こちらの件。

ついでだから書いておこう。
数年前になるが、某メディアが以下の記事を発表した。
なお、「自転車は軽車両だから、歩行者と同じ扱いではない」「降りて押しているときは歩行者扱いだが、自転車に乗っているときは車両である」などと間違った解釈が拡散されがちだが、警察庁に確認したところ「横断歩行者等」の「等」に自転車が含まれるとのこと。自転車に乗っていても降りていても同じである。横断歩道では、歩行者同様、自転車にも優先権がありクルマは必ず一時停止をする義務がある。
クルマはどうすりゃいいのか……取り締まり急増中の「横断歩行者妨害」と、増える「歩行者にも過失アリ」での最適解 - 自動車情報誌「ベストカー」信号の有無にかかわらず、横断歩道は歩行者優先であり、運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務がある。ここでいうところの「横断歩道」には、白線が引かれていない歩道をクルマが横切る場合も同様に含まれる。白線や信号がなくても歩道であれば歩行…
しかし警察庁が、自らが著した解説書に反する見解を回答するのだろうか?という疑問が。
自転車に乗り横断歩道を横断する者は、この規定による保護は受けません。
法の規定が、横断歩道等を横断する歩行者等となっており、横断歩道等の中には自転車横断帯が、歩行者等の中には自転車が含まれまれているところから設問のような疑問を持たれたことと思いますが、法38条1項の保護対象は、横断歩道を横断する歩行者と自転車横断帯を横断する自転車であって、横断歩道を横断する自転車や、自転車横断帯を横断する歩行者を保護する趣旨ではありません。ただし、二輪や三輪の自転車を押して歩いているときは別です。
つまり、あくまでも、法の規定(法12条、法63条の6)に従って横断している者だけを対象にした保護規定です。
道路交通法ハンドブック、警察庁交通企画課、p2140、ぎょうせい
たまたまこのジャーナリストの連絡先を知っていたので直接聞いてみたんです(過去にこのジャーナリストからメールがきたことがある)。
その結果の一部。
「警察庁に確認した」と記事にあるのに「福岡県警につながった」などという。
質問の仕方が悪いのもそうだけど(38条における歩行者等は「歩行者又は自転車」となっているのだからその質問をしたらそうなるのは当たり前で、聞き方が悪い)、「警察庁に確認した」が「福岡県警」になったことに疑問。
そしてそれについてさらに聞いたところ、このジャーナリストは#9110に電話しただけらしい。
警察庁に確認するのと都道府県警察に確認するのでは全く違いますし、都道府県警察本部交通企画課が間違い回答を多発することは過去何度も取り上げてますが、

過去に都道府県警察本部の誤りを指摘して何度も見解を訂正してもらった経験があるのでして。
で。
警察庁に聞いてないのに「警察庁に確認した」という記事をメディアが発信することは正直どうかと思うので、素直に失望したことを伝えましたが、なぜか逆ギレされる。
逆ギレされた内容からするに、私がこのジャーナリストの何に失望したかを理解してない様子でしたが、記事は以下に改訂された。
警察庁が展開する#9110(警察相談専用電話 地域の警察本部などにつながる)に確認して集まった回答が以下となる。
クルマはどうすりゃいいのか……取り締まり急増中の「横断歩行者妨害」と、増える「歩行者にも過失アリ」での最適解 - 自動車情報誌「ベストカー」信号の有無にかかわらず、横断歩道は歩行者優先であり、運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務がある。ここでいうところの「横断歩道」には、白線が引かれていない歩道をクルマが横切る場合も同様に含まれる。白線や信号がなくても歩道であれば歩行…
「警察庁が展開する」とわざわざ付する意味がわからないけど、どうしても「警察庁」というフレーズを使いたいようにしか見えないのよね…
で。
こういう事案を知ると、他の事案について「きちんと取材して裏を取ってます」と力説していても懐疑的にみてしまう。
いやいや、警察庁に確認してないのに「警察庁に確認した」という記事を発した過去があるじゃん…という話になってしまうのでして。
警察庁に確認してないなら、最初からそんな文言を書かずに記事にすれば済むし、なぜしてないことを「した」と公言するのか意味がわからない。
ところで、#9110は「相談の対応については、その場で専門の相談員が対応する場合や専門の担当部署をご紹介する場合などがあります(各都道府県警察本部で対応が異なります。)」とありますが、
「専門の相談員」というのは相談を受ける専門という意味でして、専門分野の相談員ではない。
法律解釈を質問するには適さない。
しかし、県警本部交通企画課であれば正しく回答するかというと別問題でして、例えば福岡県警本部交通企画課に以前質問したときの内容。
私「道路交通法38条1項の解釈について確認したい。自転車横断帯がない横断歩道を自転車が横断しようとしているときに、車両には法38条1項に基づく一時停止義務があるか?」
県警本部「その質問については一概に無いとは言えません。なぜなら交通事故を起こしたらダメだからです」
私「横断しようとする自転車がいた場合であっても、横断しようとする歩行者がいないと言えなければ1項前段の減速義務があることと、事故を起こしたら過失運転致死傷罪になるから現実には一時停止すべきなのは承知の上で質問しています。横断歩道を横断しようとする自転車がいた場合について、法38条1項後段の一時停止義務がありますか?」
県警本部「ありません…」
県警本部的には、事故防止の観点を重視するから、間違ったことを言ってるわけではない。
けど質問と回答が乖離してんのよね。
なぜこうなるか?
インターネット上の意見を見ていると「優先権がない側は轢かれて当然」という恐ろしい意見を述べる人が一定数いる。
県警本部的には38条の正しい解釈を啓蒙するよりも、間違った内容であっても事故防止になるならかまわないみたいな雰囲気を感じる。
そもそも、道路交通法上の一時停止義務がなくても事故を起こしたら過失運転致死傷罪として処罰されることを考えると、県警本部の回答方針が誤りとまでは言えませんが、
世の中はきちんと理解している人ばかりではないのよね。
けどそれを理由に不正確な情報を発信していい根拠にはならないし、警察庁に確認してないのに「警察庁に確認した」と発信するのもどうかと思う。
ちなみにきちんと勉強して記事にする記者さんもいて、


マスコミが「小児用の車」について語るのを見て、きちんと取材・勉強した人なんだなとわかる。
下記動画を見ても、小児用の車について指摘している人がほとんどいないように、知られていないのよね。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。








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