PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

カーボンフレームの【ヘタリ】。カーボンフレームの寿命はいったい?

blog
スポンサーリンク

読者様から、カーボンフレームのヘタリについて質問を頂いてました。

 

読者様
読者様
S-worksのフレームは中古で購入(ヤフオク申告では2015年モデルとのこと)したのですが、初心者もいいところな人間が乗る限りでは不満などあろうはずもなく楽しんでいるのですが、フレームの寿命、とくに「へたり」という点が気になりました。

 

個人的にはアルミだろうがカーボンであろうが、通常使用している範囲で弾性率などが変化していくというのは考えにくいと思っています。そのため、中古と新品の違いは、破損や汚れを除けばないものとと考えていますが、管理人さんはどのようにお考えでしょうか?

 

アルミが利用中にヘタるのであれば、それこそブレーキキャリパーなんて大変なことになりますし。「アルミフレームがへたって来た」と主張しているネットの書き込みは見かけますが、ブレーキキャリパーがへたったという情報は見たことがありませんし。

 

カーボンは、もちろん素材の差が大きいので「ない」とは言い切れないかもしれませんが、元の形をとどめていているのに、数年程度で弾性率などの物性値が変わるというのは考えにくいとも思っています。が、ネット上には、「変わる」「変わらない」の両意見があるようですね。紫外線などによる劣化はある程度あるでしょうが、室内保管がほとんどでしょうし。

 

ちなみに当サイトを見ている方は察したかもしれませんが、こちらの質問の方です。

全て売ってディスク車にするか、今持っているリムブレーキ車をグレードアップすべきか?
4台ロードバイクを持っているという方から、今持っている機材を全て売ってディスクブレーキ車にするか、今持っているリムブレーキ車を整理しつつグレードアップすべきか?という質問が来てました。 こういう話って時々来ますが、まあ、どこで決断するかです...

 

これはいろんな説がありますが、ちょっと面白い論文を見つけましたのでご紹介します。

ヘタリの定義

まず、【ヘタリ】というものが、何を指すのかです。
剛性の低下なのか、強度なのかなんですが。
ちなみに剛性と強度は全く違う概念です。

 

ロードバイクにおける剛性、強度、耐久性の違いって??
ロードバイクに乗る上で、よく出てくる単語に【剛性】というものがあります。 剛性が高いフレームとか、剛性が低いホイールとか。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 剛性について理...

 

質問を読む限り、懸念されているのは剛性のほうだと思います。
剛性検査をしているものを見つけることが出来なかったので、ちょっと意味合いは変わりますが、強度、特にカーボンフレームの層間剥離についての論文があったので、そっちをご紹介。

管理人
管理人
層間剥離は、カーボンの積層の間が剥離することです(そのまんま感)

カーボンフレームの層間剥離

こちらがその論文です。

http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/N00112.pdf

 

平成26年のものなので、比較的新しい報告です。

 

なお、この論文中に出てくる関連論文はこちらです。

 

・CFRP製自転車の損傷に関する調査と検査方法について
https://www.jbpi.or.jp/report_pdf/2012_38.pdf

 

・CFRP 製自転車の損傷に関する調査と検査方法について(第二報)
http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/N00109.pdf

 

超音波検査を用いて、カーボンフレームの損傷を調べています。
レース会場などに無料検査会場を設置し、35件のカーボンフレームについて超音波検査を実施。

検査動機 件数
レースとは関係なく検査を受けた、気になるところはないが検査を受けてみた 13
以前から気になっていたが、そのままレースに出場した後に検査を受けた 20
レース時に落車・転倒したため、レース後に検査を受けた
合計 35

層間剥離の発生によって大きく変わるのが圧縮強度。
カーボンフレームにおいて、層間剥離を生じ圧縮強度が低下すると、突然フレームが折れる危険性があります。
これらの内部損傷は、見た目では判断付かないことが多いので、超音波検査が有効ということです。

 

層間剥離などの問題が見られたのは、3件だとしています。




引用:http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/N00112.pdf

 

この中で、一台は製造時から入っているボイドなのか、事故により生じた剥離か判断できなかったとしています。
残りですが、バックホーク(シートステー)の層間剥離で要観察、もう一台は上パイプ(トップチューブ)の層間剥離で過酷な使用はなるべくしないようにとのことです。

 

これを見ると、走行距離400キロ(使用年月、一か月)でも層間剥離があった事例もあれば、落車転倒履歴があっても何ら問題ないフレームもある。
16000キロ(使用年月、2年6か月)でも何ら問題ないフレームもあるわけです。

 

比較的使用歴が少ないフレームばかりなので、これだけでは何とも言えないところですが。

強度検査

こちらの論文の17ページからですが、

http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/N00112.pdf

 

二つの疲労試験を行っています。

1、ペダル荷重による疲労試験

立ち漕ぎを想定し、左右交互に負荷を実施

 

2、水平力による疲労試験

前後方向に負荷を実施

 

3つのフレームを使った結果として、

軽量なもの、すなわちパイプ肉厚が薄いものほど衝撃に対して弱いことがわかった。

少なくともパイプ肉厚の薄さが衝撃への耐性に大きく影響することは間違いない。

 

http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/N00112.pdf
29ページより

このようにしています。
またカーボンフレームの補修も、実用上の強度は十分あることも示されています。

 

フロントフォークの試験も実施されています。
こちらの結論としては、

前ホークは衝撃により耐久性が大きく変化することがあった。衝撃付与によりホークステムの根元やホーク足に損傷を生じることがあり、その後疲労試験をすると損傷が伸展し、前後方向のたわみが大きくなるなど試験続行不可能なことが多かった。
ホークステムの根元についてはフォークスリーブが装着されていることが多く、取り外さない限りは非破壊検査も実施できないため、衝撃付与されたものは交換することが望ましい。

 

http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/N00112.pdf

多くのメーカーではフォークの保証期間は1年とかにしているのですが、衝撃がかかったフォークについては交換したほうがいいとしています。

で、ヘタリについて

カーボンフレームの寿命はどれくらいなのか??というのは、10年は大丈夫とか書いてあるところもあります。
論文を見ていった限りですが、走行距離が長くても問題ないものもあれば、ほとんど走ってないのに層間剥離が見られた事例もあるので、これはモノによりけりなのかもしれません。

 

今のところ、私が知る限りですが、カーボンフレームへの超音波検査を実施しているのは、カーボンドライジャパンさんだけだと思います。
ショップレベルで置いてあることは聞いたこともない。

 

シートステイの破断、キレイに直してもらいました!と報告頂きました。
先日書いた、奇妙なフレーム。 こちらのブログの管理者さんより、メール頂きました。 紹介しても構わないとのことでしたので、ありがたく使わせていただきます。 ご厚意に感謝します。 シートステイの修理 詳しくはリンク先の画像を見てもらえばわかりま...

 

CDJで修理した新車を買ったという方から、画像を頂きました。
先日のカーボンドライジャパンで修理したフレームの話に関して、読者様からメール頂きました。 ※ショップ名は伏せます。 修理されたカーボンフレームを新車で購入 最初、補修済みの新車ってなんだ??と思ったのですが、何らかの事情で新車のカーボンフレ...

 

落車歴があるとか、異音がするなどの時に、本当は超音波検査したほうがいいんでしょうけど、送らないといけないのであんまり現実的でもない。
カーボンドライジャパンさんは中部地方だと出張で検査してくれるサービスもあるわけですが、

 

404 Error! | カーボン補修ならCDJ カーボンドライジャパン

 

これ以外の都道府県の場合は、送らないと検査できないわけで。

 

コインチェックだと、恐らく層間剥離レベルでは感知できないと思うので、落車歴がある場合などは、本当は超音波検査受けたほうがいいんでしょうね。
せめて各都道府県の一つとか、各地方に一つとかでもどこかに超音波検査装置を置いてもらえば、もうちょっとフレーム検査が身近になりそうですが・・・

 

純粋な走行疲労でのヘタリについては、プロレベルだと【ヘタリがわかる】とか言われますが、一般サイクリストではどうでしょうかね?
私にはたぶんわかんないです。

 

というのも、あるところで急激に剛性が落ちるわけではなくて、日々、僅かに落ちていくものでしょうから、体感しづらいかと。
逆にいうと、急に剛性低下を感じるようであれば、何かしらの異常が発生している可能性もあるかもしれません。

フレームの【ヘタリ】をある種の劣化とみるならば、カーボンの繊維自体の劣化もあれば、今回のように層間剥離が発生したことで、本来あるべき強度と剛性が落ちることもあり得ます。
層間剥離については、超音波検査をすればある程度検知可能。
層間剥離がない劣化については、うーん、どうなんでしょうかね。

 

一つの可能性としてなんですが、飛行機のボディにもカーボンは使われますよね。
ああいうのの耐用年数ってどれくらいなんだろ?と調べたのですが、モノによっては50年とか出てくるので、あんまり参考にはならないですかね。
飛行機の場合、ロードバイクのフレームのように、軽量性重視とかでは作らないでしょうし。
カーボンフレームは紫外線で劣化するとか言われた時代もありましたが、紫外線で劣化するなら、飛行機なんかには使えないような。

 

軽量なフレームほど衝撃には弱いことは明らかなので、よく言われる

 

管理人
管理人
エントリークラスのカーボンフレームは、耐久性が高い

 

これは真実かと。
エントリークラスのカーボンフレーム=肉厚があって重めなフレームなので。

 

で、一番の問題点ですが、中古で買ったフレームですよね。
前のオーナーがどのように使っていたのか、全くわかりません。
落車歴はない!と自己申告されても、真相は闇の中・・・

 

なので中古で買ったフレームだと、本当は超音波検査したほうが安心なのと、フォークについては消耗品と割り切って交換できればいいのかなと思います。
とはいえ、フォークを気軽に交換できるようなシステムはなくて。
フレーム購入店で取り寄せは可能でしょうけど、年式によってはカラーリングが変わってしまいますし、発注してすぐに入荷するようなものでもない。
中古で買ったフレームなら、そもそもフォークだけ交換に応じてくれるかすらわからない。
純正フォークにこだわらないなら別かもしれませんが、いまやヘッドも特殊規格だったりするので、汎用品のフォークが使えるとも限らない。

 

とりあえず言えることは、本当に強度面で心配なら、超音波検査するしかないということです。
このあたりは調べない限りは、真相はわからない・・・となってしまうので。

 

アルミの劣化については、昔は

いろんな人
いろんな人
アルミスポークのキシリウムはヘタリが早い

などと言う人もいましたが、これもプロレベルじゃないと分からないような。
スポークの場合、素材自体の劣化なのか、スポークテンションが落ちたことでの見かけ上の剛性低下なのか、何とも言い難いところもありますし。

 

※やや不安を煽る内容になってますが、実態として、走行中に折れるような事態はマレかと。
落車歴、異音、フレームの傷など、総合的に判断して、普段から注意深く見ておくしかないでしょうね。

 

質問者さんが求める内容とはちょっと異なると思うのですが、これも一つの見方として、挙げておきます。




コメント

タイトルとURLをコピーしました