ちょっと面白い話を教えていただきました。
車道に自転車帯?があるわけですが、先行してる自動車が左折をしようとした場合に「自転車帯」をよけて左寄せが正解なのか、それとも34条に則し従来どおり「自転車の追い抜き防止、巻き込み防止」を目的とし、自動車が30m直前からの路肩寄せなのか警察にきいてみた
従来通り「路肩寄せ」であってた! pic.twitter.com/9LacayyhHg
— Kazuhisa SHOUSHIN (合併症治療中 (@info_PW) August 11, 2020
これ、本当にそうなの??という話だったのですが。
車両通行帯
この青い部分が、いわゆる自転車レーン、正式には自転車専用通行帯ですね。
これの道路交通法上の規定はこちらです。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
この画像だと、第一通行帯が自転車専用、第二通行帯が車ですね。
第一通行帯は自転車専用なので、車やオートバイがここを走ることはできません。
ちなみにこれは、
自転車通行帯ではなく、自転車ナビマーク、ナビラインです。
これは単なるマークなので、あまり意味がありません。
左折の方法
左折の方法は、このようになってます。
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
出来る限り道路の左に寄ってから左折しろということですね。
で、最初の話。
こういう道路で、第一通行帯が自転車通行帯だとします。
車が来て、左折する場合に、
どっちなの??という話。
自転車しか走れないはずの自転車レーンに、車が入ってくることがどうなのよ??という意味だと思います。
で、もう一度道交法の車両通行帯の規定に戻ります。
先ほど、あえて20条3項を書かなかったのですが、それがこちら。
第二十条
3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
前二項というのは、決められた車両通行帯を通れよ!というところですが、以下の場合ではその規定によらないでもいいと書いてあります。
・追越しするとき
・25条1、2項
・34条1~5項
・35条の2
・26条の2第3項
・40条2項
・やむを得ないとき
これらの場合では、車両通行帯の区分通りではなくてもいい、ということです。
つまりは、これらに当てはまる場合に、車が自転車レーンを走ることが問題なくなるわけで。
で、左折に関わるのが34条。
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
34条の左折の場合は、車両通行帯の区分に従わなくてもいいということなので、このツイッター主さんが聞いて来たとおりです。
というよりも、車のほうは左折する際は左に寄せてから左折しないと違反なので、自転車を妨害したいわけではないので。
なのでこれが正解。
で、交差点ではなくて、コンビニなどに入ろうと左折してくる場合。
第二十五条 車両は、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならない。
25条のケースでも、自転車通行帯があっても、左折のために左に寄るのは構わないとあるので、これも当然OK。
ということで、これで正解です。
ちょっと分かりづらい点があるかもしれないので、補足を。
34条のカッコ書きで
道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して
これって何?と思う人がいるかもしれないので。
このように解説があります。
「道路標識等」とは、規制標示「右左折の方法」(111)のことで、現在規制標示は定められていない。
野下文生・道路交通執務研究会(2017)、執務資料 道路交通法解説、p307、東京法令出版
これは左折する際の目安が書かれたライン・矢印のことですので、誤解ないよう。
ただし例外もある
車が左折する前に自転車レーンにまで入るのは問題ないと言いたいところなんですが、例外が2つあります。
①進路変更禁止の規制(イエローライン)
自転車レーン側にイエローラインの規制が掛かっている場合、イエローラインを超えた進路変更が禁止されています。
なのでこの場合は自転車レーンにまで入るのは違反になります。
②進行方向別通行区分が指定されている場合
自転車レーンのすぐ右側の車線に【←】マークが描かれて左折帯になっている場合。
この場合、進行方向別通行区分を通行する義務が優先するため、自転車レーンに入るのは違反になります。
第三十五条 車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。
ここでいう前条第1項というのは、34条1項を指します。
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
つまり【←】の道路標示が付いている車線であれば、34条1項の左寄せ義務が無くなり、その車線のまま左折しないといけません。
仮にこのトラックがいる車線に【←】という道路標示があった場合には、35条1項の規定に基づいて【←】が付いている車線のまま左折しないと違反になるのでご注意を。
とはいえ、混乱を避けるためにこういうケースではイエローラインで進路変更禁止になっていることが多いので、そこまで混乱することはないだろうと思われます。
なお、大型車が左側端まで寄せきれないときの注意義務や、自転車通行帯まで寄せきれないときの注意義務はこちら。
知らないと
で、これ。
自転車側が知らないと、パニックに陥る可能性が。
車のクセに、自転車レーンに入ってくるなよ!!
違反だぞゴルァ!!
こういう間違いを起こすので、自転車乗りとしては知っておいてください。
(左折又は右折)
第三十四条
6 左折又は右折しようとする車両が、前各項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。
(進路の変更の禁止)
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
急な進路変更で幅寄せとか、急停止させられる状況なら、進路変更したほうが悪い。
前車が左折するために進路変更のウインカーを出している場合は、それを妨げてはいけないということです。
まあ、自転車通行帯だけでなくても、交差点があれば何かが起こりうるので、注意していろよという話です。
ちなみにですが、このように前車が適切な合図をして既に左に寄せている場合。
この状況をさらに、左からすり抜けしようと思うロードバイクがいるとは思いませんが、危険であるだけでなく、判例でも後続車の過失になっているようなので(当たり前ですが)、間違っても自爆しに行かないように。
その他、自転車レーンに自転車以外がいるケース
車両通行帯通りではなくてもいい、という規定は、先ほども挙げたこちら。
・25条の1、2
・34条の1~5
・35条の2
・26条の2,3
・40条の2
・やむを得ないとき
25条はコンビニなど、道路外に出るときの話しなので先ほど書いたとおり。
34条は交差点での左折時に、自転車レーンに入って左端に寄るという規定。
35条の2はあんまり関係なくて、あとはパトカーや救急車などの緊急自動車を優先させるときだとか、道路工事などでやむを得ない場合です。
ちなみに自転車レーンであっても、駐停車禁止の場所でない限りは、駐車・停車している車もあるので、まあ、しょうがないですね。
ということで、
自転車レーンだからといって、必ずしも車が入ってこないというわけではない
これ大切。
特に、交差点での左折と、店に入るためなどに左折するケースでは、車には左端に寄せてから左折する義務があるので、自転車レーンだろうと入らないといけないわけです。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
自転車専用レーンを走っていたときに、ガソリンスタンドへ入る車とぶつかったことがあります。車に少し傷がついただけだったので警察は呼ばなかったのですが。
むしろ事前に自転車レーンに入ってからスタンドへ入ってくれれば防げたのになぁ、と感じています。(今までそんな車は見たこと無いですが)
コメントありがとうございます。
一応、車は左端に寄ってから左折する義務があるので、本来なら違反なんでしょうね。