時々聞く話なんですが、
こういう話があります。
温度が高くなると気圧が高くなるという気体の性質(ボイルーシャルルの法則)から見ても、まあ言いたい意味は分かります。
私自身は、夏場と冬場で空気圧は変えていませんが。
ボイルシャルルの法則で考えてみる
ボイルシャルルの法則は、
一定量の気体の体積V[m3]は、絶対温度T[K]に比例して、圧力p[Pa]に反比例する
これですね。
式にすると、
pV/T=一定
という奴です。
で、チューブ内の空気の体積が一定だとすると、温度が高いほど圧力は高くなるわけです。
で、実際に冬場と夏場で、チューブ内の気体の温度がどうなっているのか、よくわかりません。
ブレーキングするとリムが高温になることは知られていますし、特にカーボンリムだと、リムの放熱性が悪いためにチューブの温度が上がります。
カーボンリムにラテックスチューブがNGなのは、これが理由ですね。
で、V(体積)=T(温度)/p(圧力)です。
温度が上がってもチューブ内の体積は一定と仮定して、もし仮に冬場のチューブ内の温度が10度、夏場が40度だとしますよね。
この数字は未検証なので、かなりテキトーです。
仮定条件 | 冬場 | 夏場 |
チューブ内温度 | 10度 | 40度 |
チューブ内の圧力 | P1 | P2 |
こういう仮定条件で計算するとどうなるかというと、
(273+10)/P1 = (273+40)/P2
P2 = P1× (313/283)=P1× 1.1
冬場の空気圧に比べて、夏場は約1.1倍になるという話です。
(注:この法則での温度は絶対温度なので、いわゆる通常の気温に273を足したものになります)
例えば冬場に7Bar入れていたら、この前提条件では夏場は7.7Barになるという話ですね。
ただしこれ、そもそも夏場と冬場のチューブ内温度は正確には不明なので、実際にどうなのかはわかりません。
かなりテキトーにチューブ内温度を仮定しているので。
実際、7Barと7.7Barだと、乗ってみて全く違うレベルですし、実際にそんなことはありえません。
というのも、冬場に室温10度の部屋で7Bar空気を入れるのと、夏場に室温28度の部屋で7Bar空気を入れるのでは、全く意味合いが違うからです。
なので上の計算は、もし室温10度の部屋の中で7Bar入れたとして、その状態でチューブ内の温度が50度になるような環境に出た場合の話なんで、全く意味がない計算と言えますw
実際、チューブ内の温度がどれくらいになっているのかは不明ですが、もし仮に室温28度の部屋で空気を入れて、外を走ってチューブ内の温度が仮に40度になったとすると、
P2 = P1×(323/311) = P1× 1.04
7Bar入れていて、7.3Barになる程度の話です。
実際、どれくらいチューブ内の温度が上がるかは不明なんですが、路面温度が50度超えていたとしても、チューブ内温度はもっと低いと思われますし。
ブレーキ熱で、カーボンリムだと最大300度を超えるとか、アルミリムでも250度に達するとか言われたりしますが、これらは最悪な条件(ブレーキ掛けっぱなし)などの条件です。
ブレーキングを解除した瞬間に、アルミリムだと一気に100度近く下がるとか言われたりもします。
やたらと高圧で運用するライダー以外は、さほど気にしなくてもいいんじゃないかと思ったりもします。
まあ、実際にチューブ内の空気の温度がどれくらいに達するのかは、不明です。
タイヤのゴムが熱を吸収しているでしょうし、チューブのゴムも熱を吸収しているはずなんで、路面温度がそのままチューブ内の空気の温度になるわけもありません。
男性諸氏ならわかるでしょうけど、ゴムを付けるかどうかで全くといっていいほど、ぬくもりが違うのと同じなのかと。
たった0.03mmとかでも違うのに、はるかに厚みがあるタイヤやチューブのゴムならなおさらかなと思ったりもします。
まあ、温度を測ったことがないので、実際の温度はわかりません。
やるとしても、わずかに低めくらいでいいかと
真夏と真冬で、空気圧を変えるような運用はしていませんが、それをしていない理由としては、
同じ空気圧で真夏と真冬に乗ってみて、違う感じがしないんですよね。
気のせいか、真冬のほうが乗り味が硬く感じることすらありますが、これは空気圧よりもタイヤゴムの問題なのかと思ってます。
真冬のほうがゴムが硬いような感触がしますが、気のせいと言えば気のせいかもしれない。
もし、真夏だからと空気圧を変えるにしても、せいぜい0.3Barとかそんなもんじゃないかと思いますが、そもそも皆さんは真夏と真冬で空気圧を変えていますか?
変えなくても、乗り味が変わったような感触がないので、変えずに運用していますが、繊細な人だと違いを感じるのかもしれません。
異常なレベルで空気圧を高めにしている人以外は、気にしなくていいんじゃないかと思っていますが、最近はいいのか悪いのか低圧ブームですし、なおさら気にする必要性は高くないのかもしれません。
そもそも、チューブ内の温度、どれくらいになっているんでしょうかね?
ちなみにブレーキ熱でラテックスチューブが溶ける話は、また別物です。
あれは単純に、チューブの温度が上がりすぎて、熱に弱いラテックスが溶ける話なんで。
カーボンリムにはラテックスチューブはNG。
このような記述がありました。
ラテックスゴムの耐熱連続使用温度は70度、瞬間使用温度は120度。 対してブチルゴムは、連続使用温度は110度。 瞬間使用温度は150度
当店ではラテックスチューブを販売していません – サイクルショップ マティーノのブログ
これはゴム自体の特性の話ですが、実際にこんな温度までチューブが高くなることはマレでしょうし、中の空気の温度はもっと低くなるはず。
実際、真夏でも普通にラテックスチューブで運用してますが、溶けたことはないですし、そう考えると、チューブ内の空気の温度なんてたいして高くなってないのかもしれません。
こういうのって計測する方法が思いつかないし、即座に冷却効果が働いてしまうので、すぐにタイヤを外してチューブ触ってみても無意味ですし。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
絶対圧力なら別ですが、空気入れに付いている空気圧計はゲージ圧なので夏場も冬場も関係ないと思います。
コメントありがとうございます。
すみません、その件をすっかり失念してました。
確かにおっしゃるとおりです。