何度か取り上げている、電動キックボードの話。




新特例について警察庁はパブリックコメントを実施してましたが、結果が発表されています。
電動キックボード パブコメ
警察庁によると、24件の意見があったそうです。
この特例の要点はこちら。
・小型特殊自動車はヘルメット着用義務が無いため、電動キックボードも同じ
・時速15キロまでに制限する
・自転車レーンと自転車道の通行が可能
パブコメで出ている主な意見はこちら。
○ 個人が所有する物も特例措置の対象にしてほしい。
○ 「小回り右折」により交差点を右折するのは危険である。
○ 乗車用ヘルメットの着用義務をなくすことは、危険であるので反対。
○ 事業者に対し、利用者が希望すれば乗車用ヘルメットを使用できるようにする措置を義務付けるべき。
○ 電源が入っている電動キックボードを押し歩く者の法的扱いを明確にすべき。
○ 自動車の運転者は、二輪車等の走行に危険を感じており、電動キックボードについても、普通自転車専用通行帯の通行を認めることに懸念がある。
○ 最高速度を引き上げてほしい。
○ 15km/hを超える速度を出すことができないことを証明するのは困難であるため、最高速度又は定格出力のいずれかの基準を満たしていれば足りることとしてほしい。
○ 座り乗り型も認めてほしい。
○ 車輪の大きさの下限を制限すべき。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000217981
24件の意見ということなのでさほど多いとは思いませんが、この問題、おかしな法整備をされると、自転車ユーザーにとってもリスクになるので、ある程度注視していたほうがいいかなと。
現状、警察庁の考え方としては、特定レンタル事業者だけに限定していく方針のようです。
実際のところ、楽天などで探すと結構な数の電動キックボードがヒットします。
こういうのって、免許が必要なことや、ナンバープレートを取得する必要があるわけですが、残念ながら書いていないところも。
ただし、ちょっと気になる点もあります。
上の商品のレビュー。
非常に楽しい乗り物です。子供が毎日取り合いで乗っていて楽しそうで、買ってよかったと思える商品でした。
うーん・・・
子供って、免許を取得している高校生とか大学生を指していることを祈るばかりです。
まさか家の庭で乗っているわけではないでしょうし。
ほかにも速度が結構出るものも販売されている以上、信頼できる業者に絞らないと無法地帯になりかねません。
というよりも、既になっている可能性も・・・
なので警察庁としては、ノーヘル+自転車道などを走行できる電動キックボードは、特定レンタル事業者だけに限定する方針には変わりない。
まあ、速度を上げて欲しいとか、ノーヘルは危険だとかいろいろ意見は出ているようです。
時速15キロまでに限定しているので、実質的には自転車よりも遅い乗り物ですし、警察庁としてはとりあえず今の特例のままで行く様子。
各事業者はヘルメットを推奨しているとも書かれているのですが、出来れば実際のヘルメット着用率も調査対象にしてほしいかも。
たぶん、被る人は皆無に近いほうだろうとは予想しますが、こういうのって考え方次第でもある。
原付扱いだと、オートバイ用のヘルメットを着用しないと違反になる。
小型特殊扱いになったので、ヘルメットは自転車用でも構わなくなった。
見方を変えれば、ヘルメットの自由度が増したとも言えるわけで。
ちょうどカブトからDAYSというカジュアルヘルメットが発表されましたが、
オートバイでこれを被っていたらアウトですが、特例対象の電動キックボードではこれも使える。
まあ、レンタルという都合上、ヘルメットもレンタルというと抵抗がある人のほうが多いとは思うので、難しいところですが。
あくまで特例
今回の特例をまとめた警察庁の通達はこちらです。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kouki/kouki20210408.pdf
個人的な要望としては、時速15キロまで、自賠責あたりをしっかりしてくれるなら、別に自転車レーンでも構わないし、ノーヘルでもいいかなと思います。
速度の規制が緩和される方向性ならまた話は変わってきます。
ノーヘルについて危険だという意見もあるようですが、自己責任が求められる日本なので、事故っても自己責任です。
自転車もノーヘルのママチャリなんて腐るほどいますが、事故ったときに

こんなことを主張する奴がいたら、頭がおかしいとしかいいようがない。
乗らない、という選択肢もある中で、乗ることを選択したのは誰なんですか?という話。
私自身はこの手の乗り物について、乗らないという選択肢を行使します。
海外のデータを見る限り、乗り慣れていない人の事故が多いような印象があり、無駄な怪我とかしたくないので。
そもそも必要が無いというのが本音ですが。
ただこういうのって短絡的な思考の人もいて、一件事故が起こっただけで騒ぐような人もいます。
頭打って死んだらどうするんだ!みたいな。
乗る・乗らないの選択肢は個人にあるので、自己責任が大原則という事実を見落としているのでしょうか。
また、頭打って死んだら・・・などというなら、今すぐ車やオートバイ、自転車等を廃止しないと辻褄も合いません。
年間どれくらい死者が出ているんでしたっけね。
余計な誘因事故も避けたいので、ロードバイクに乗っているときにはなおさら注意します。
非接触驚愕事故もありますし。
ただこれは、普段どの乗り物に対しても、追越しするときには距離を取るのが原則なので、何かが変わるわけでもありません。
恐らく今後も、この特例が販売しているものまで対象になる可能性は極めて低いと思います。
これだけ多種多様な電動キックボードが販売されている中、全てをノーヘル+自転車道など解禁すると危険。
調べるということ
こういう法律がらみのことについては、法や通達などの原本を当たって確認するようにしてます。
というのもマスコミの報道ってかなりいい加減で、誤認する人って普通にいる。
実際、全ての電動キックボードが解禁されたかのように誤解している人って結構いましたし。
先日の障害者の無人駅の話もそうなんですが、

本人の釈明や報道では、なぜか【合理的配慮】だけがクローズアップされているように感じます。
法の原文を読めば、こうです。
(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
なんでここを報道しないのかもわかりません。
【その実施に伴う負担が過重でないときは】という大前提がある。
このように法の原文から検討する癖が付いたのも、行政訴訟を経験したからという側面が大きいのですが、法律関係は何か報道があったときに、法や通達の原文を見ることが大切。
原文を見ると、報道っていい加減だなと感じることも多いですし。
ただまあ、私が通達を見てまとめたことについて、何ら根拠もなく、ほかのサイトの内容をまとめたんだ!みたいな謎の批判をしてくる人も残念ながらいます。
こういう根拠が無い批判しかできない人なんだなと思うだけですが、第三者を批判するときに、根拠もなく憶測で批判するのって、普通はあり得ないこと。
その程度の批判しかできない人だな、根拠が無い批判しかできない人なんだなと思うだけ。
そして自分は調べていないことの言い訳をするという、意味不明な状況になります。
訴訟を通じてプラスになったなと思うことってあって、わからないものをわかったふりをしてみたり、曖昧なものを曖昧なままにしてみたりすると、だいたいは間違う。
訴訟自体は本当に大変でしたが、憶測で批判しないことや、感情論では何も動かせないことを学んだという点ではプラスだったのかもしれません。
障害者さんのことでも思うのですが、事前に調べて、わからないことだったら聞いて解決してから出発していれば、何も問題は起こらなかったはず。
分からないこと、確信を持てないことを曖昧なままにして進むから、問題が起こる。
どこに聞くのか分からないなどと言い訳するのも自由ですが、確信が持てないまま進めば問題が起こる確率が上がる。
大きな企業ならお客様相談室があることは周知の事実なので、とりあえずお客様相談室で検索すれば何か出てくるし。
調べることって、自分を守ることでもあるわけで、必要がある人は調べて、わかってから行動する。
調べないで進めば、何が起こるかわからないし、起こった結果は自己責任にしかならない。
調べることが手間だとか時間が掛かるとか言い訳するのは自由ですが、その結果うまく行かなかったならそれは自己責任。
障害者だから、という色眼鏡で批判しているのではない。
根拠のない批判とか、言い訳ばかりの人にはうんざりすることもありますが、ネット社会って本当に難しいですね。
裁判用語に【主張自体失当】というのがあるのですが、平たく言うと【法的に無意味な主張】みたいな意味合いで使われます。
私の裁判の判決文でも、【被告の主張は失当であって】みたいな表現が出てきます。
根拠が無い批判をする人ってまさにこれだと思うのですが。
第三者を貶めるためには、客観的根拠のない批判も駆使する姿勢というのは、どうなんでしょうね。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
警察庁のパブリックコメントたったの24件というのは1/24として正直がっかりです。
あちこちの匿名掲示板やら動画サイトのコメントでは盛んに意見を言う人がいるのに。
私なんぞの意見が顧みられる事はないだろうなと諦めの気持ちはありましたが、
それでも懸念事項や改善提案、考えられる限りのことは送っておきました。
規制緩和は結構な事ですが、交通環境改善とセットで考えて欲しいもんです。
コメントありがとうございます。
パブコメですが、そもそも存在を知らない人も多いのではないかと思っています。
また、警察庁に建設的な意見を言うほどではなく、単にグチレベルで何か言いたいだけの人もいたのかもしれません。
あと、言ったところで意見が通るとは思わないという、諦め感もあるのかもしれません。
言ったところで既に決まっているんでしょ?みたいな諦めの境地も。
個人的には、もう少し実証実験の件数と期間を増やして、その結果を見て法制化してほしいです。