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保育園や幼稚園等の付近を通行する車両の注意義務。

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痛ましい事故がありましたが、事故態様はこう。

男の子は保育園に母親が迎えに来た際、園の外に出て道路の方に走っていき、走行中の車の左側面にぶつかったとみられています。

保育園近くでは飛び出しを予見し回避義務が… 静岡・沼津2歳児重体事故 運転手逮捕の理由 地元からは「裏道でスピードを出す人も」との声も【詳報】(静岡放送(SBS)) - Yahoo!ニュース
5月27日夕方、静岡県沼津市にある保育園の前の市道で、2歳の男の子が車にはねられ、重体となっています。一夜明け、園長が取材に応じ、園としても安全対策を進める姿勢を示しました。<東部総局 竹川知佳

保育園の出入口は見通しが悪くなっていますが(一見すると左右の見通しが悪い交差点にも見える)、警察はこのように説明している。

警察は運転手を逮捕した理由について、公園や保育園などの近くでは子どもが出てくることを予見して回避する義務があり、その注意を怠ったためとしています。

さて、これは何を指すのでしょうか?

 

今回のケースは過失運転致傷容疑(自動車運転処罰法違反)であり、逮捕容疑は道路交通法違反ではない。
過失運転致傷罪の成立要件は「予見可能なことに注意せず、事故を回避しなかったこと」になりますが、

 

勘違いしやすいのは、道路交通法71条2号(幼児等通行妨害禁止義務)の問題ではない。

(運転者の遵守事項)
第七十一条
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
二 監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。

この規定が車両の運転者に義務を課していることは明らかなところ、「監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは」としているように、見通しが悪く「徐行や一時停止体制に入るのに必要な距離において」幼児等を視認出来なければ義務を課せないことになる。
これは当たり前な理屈で、「クルマは急に止まれない」のだから、徐行や一時停止体制に入るために必要な制動距離以前に幼児等を視認不可能なら、当該義務の履行はできないからになる。
(もちろん徐行体制に入るために必要な距離において、幼児等を視認できたのなら別。)

 

ではなぜ「予見可能」と言うかですが、どうも警戒標識208「学校、幼稚園、保育所等あり」に類する路面標示があるらしく、

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警戒標識208「学校、幼稚園、保育所等あり」

学校、幼稚園、保育所等があるため道路交通上注意の必要があると認められる地点の手前五十メートルから二百メートルまでの地点における左側の路端又は児童若しくは幼児が小学校、幼稚園、保育所等に通うため通行する道路の区間で小学校、幼稚園、保育所等の敷地の出入口から一キロメートル以内の地点における左側の路端

警戒標識ってそれ自体が具体的な運転方法を指示するわけではないのですが、要は通常であれば「飛び出し」については信頼の原則の問題が生じる。
警戒標識に類する路面標示で「児童が高頻度で通行する場所」としているのだから、「児童が高頻度で通行する場所」→「児童は注意義務が劣るよね」→「児童は飛び出しが予見されるから、それに応じた速度と方法で運転しなさいね」となり、「飛び出しが予見不可能」という言い分が成り立たなくなる。

 

つまりこの警戒標識に類する路面標示は、過失運転致傷罪の注意義務として信頼の原則を適用しない「特別な事情がある場合」とも言えるのよね。

 

つまり、何らかの出入口らしき構造があれば、そこが保育園等の可能性があり、飛び出しが予見されるから徐行等の措置が求められることになる。
あくまでも道路交通法上の規制として具体的指示をしているわけではないから、徐行等の措置を取らずに「たまたま事故が起きなかったなら」道路交通法違反(法70条、安全運転義務)に問うことは困難。
しかし事故が起きたならば注意義務違反として徐行等の措置を取らずに漠然進行したなら有罪になりうる。

徐行と明示しているわけではないため、何らかの方法で注意していれば注意義務を果たしていたことになりますが、現実的には徐行かと。

ちなみにこの保育園の出入口ですが

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「車両の運転者目線で」、一見すると交差点にも見える。
結果的に交差点ではなければ「左右の見通しが悪い交差点の徐行義務」(42条1号)はなかったことになりますが、それは結果論なのよね。
車両の運転者目線で「交差点ではない」と断言出来なければ徐行義務があり、たまたま交差点ではなかったから違反は成立しないことになりますが、

 

以前書いたように、義務の発生と違反の成立は必ずしもリンクしていない。

結果論で考えない道路交通法の義務と違反。
道路交通法の一部規定には、義務の発生と違反の成立が一致しないものがあると思ってまして、違反の成立を基準に考えるといろいろ間違う気がしてます。今回はそんな話を。合図車妨害たぶんこれが顕著に出るのは合図車妨害禁止の話。(左折又は右折)第三十四条...

道路交通法71条2号は車両の運転者に「監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは」としているのだから、車両の運転者が当該幼児等を視認できる状況において課された義務。
この義務はいわゆる「飛び出し」でも適用がありますが、要は道路端などに幼児等がいて「運転者から視認できる場合」についての話。

 

道路交通法の義務以上の注意義務を要求していることは多数の判例からも明らかですが、要はこの道路を通行する際の注意義務とは何なのか?という話になる。

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「児童注意」の路面標示があるのだから、文字通り注意する必要があるし(注意の方法は様々あるだろうけど、徐行又は徐行に近い速度に落とす必要がある)、

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「運転者目線において」ここが交差点ではないと言い切れないのだから、左右の見通しが悪い交差点の徐行義務が発生する(違反の成立は別問題)。

 

具体的な状況がわからないので他の注意義務が加重される状況だった可能性もありますが、道路交通法の義務と過失運転致死傷罪の注意義務は別なのよね。
なぜかこれを理解してない人が多いのですが…

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