時々初心者さんと思わしき方から、このような質問を頂きます。
揃えないといけないパーツなども教えてください。
答えとしては、
なので費用は、(新しくディスクブレーキ車を買う値段ー今持っているロードバイクを売る値段)ですよ。
このようにお伝えします。
まあ、強引な方法で言うなら、フロントフォークをディスク用に交換して、フロントホイールをディスクブレーキ用に交換して・・・とやっていけば、フロントだけに限れば出来ないことはありません。
左レバーを油圧ディスク用にして・・・とやっていけばフロントに関しては油圧化は出来なくはないでしょうし、ワイヤー引きのディスクブレーキでもいいならそのままのSTIで対応できますが、掛ける費用に対するリターンが相当微妙な気がしますし、お勧めすることはありません。
左右で違うレバーというのも気持ち悪いでしょうし。
そもそもなんでディスクブレーキにしたいのかというところでは、少し勘違いしている方もいるような気がします。
Contents
なぜディスクブレーキにしたいのか?
こういう質問が来た時に、そもそものところで、
念のため聞くようにしています。
というのも、問題の性質によっては、リムブレーキのままで解消できる可能性もあるから。
理由として、
こういう理由なら、まあディスクブレーキ車を新しく買って下さい、としか言いようがありません。
ディスク化したい理由が、
こういう話の場合、ディスク車への買い替えは、意味がある場合と、意味がない場合はありうるかなと思ってまして。
制動力
ブレーキの制動力ですが、リムブレーキの場合、回転するリムを挟み込んで回転を止めるようにしてます。
制動力については、タイヤと地面の摩擦で発生します。
その上で、ホイールロックせずにスリップしないで、最大の制動力を発揮できる力を、仮に【限界制動力】と呼びましょうか。
その限界制動力については、タイヤ自体の能力で支配しているので、リムブレーキだろうとディスクブレーキだろうと変わりません。
リムブレーキで、ホイールロックする状態を起こしているなら、それがディスクブレーキに変わっても特に変化はないでしょう。
ただし、油圧ディスクなら、引きの軽さなどメリットはあります。
握力が弱いとか(女性など)、そういう事情があって限界制動力まで引き出せていないようなら、軽い力で引ける分、油圧ディスクは効果的といえます。
ただ、多くの場合なんですが、ディスクブレーキ車に乗り換えると、制動力は上がることが多いです。
これはリムブレーキで限界制動力まで引き出せていた人でも。
この理由は、主に二つ。
1、ディスクブレーキ車はリムブレーキ車よりも太いタイヤが装備されていることが多く、太いタイヤのほうがグリップが効いて制動力が上がりやすい。
⇒リムブレーキ車のデフォルトは25cがスタンダードですが、ディスクブレーキ車になると28cがデフォルトの車種も多いです。
2、軽い力で操作できる分、制動力が上がったと感じやすい。
⇒一種の錯覚なんですが、錯覚でも効果的ですので・・・
そういうわけで、どうしてもブレーキングに不安が残るようなら、リムブレーキ車を売ってディスクブレーキ車に買い換えるのも一つです。
リムブレーキ車で制動力を上げるには?
リムブレーキ車でも、制動力を上げるために出来ることはあります。
グリップ力が高いタイヤに変える
たぶんこれが一番効果的なんですが、グリップ力が高いタイヤに変えれば、制動力も上がります。
ただし先ほども書いたように、限界制動力まで引き出せていないような握力の弱さがあるなら、タイヤよりもブレーキキャリパーの交換が先かもしれません。
グリップに定評があるタイヤですが、各メーカーの一番上のグレードのタイヤは、だいたいハイグリップです。
コンチネンタルのGP5000とか、ヴィットリアのコルサとか。
ブレーキキャリパーのグレードを上げる
ブレーキキャリパーのグレードを高いものに変える、というのも効果的です。
最低でも105、もしくはアルテグラあたりを使うのがいいかなと。
低いグレードのブレーキキャリパーを使っている場合、強くブレーキングしてもリムがズルズル回っていくだけで、タイヤの限界制動力まで引き出せてないこともあるので、そういう方には効果的です。
リムを磨く
アルミリムの場合限定ですが、リムをマヴィックストーンで磨くことにより、一時的に制動力を上げることは可能です。
どうしてもアルミリムのブレーキ面は、どんどん汚れていくわけですが、マヴィックストーンで磨くと、このようにキレイになります。
画像の中央から左がまだ磨いてない状態、右が磨いた状態。
磨いた直後は、ブレーキ掛けた感触がダイレクトになるというか、ちょっと制動力が上がる感じはします。
まあ、そのうちすぐに汚れていくわけですし、あくまでもヤスリで削っているので、頻繁にするのはNGなんですが。
アルミリムでも、マヴィックのエグザリット加工のリムや、カンパ・フルクラムのプラズマ電酸化処理されたリムには出来ません。
ブレーキ面がコーティングされているリムはこのメンテはNG。
ハンドルの角度
ハンドルの角度やSTIの角度などを見直すだけで、制動力が上がることがあります。
ブレーキは手で握るものなので、握力が発揮しやすい位置と角度にレバーがあることが大事です。
ハンドルを【送る】、【しゃくる】とか言いますが、最近だとステムとハンドル一体型もあるので、そういうのは無理です。
特に手が小さい女性とか、わずかな角度の違いで、ブレーキングが全く変わることがあるので、少しずつハンドルを回転させていい位置を探ったほうがいいです。
あとは、ブレーキレバーが遠過ぎるなら、リーチ調整すればレバーの位置を近づけることも可能です。
現行モデルなら、デュラエースからクラリスまで、ドライバーで調整できます。
カバーをめくって、動かすだけです。
人間って、手がグーの状態で最も握力が掛かるので、最もブレーキレバーを引いた状態で手のひらが結構開いているなら、多少調整してレバーを近づけるだけでも制動力が上がるというか、少ない力でブレーキ操作できるようになる可能性はあります。
ディスク車に買い換えるにしても、このセッティングが出来てないなら、意味ないですし。
一応、リムブレーキ・ディスクブレーキ共用フレームもある
ほとんどのメーカーのフレームは、リムブレーキ専用、もしくはディスクブレーキ専用です。
たぶん、今はWILIERだけだと思うんですが、チェントウノNDRというフレームは、リムブレーキとディスクブレーキ、どちらも使える仕様になってます。
完成車は、リムブレーキ完成車とディスクブレーキ完成車があります。
リムブレーキ完成車で買った場合には、別売りのスルーアクスルキットを買えば出来ますが、コンポとホイールも総入れ替えしないとディスクブレーキ化できませんし、あまりメリットはないかも。
あとリムブレーキ車とディスクブレーキ車は、根本的にフレームの設計方向が違うので、ディスクブレーキ車に乗りたいなら最初からディスクブレーキ専用のフレームにすべき。
どっちがいいかは
リムブレーキ車であっても、多少は制動力向上のためにやれることはあります。
ただし、雨天時の制動力については、ディスクブレーキに圧倒的なアドバンテージがあるので、雨天時の制動力の話であれば、即刻ディスクブレーキ車に乗り換えたほうが早いです。
あと、リムブレーキ車でカーボンリムを使う場合、どうしてもアルミリムよりは制動力は落ちます。
ブレーキシュー次第の選択という面では多少出来ることもありますが、カーボンリムとブレーキシューの相性が悪いとあまりリムに優しくないので、そこまで出来ることが多いわけでもありません。
で、リムブレーキ車を売ってディスク車に乗り換えるなら結構気をつけてもらいたいのですが、中古屋に査定させると、驚くほど低い金額を提示されることが普通です。
それこそ、買って1年未満の12万くらいのアルミ完成車とか、査定させると半額以下が普通です。
ヤフオクとかメルカリならもうちょっと高く売れるでしょうけど、発送したりなど面倒だったりもします。
何ヶ月か前の話ですが、イーストンのEA90 SLXという、定価15万の軽量アルミクリンチャーを売って他社のホイールを買う予定だという方とメールしていたのですが、どこで売るのが一番高いのかみたいな話で、一番高いのがヤフオク、ヤフオク売値の70%以下になるのが中古屋の買取、みたいな話をしてました。
で、ヤフオクでの平均売値を調べて教えてあげたところ、かなり衝撃を受けたようです。
なにせ定価15万くらいのホイールが、ヤフオク相場だと45000円行くかどうかでしたので。
勝手な予想ですが、たぶん10万以上で売れると思っていらしゃったのではないかと。
ヤフオク相場だと、前後バラ売りする方がいたり、極端に状態が悪いジャンク品を出品する人もいたりするので正確な数字は出ませんが、5万行けば御の字。
中古屋だと、それこそ3万円とか言い出しかねないところでして。
思っている以上に中古って大した値段にならないことが多いので、もしリムブレーキ車を売ってディスクブレーキ車にするのなら、資金面で無理がないように気をつけましょう。
ずいぶん昔、それこそクロスバイクブームの頃ですが、定価55000円くらい、乗っていたのは1年、メンテはバッチリ、ホイールは軽量手組みに交換済み、タイヤはパナレーサーのRACE Aというものを売るために中古屋に査定してもらったら、驚きの8000円でした。
あまりにも安かったので、
と、思いっきり嘘ついてみたのですが、その中古屋の人が
と言ってきたので、これマジでこの買取額なのか・・・と衝撃を受けた思い出があります。
話が思いっきり脱線しましたが、どうしてもブレーキ面で不満が残るなら、タイヤを変えるとか、ブレーキキャリパーを変えるとか、リムブレーキでも出来ることはあります。
しかし、ディスクブレーキ車で同じようにいいタイヤに変えたら、やっぱディスク車のほうがブレーキ面では有利に来るわけですし、そこまで悩むならディスク車に買い替えのほうが早い気がします。
コメント
こんにちは
どうでもいい話だと思いますがCARRERAからリム、ディスク両対応フレーム出てますよ(キャリパー、ダイレクトマウント、フラットマウントディスクの3種対応)
ポディウムのサイトからみてみてください!(リンクコピーはれませんでした)
AR-01とエラクルエア
コメントありがとうございます。
今確認したのですが、フォークはディスクブレーキ専用、キャリパーブレーキ専用になっているようですね。
フレームはキャリパーもディスクも使えるという・・・
なかなか不思議なスペックだなと思ってしまいました。