いた意見はこちら。
「譲る」という文言がないのでそのまま解釈すると「譲る義務がない」となりますが、
専用通行帯の目的を考えると
「譲る義務がある」と解釈できるのですが
管理人の方はどう考えますか?
専用通行帯が第一通行帯にない限り、自転車は専用通行帯を通行できないので「専用通行帯が第一通行帯にある場合」を意図していると考えますが、
その場合において、「自転車が例外的に通行できる」ではなく「通行しなければならない」になるため、第一通行帯に設定されたバス専用通行帯は実質的に「バス、小型特殊自動車、原付、軽車両の通行帯」と言えます。
この場合、法律上は自転車がバスレーン内の右寄りを通行したところで違反にはならないと見ることもできるんだけど、
それを盾に「自転車は譲る義務はない!」としてわざとバスレーン内の右寄りを通行してブロックする人が出てくる。
けどそんなことをする人がいるから、法改正されちゃうのよね。
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合(当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
4 前項に規定する場合においては、当該特定小型原動機付自転車等は、できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない。
3項/4項は車両通行帯がある場合でも適用される上、
「18条4項の場合は、20条1項/2項に従わず18条4項に従う」としている。


従ってバスレーン外側の部分が広く、かつ自転車が安全に通行できる場合には「バスレーンの左側の外側」を自転車が通行しなければならないことになる。

この場合において、追い抜きするバスに18条3項の義務があることは言うまでもない。
現実的にバスレーンの外側が広い場所があるか疑問ですが、どのみち「バスレーン内でも左側端寄り」を通行する義務があることになる(わざと追い抜きブロックすることは許されない)。
普通自転車専用通行帯にしても、「他の車両の通行帯指定」が「当該特定の車両が普通自転車である場合にあつては特定小型原動機付自転車及び軽車両を除く」となっている以上、非普通自転車やリアカー、特定小型原付は20条2項による通行帯の指定がない以上20条1項により「第一通行帯の通行義務」が生じるわけですが、
普通自転車専用通行帯を第一通行帯以外に設定すると、「普通自転車は第一通行帯以外にある専用通行帯」、「非普通自転車や特定小型原付は第一通行帯」という意味不明なことが起きてしまう。
だから普通自転車専用通行帯が第一通行帯以外に設定されることはないはず。
では第一通行帯に設定された普通自転車専用通行帯は、非普通自転車や特定小型原付よりも普通自転車が優先されるのか?
そのようなことはあり得ない。
なので「専用通行帯」というのは名目上の話に過ぎず実態は違うことになりますが、だからといってわざとブロックしていい理由にはならないのよね。
そういうところは法ではなく常識や社会通念の問題だと思う。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


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