ロードバイクで交差点に進入するとき、車道から来た場合は車道の信号に、歩道から来た場合は歩道の信号に従うことがルールです。
ただややこしいことに、こういう信号機がある場合も。
歩行者自転車専用信号機がある場合の話。
【歩行者自転車専用】信号
この信号機ですが、元々は横断歩道と自転車横断帯が併設されているケースを想定して設置されています。
ここの信号機も、歩行者自転車専用になってますね。
ところが、ところがです。
警察庁は自転車を歩道から車道に行かせたい方針にしたため、自転車横断帯は原則撤去の方向になっています。
そうなった場合、信号機だけは【歩行者自転車専用】のまま、自転車横断帯だけが撤去されるわけです。
実はこの信号機ややこしいことに、

車道を走行してきても、車道の信号機に従うと法律上は違反です。
法律通りにすると、このようになります。
※微妙にイラストが間違ってますが、車道から来た自転車が直進するなら横断歩道に従わなくても車道を直進して問題ありません。
ただし、横断歩道を「通過」する際に、道路交通法38条の「横断歩行者妨害」になる可能性があるため、その場合は一時停止して歩行者を先に行かせるか、降りて押して歩くことになり、歩くなら横断歩道に従って通行することになります。
横断歩道を自転車に乗ったまま横断する場合、歩行者の通行を妨げる恐れがあるときには降りて押して歩く必要があります(25条の2第1項)。
警視庁の説明でもそうなってます。
(信号の意味等)
第二条 4 公安委員会が、人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅又は人の形の記号を有する赤色の灯火の信号を表示する信号機について、当該信号機の信号が歩行者及び自転車に対して意味を表示するものである旨を内閣府令で定めるところにより表示した場合における当該信号の意味は、次の表の上欄に掲げる信号の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
信号の種類 信号の意味 人の形の記号を有する青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。
二 自転車は、直進をし、又は左折することができること。人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。
二 自転車は、道路の横断を始めてはならず、また、当該信号が表示された時において停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除き、停止位置を越えて進行してはならないこと。人の形の記号を有する赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。
二 自転車は、道路の横断を始め、又は停止位置を越えて進行してはならないこと。
三 交差点において既に左折している自転車は、そのまま進行することができること。
四 交差点において既に右折している自転車は、その右折している地点において停止しなければならないこと。5 特定の交通についてのみ意味が表示される信号が他の信号と同時に表示されている場合における当該他の信号の意味は、当該特定の交通について表示されないものとする。
なのでこれもアウトになってしまう。
より厳密に法を解釈すれば、こうなっちゃう。
停止線より前で自転車から降りて歩道に上がり、【歩行者自転車専用】の信号が青の時に左折する形。
まあ、一度歩道に上がってしまえば、イチイチ信号に従う必要もなく、歩道から車道に降りて走行開始すればいいんですが。
これが厳密な法解釈になります。
<追記>
車道の信号機は車道だけ、横断歩道の信号機は横断歩道だけにしか拘束力が無いと勘違いする方がいるようなので、こちらにまとめておきました。
交通法108条の28の規定に基づき、国家公安委員会がきちんと決めています。

バカバカしい
私がロードバイクに乗っているときに、こんなバカバカしいプレイをするのかというと、

世間一般のほとんどのロードバイクと同じように、車道の信号機に従って走行します。
もちろん、法律を守ると豪語する方にはこのようなプレイは許されていません。
そもそも、【歩行者自転車専用】の信号機がある理由は、自転車横断帯です。
自転車横断帯を通行させるためには、この信号機が必要だった。
けど自転車横断帯が撤去されたなら、法律上は通行義務があるとはいえ、守る気はゼロです。
ちなみに自転車横断帯が交差点の外にあるときは通行義務がないと解説しているサイトもあるようですが、法律上は間違い。

法律と実務(運用)の違いだと思ってまして、自転車横断帯の通行って罰則が無いんですよ。
正確に書くと、警察官から指示されて従わない時だけ罰則がある。
第六十三条の七 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。
2 普通自転車は、交差点又はその手前の直近において、当該交差点への進入の禁止を表示する道路標示があるときは、当該道路標示を越えて当該交差点に入つてはならない。
(自転車の通行方法の指示)
第六十三条の八 警察官等は、第六十三条の六若しくは前条第一項の規定に違反して通行している自転車の運転者に対し、これらの規定に定める通行方法により当該自転車を通行させ、又は同条第二項の規定に違反して通行している普通自転車の運転者に対し、当該普通自転車を歩道により通行させるべきことを指示することができる。
(罰則 第百二十一条第一項第四号)
よほど特殊な構造の交差点を除けば、現場の警察官は、車道を走っているロードバイクに【横断帯を通行しなさい】なんて言うことはまずありません。
理由は簡単。
直進したいのに左折するかのようなフェイントを掛けているのと同じなので、危険すぎる。
それと同様に、【歩行者自転車専用信号機】についても、イチイチ取り締まりするとは思えない。
以上の理由から、私は普通に車道の信号機に従います。
どこだか忘れましたが、特殊な構造の交差点で車道を通行するのが危険だと思った場合は、歩道に乗り上げて歩道の信号に従いますが。
ただし信号無視扱いなので、やろうと思えば罰則ですね。
けど10年くらいスポールサイクルに乗ってきて、こんなので警察官に怒られたこともないですし。
自転車横断帯を撤去したにもかかわらず、そんな信号機を残している公安委員会が悪い。
ちなみに自転車横断帯について、【交差点付近】には交差点外が含まれないという判例があると書いてあるサイトもありますが、最大手の判例検索システムを使ってもヒットしませんし、警察としてもそんな判例は知らないそうです。
二つの信号機を見る必要性
法律通りで行くならば、歩行者自転車専用信号機がある場合は、それに従うしかありません。
自転車横断帯が残されている場合は降りずにそのまま通行できますが、横断歩道しかなく歩行者が歩いているときには押して歩くことしかできません。
車道を走るロードバイクに乗っては、交差点に差し掛かる前に、常に二つの信号機を見る必要があります。
車道の信号機の色と、横断歩道側の信号機に【歩行者自転車専用】があるかどうかですね。
というよりもコレ、守っている人がいるんでしょうかね?
このように自転車横断帯が残っていても、奥まっていることもあるため、
遠くの段階から、横断歩道側の信号機を確認するのは至難の業だとしか思いませんが・・・
自転車横断帯が撤去される方向とはいえ、全てを撤去するのではなくて、普通自転車通行指定部分が残っている場合などには自転車横断帯も残す方針です。
こういうのって警察に聞くと、原理原則を語る人と、実態を語る人に分かれます。
・原理原則を語る警察官

けど取り締まりしているかは別問題です。
・実態を語る警察官

信号無視って故意犯じゃないですか。
車道も歩道も赤なのに突破すれば信号無視する意図が分かるので取り締まりするけど、車道が青、歩行者自転車専用信号が赤だった場合、単に知らないだけで信号無視する意図があるとも言えない。
なので悪質性があるとまでは言えないから、取り締まるのはちょっと違うよね?というところの模様。
ただまあ、やろうと思えば取り締まり出来なくはないですし、今後創設される自転車少額違反金制度では対象になる可能性もゼロとは言えない。
法律を守るという人は、交差点の前には必ず歩道側の信号機の標識までチェックしないといけません。
いつも法律を守ると豪語する人なら、こういうのも当然守るんだろうな。
自転車の歩道通行が解禁されたのが昭和45年、自転車横断帯が定義されたのが昭和53年ですが、その頃の歩道通行の名残がコレ。
警察官でも、実務上の話をする人だと、守らなくても違反として扱わないとオフレコの話をしますが、法律を守る人は守るしかありません。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
自転車横断帯の撤去は確かに、原則 車道通行となる自転車が、交差点横断時に歩行者の立場を強いられる事への不合理性を是正する事がその動機と云われていますが、これは表向きの解釈だと考えています。
2011年頃に警察庁から現場警察への通達事項の様ですが、横断帯削除と同時期に横断歩道上を自転車に乗車したまま横断可能とした法改正と同時期です。
現在も、現場警察は、自転車の車道通行には、難色を示しており、地方では、撤去されている交差点は、自転車の車道通行が物理的に困難とさる交差点に限って撤去されているのが実情です。
自転車が車道通行しそうな交差点ほど 撤去されていないと云う皮肉な対応が現実です。
毎回話がメチャクチャだと思うのですが。
>横断帯削除と同時期に横断歩道上を自転車に乗車したまま横断可能とした法改正
→道路交通法上、自転車が横断歩道を横断することが禁止されていたことはありません。
>現在も、現場警察は、自転車の車道通行には、難色を示しており
→歩道通行禁止にしたりしてますが?
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/937704
何を言いたいのか毎回わかりませんが、事実誤認が著しいようですのでまずは事実を理解していただけますか?