シマノホイールについて質問を頂きました。
質問です。
シマノのデュラエースとかRS700のリムは、アルミリムにカーボンラミネートを貼って軽量化していますが、なぜこの技術はシマノホイール以外だとないのでしょうか?
リムが軽量化されていいことが多いと言うわけでもないのでしょうか?
回答します。
まずはデュラエースのホイールの構造から
Shimano – Dura Ace (デュラエース) R9100 C40 カーボンクリンチャーホイールセット
シマノのクリンチャーホイールでデュラエースグレードだと、C24,C40、C60の三つがあります。
リムだけデュラエースグレードと言うRS700-C30というホイールもありますね。
ここで挙げた4つのホイールのうち、実は1つだけは構造が違います。
それがC60です。
C24、C40,RS700については、アルミリムの表面に薄いカーボンラミネートを施しています。
C60については、アルミリムの上にカーボンフードを付けている状態です。
C60と同じようにカーボンフードのホイールと言うと、カンパニョーロのバレットがありますね。
これはリムのタイヤが嵌るところとブレーキゾーンまではアルミで、エアロに関係する部分についてはカーボンフードを付けている構造です。
Campagnolo – Bullet (バレット) 50 カーボンクリンチャーホイールセット
C24などに見られるカーボンラミネートのリムですが、確かにシマノ以外にはないと思います。
もしかしたら知らないだけであるのかもしれませんが、私の知る限りはないと思います。
正確な理由はわかりませんが
正直なところ、シマノ以外がカーボンラミネートのリムを作らない理由については、よくわかりません。
なので勝手な予想として書きます。
これは推測ですが、もしかしたらこのカーボンラミネートについてはシマノが特許を取得しているのかもしれません。
もしそうであれば、特許は一般的に出願から20年間は保護された権利ですので、その間は他社が手出しできません。
手出しするには特許使用料をシマノに払わないといけないので、そこまでしてやりたいと思うメーカーがないのかもしれません。
次に考えられる理由ですが、手間とコストがかかるわりには意味がないと思っているメーカーが多いのではないでしょうか?
デュラエースC24のフロントリムは、だいたい385gくらいと言われます。
これはアルミクリンチャーとしてはかなり軽量なほうです。
リムが軽いホイールとなると、マヴィックのキシリウムがあります。
キシリウムのフロントリムが410gくらいと言われます。
25gくらいデュラエースのほうが軽いわけですが、c24はリムテープが必要なリムで、キシリウムはニップルホールが開いていないのでリムテープは不要です。
リムテープで20g弱加算されますので、トータルのリム重量としてはほぼ同じくらいになってくるわけです。
フルアルミのリムと、アルミ&カーボンラミネートのリムだと、後者のほうが圧倒的にコストがかかるはずです。
コストがかかると言うことは定価も上がりますし、定価が上がればちょっと売れにくくなりますし、頑張ってカーボンラミネートした割にはさほどいいこともないということになるから他社が手を出さない可能性もあります。
カーボンラミネートしても振動吸収性が上がるわけでもないし
カーボンというと、みなさん振動吸収性が上がることを期待するようです。
確かにカーボンは振動を減弱する効果が、アルミよりも素材的に高いのですが、正直なところカーボンラミネートでは振動吸収性に変化が出るようなものではありません。
あくまでも軽量化のためのシマノなりの1つの結論として、アルミリムを薄く作って、カーボンラミネートで補強したというのが実情でしょう。
しかしながら、キシリウムなどのようにリムの切削技術が高いメーカーであれば、C24に近いだけの軽量リムを作れるメーカーもあるわけで、わざわざコスト増加、定価が上がる方向を選ばないメーカーも多いということなのかなと勝手に解釈しています。
アルミクリンチャーで最高峰と言うとレーシングゼロやシャマルなどがありますが、あれがもしアルミリム&カーボンラミネートになった場合、定価もガッツリ上がるでしょうし、恐らくはホイールとしての性能はさほど変わらないでしょう。
そうなった場合に、単に売れにくくなるだけでしょうから、そんなところにコストをかけなくても・・・という感じなのかなと推測しています(真相はわかりませんが)。
軽けりゃいいというほど単純なものでもないので
リムは軽いほうが有利と言う考え方もあれば、SACRAの著書ではリムの軽量化なんて工学的にはほとんど意味がないと断じています。
まあ、SACRAホイールは、旧ホイールよりもだいぶリムが軽量化されて、リムが軽くなった!と宣伝しているのですが・・・
リムは軽くしすぎると剛性としては落ちますし、カーボンラミネートにすれば剥離する可能性も残ります。
なので強度としてもフルアルミリムより落ちる可能性が出てくるので、他社が手を出さない可能性もありますね。
個人的にはRS700-C30は一度使ってみたいホイールの一つではありますが、シマノホイールの試乗会ってありそうでないので、試乗する機会がありません。
総重量が軽くても走りが重いホイールもたくさんありますし、その逆もあります。
なので重量云々で語れるほどホイールは単純でもないのですが、カーボンラミネートのリムについては、その技術を使わなくてもそれと同等の性能を出せると思っているか、無駄にコストアップするくらいならフルアルミのリムでいいやと思っているメーカーが多いのではないでしょうか?
特許の問題の可能性も否定は出来ませんが。
このあたり詳細はわかりませんが、とりあえずシマノ以外ではカーボンラミネートリムはないはずです。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
マビックがリムを切削するという特許を持っている、という話を聞いたことがあります。
シマノのカーボンラミネートを他が真似しないのではなく、リムを切削するということがマビックの特許のせいで出来ないから仕方なくカーボンラミネートの技術を編み出したのかもしれません。その辺は時系列を確かめてみないと分からないですが
コメントありがとうございます。
その話は聞いたことがあります。
フルクラムなどでもリムの切削技術が使われていますが、カンパニョーロがあえてフルクラムという別会社を立ち上げたのも、特許関係で問題になった際にすぐに潰せるからという噂も・・・
実際のところどうなんでしょうかね?