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運転レベル向上委員会がまた判決内容を改竄してますが…

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運転レベル向上委員会の人はやたら判決内容を改竄することが多いですが、2023年11月に札幌で起きた「ジムニータイヤ脱落事故」について「賠償の見込みがないのに社会的制裁を受けたと判断したから執行猶予付き判決だ」と解説している。

判決理由には「社会的制裁」又はそれに近い文言は出てこないし、執行猶予付き判決になった理由は違う。
なぜ運転レベル向上委員会が判決内容を改竄しまくるのか謎ですが、判決文をみていきます。

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ジムニータイヤ脱落事故

まずは判決主文から。

主文

被告人Aを懲役3年に、被告人Bを罰金20万円に処する。
被告人Aに対し、この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
被告人Bにおいて、その罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人Aは整備を実行し運転した人で、被告人Bは不正改造と整備を依頼した人。
さて、罪となるべき事実を見る。

(罪となるべき事実)
第1 被告人両名は、共謀の上、令和5年10月28日、札幌市a区bc番地d所在の被告人B管理の敷地内において、有効な自動車検査証の交付を受けている被告人B所有の軽自動車(車台番号××○○×-○○○○○○)について、かねて車軸にワイドトレッドスペーサーを装着していた同車にホイール付きマッドタイヤを装着するなどの方法により、左前輪タイヤを約2.2センチメートル、右前輪タイヤを約3.5センチメートル、左右後輪タイヤを約2.5センチメートルそれぞれ突出させて装着し、タイヤ回転部分が突出する改造をし、もって当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行った。
第2 被告人Aは、同年11月14日午後1時10分頃、同区ef丁目g番先の被告人B方敷地内において、かねて前記第1記載の軽自動車(普通乗用自動車)を運転中にその前輪の足回りに異常を感じていた同人から、その異常を伝えられるとともに、同車の点検を依頼された。このとき、同車は左前車軸に装着されたワイドトレッドスペーサーのハブボルトと左前輪タイヤの締結に用いるホイールナットが適切に締められていない状態であったところ、被告人Aは、前記第1記載のとおりタイヤ回転部分が突出する改造が施された同車につき被告人Bから前記異常を伝えられたのであるから、同車の運転を差し控えるべきはもとより、同車を運転するのであれば、走行中にタイヤを脱落させることがないよう、各タイヤのホイールナットに緩み等がないか、目視及び点検ハンマなどを使用して点検した上で運転をすべき自動車運転上の注意義務があった。しかし、被告人Aは、これを怠り、その頃から同日午後1時33分頃までの間、同所から前記第1記載の前記被告人B管理の敷地内、同敷地周辺の土地内及び前記被告人B管理の敷地内を順次経由し、同区hi丁目j番先路上に至るまでの間において、前記点検をすることなく、前記左前輪タイヤに係るホイールナットの緩みに気付かないまま、漫然と同車の運転を繰り返し、かかる過失により、その頃、同路上をk方面からl方面に向かい時速約54ないし68キロメートルで進行中、同タイヤを脱落させて同所左側歩道に同タイヤを逸走させ、折から同区mn丁目о番先歩道上をl方面からk方面に向かい歩行していたC(当時4歳)に同タイヤを衝突させて同歩道上に転倒させ、よって、同人に回復見込みのない呼吸筋を含む四肢体幹の完全麻痺を伴う頚髄損傷等の傷害を負わせた。

「第一」は道路運送車両法違反、「第二」は過失運転致傷罪(自動車運転処罰法違反)。
要は被告人AとBは不正改造を行い、道路運送車両法違反に問われた。
そして被告人Aは不正改造したクルマについて被告人Bから不具合の可能性を伝えられていたにもかかわらず、ホイールナットの緩みという不具合を見逃し漠然と運転した過失により被害者に傷害を負わせた。

 

これについて、不正改造を依頼したBは道路運送車両法違反で罰金刑。
不具合を見逃して漠然と運転し被害者に傷害を負わせたAは過失運転致傷罪と道路運送車両法違反の併合で懲役刑を選択したものの、主文の通り執行猶予がついた。

 

さて、被告人Aに執行猶予がついた理由である。

2 検討を要するのは、被告人Aの量刑である。
⑴ 判示第1において、被告人Aは、車の整備の豊富な知識・経験を見込まれて被告人Bから改造の依頼を受けたものではあるが、同犯行の際に被告人Aがした作業として認定できるのはタイヤをホイールに装着して被告人Bに渡したことまでであって、タイヤ突出の中核を担ったとはいい難い。
⑵ 次に、判示第2についてみると、被告人Aは、判示のとおり被告人Bから本件車両の足回りに異常があると聞かされていただけでなく、一般にワイドトレッドスペーサーを装着した車両は部品の影響でホイールナットが緩みやすいとの認識も有していたのであり、かつ、本件車両のワイドトレッドスペーサーは自らが装着したのであるから、本件事故当日、ホイールナットに不具合がある可能性に思い至り、運転を控えた上で、その点検義務を果たすことは容易であったはずである。かつ、被告人Aは、被告人Bと共に本件車両に種々改造を施したことによって、異常に気付きづらい車両となっているとの認識も有していたのであるから、走行に当たって十分な安全性を担保すべく、上記点検をすべき高い注意義務を負っていたといえ、以上を怠り漫然と運転した過失は悪質である。
その結果、いまだ幼く未来ある被害者が受けた判示の傷害は非常に重大で、全く落ち度のない被害者が、意識が戻る見込みがないと診断され、意思疎通できないという理不尽な状況にあり、父親の意見陳述等で明らかなように、被害者家族が峻烈な処罰感情を有することも当然である。
もっとも、広く本件事故の原因をみると、そもそも被告人Aが判示第2の運転をする前に、本件車両左前輪タイヤのホイールナット(以下「本件ホイールナット」という。)の締付けが緩んでいたことに根本的な原因があった。そして、検察官も同タイヤを取り付けてホイールナットの締付けを行ったのが被告人Aであるとは主張しておらず、その立証に照らしてもそれが同被告人であったとは認定し難い。すなわち、本件事故直後に保全された本件車両を検証した結果等に照らすと、本件車両は後輪のホイールナットが過剰に締め付けられ、他方、前輪のそれは締め付けが甘かったものと認められるところ、被告人Aは、自分がホイールナットを締める場合、過去に自動車整備の仕事もしていた長年の経験から、まずナットとボルトに損傷がないか感覚で確認するとともにナットを締め過ぎて損傷しないよう、手でナットを回せるところまで回し、その後インパクトレンチを使って締め、更に規定トルク値まできちんと締まるようにトルクレンチを使って締めるように必ずしており、本件車両のホイールナットのような締め方になるはずがない旨、自己が本件ホイールナットの締付けを行っていないことにつき一定の具体的かつ合理的な根拠をもって述べている。これに対し、被告人Bは、本件不正改造時に自己が果たした役割について捜査段階から小出しに供述を変遷させていること等からすると、前輪の取付けはしていない旨の同被告人の供述はにわかに信用できず、被告人Bが本件ホイールナットを付けた可能性は排斥できない。さらに、判示第1から第2までの間、被告人Bが数回にわたり悪路を含む場所で本件車両を走行させたことも認められ、この運転が本件ホイールナットの緩みを助長した可能性も否定できない。そして、本件ホイールナットの緩みは、一次的には同車両の所有者である被告人Bの責任で点検すべきものであることからすれば、被告人Bが被告人Aに本件車両の点検を依頼したことを考慮しても、本件事故時における本件ホイールナットの緩みにつき、最後にこれを看過して運転した被告人Aばかりを大きく責めることは難しい(なお、各検証結果等によれば、本件事故時にタイヤが脱落したのは本件ホイールナットの緩みが原因であって、判示第1の改造やそれ以前に被告人Aが行ったワイドトレッドスペーサー等の取付け自体は直接的な原因ではない。)。
加えて、被告人Aは、被告人Bから前記異常を伝えられた後、直前に自己が改造を施したフロントロアアームやステアリングダンパー等の確認はしており、点検に対して無関心だったわけではない上、これまでに判示第1と同様の改造をした際にホイールナットが緩んだ経験がなかったこと等からすれば、自身がした上記改造に異常の原因があるのではないかと思い込んで本件ホイールナットの点検をしなかったという懈怠が、厳しく非難されてしかるべきとまではいえない。
なお、検察官は、被告人Aが整備業経験者で知識を有することを指摘するが、被告人Aは本件車両の点検に業務として応じていたのではないから、本件において同被告人に特別に高度な注意義務があったというのは相当ではない。以上から、被告人Aの過失を重大とまで評価することにはいささか躊躇を覚える。
また、本件車両は任意保険がかけられていないため、十分な被害弁償は現時点では見込まれていないが、これも本来責められるべきは同車両の所有者たる被告人Bである上、被告人Aは入院費用等の実費のうち約200万円を支払っている。
⑶ 以上からすると、同種事案の量刑傾向を踏まえても、被告人Aに係る犯情が実刑が避けられないようなものとまではいえない。
⑷ さらに、被告人Aは交通事犯の前科4犯を有し、とりわけ本件の五、六年前に無免許運転等を繰り返した点は、自動車運転に対する規範を軽視する姿勢として無視できないが、その処罰は罰金刑にとどまっているし、本件につき自己の過ちを認め、今後自動車の運転をしないと誓うなど、自らの行動を反省する態度が認められる。
そうすると、被告人Aに対して実刑を科すほかないとまではいえないから、主文のとおりの刑を量定した上で、法が定める最長期間、その刑の執行を猶予することとする。

札幌地裁 令和7年4月24日

この事件、保安基準に適合しない不正改造を行ったことは被告人両名の犯罪ですが、「検察官も同タイヤを取り付けてホイールナットの締付けを行ったのが被告人Aであるとは主張しておらず、その立証に照らしてもそれが同被告人であったとは認定し難い」なのよね。
要はAは「ホイールナットを締める場合、過去に自動車整備の仕事もしていた長年の経験から、まずナットとボルトに損傷がないか感覚で確認するとともにナットを締め過ぎて損傷しないよう、手でナットを回せるところまで回し、その後インパクトレンチを使って締め、更に規定トルク値まできちんと締まるようにトルクレンチを使って締めるように必ずしており、本件車両のホイールナットのような締め方になるはずがない旨、自己が本件ホイールナットの締付けを行っていないことにつき一定の具体的かつ合理的な根拠をもって述べている」。
しかし依頼したBの供述が変遷しており、被告人Bがホイールナットを取り付けた可能性を排斥できない。

 

そうすると不具合を伝えられ点検したAは
「自身がした上記改造(フロントロアアームやステアリングダンパー等のこと)に異常の原因があるのではないかと思い込んで本件ホイールナットの点検をしなかったという懈怠が、厳しく非難されてしかるべきとまではいえない」。

 

そして本来被害者に弁済すべきは所有者のBであるところ、Aは決して多いとは言えないけど200万支払いをしている。
これらの経緯からすると、Aに実刑を選択することは躊躇されるというのが裁判所の判断。

 

思うに、この事故の判決に不満が残る理由は、「不正改造致死傷罪」という犯罪がないからではなかろうか?
保安基準を満たさないクルマを運行すれば道路運送車両法違反になるけど、その結果として致死傷に至ったかは関係がなく、不正改造したことが罪になる。
そしてBは運転してない以上、過失運転致傷罪に問えない。

 

確かに、Bから不具合を伝えられたAはホイールナットの緩みを疑い検査すべきだったと言えるし、それ自体は過失になる。
しかしそもそもAはトルクレンチを使ってホイールナットを締め付けていたと考えられ、その後Bがホイールナットを弄った可能性が否定できない以上、Aの重大な過失だったとも言いがたいことになる。

 

おそらく運転レベル向上委員会は判決文を全く読まずに推測でテキトーに語っているのだろうから、「社会的制裁を受けたから執行猶予」という判決文とは異なる謎見解を語る。
けど、そもそも判決理由は違う。

 

被告人を擁護する気もないし、Aの過失は明らかですが、不満が残る本質的理由は「不正改造致死傷罪」という犯罪が存在しないためにBに対する刑が罰金刑にとどまる点ではなかろうか。

 

もし「不正改造致死傷罪」が存在したなら、Bは実刑になることもありうる。
本質的に賠償すべきはBだというのは裁判所が指摘する通りですが、この裁判、

 

「検察官も同タイヤを取り付けてホイールナットの締付けを行ったのが被告人Aであるとは主張しておらず、その立証に照らしてもそれが同被告人であったとは認定し難い」

 

なのよね。
もしホイールナットの締め付けをしたのがAであれば、話は変わる。

 

裁判の報道から見えるイメージと、判決文との間に差があることはよくある。
例えばこれ。

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刑事事件の報道では「幅寄せしたが無罪」みたいに読める内容だったから炎上したけど、判決文を読むと「幅寄せした事実はないから無罪」。
苫小牧白バイ事故にしても、報道と判決文との間にはかなり差があるように見えたけど、要はろくに判決文を読まずにテキトーに語る人が絶えないところにも問題があるのよね。

 

推測系YouTuberらしいテキトーさで、今さら驚きもないのですが。

 

なお、被害者側が不満を持つのは当たり前です。
何の落ち度もないのに植物状態に陥ったのだから、どんな刑罰になろうと、いくら賠償されようと、納得するわけがない。

 

しかし運転レベル向上委員会の人はいくつも判決内容を改竄して何をしたいのだろうか。
判例を扱ってはいけないレベルなのよ。

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