文章とイラストの意味を理解しないと、ね。

先日、こういう記事が出ていました。

https://www.asahi.com/articles/ASP8L5GTYP7WPTIL00W.html

大阪府警はいい運動をしているなぁと思うのですが、この記事の中身自体には特に間違いがあるわけではありません。
ただしこういうのって恣意的解釈をしてしまう人も出るのではないかと危惧しているところがありまして。

イラストの解釈

この記事では、イメージ図で違反となる類型をいくつか紹介しています。

ここ最近、どうも道交法解釈を捻じ曲げる人たちがいるわけで、またおかしな解釈の基準とされなければいいなぁと思ってました。

上の画像の違反を考えてみると、このようになります。

違反内容根拠法
路側帯通行違反、車両通行帯違反17条1項、20条1項
左追越し違反20条3項
車線変更禁止違反26条の2第3項
割り込み禁止違反32条
逆走17条4項

この画像がわかりづらい点としては、左側が路側帯になっているところ。
路側帯は歩道がない道路の場合なので、歩道がある場合には路側帯ではない。

歩道がある場合で考えます。

イエローラインがあるので車両通行帯になっている。

イエローライン規制が掛かっているところは100%車両通行帯なので、①は車両通行帯最外側線の外を走っている状態。
これはバイクだろうと自転車だろうと違反が成立しますが、最近はここに自転車ナビラインが描いてあることも多い。
ナビラインは法定外表示とは言え警察が主導で作っているものなので、目安を書いて違反を取ることは出来ない事情を考えると、自転車については違反を取れないことがほとんど。
オートバイや原付は通行帯違反になります。

そろそろクドイですが、複数車線=車両通行帯ではないですからねw

先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているので...

さて、当初の画像に戻ります。

画像左から二番目の、左追越し違反。
これ自体は全くその通りで左追越し違反ですが、追越しの定義を法的に解釈すると、追い付かずに進路を変えずに追い抜きすることは、同一車線内でも違反ではない。

二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

条文意味
他の車両等に追い付いた場合27条の車間距離まで迫った場合。道路の進行方向に向かって、前後の車体が一部もしくは全部重なっていること。
進路を変えて道路の進行方向に鋭角をつけて進むことで、左折や右折を除く。
車両等の側方を通過同一道路内で横を通る
当該車両等の前方に出る前に出ること全般

これらを全て満たすのが追越しの定義なので、進路が重なっていない状態とか、追いつく前に進路を変えている場合は追越しではなく追い抜きになる。

※前後の車体が重なっていない以上、【追いついた】が成立しない。

記事中では、まずすり抜けという言葉を定義している。

すり抜け運転とは「二輪車が車の側方を通過すること」。

https://www.asahi.com/articles/ASP8L5GTYP7WPTIL00W.html

道交法ではすり抜けという用語の定義はありませんが、この記事では追越し・追い抜き・側方通過全てをすり抜けと表現していることがわかる。

記事は単に違反の類型を挙げているだけで、違反ではないものを解説していない。
ここを混同する人って多いのかなと思うのですが、違反である行動と違反ではない行動の差を比較している記事ではなくて、違反である行動を列挙しただけのもの。
イラストや文章で示されていない行動が違反かどうかについては、勝手な妄想を入れることなく、個別に判断するしかない。

例えば文章ではこのように説明されています。

走行中の車を左側から追い越すといった運転のことで、道路交通法で禁止されている

https://www.asahi.com/articles/ASP8L5GTYP7WPTIL00W.html

あくまでも左からの追越しが違反ですよというだけで、左からの追い抜きが違反かどうかについては言及していない記事だというのは理解できるかと。

あの記事が、左から追い抜きしたにもかかわらず、違反だとして糾弾する人の材料にされなければいいなと。
同一車線内で左からでも右からでも追い抜きは成立しますが、追越しではなく追い抜きであれば違反ではない。

もはや日本語能力と論理的思考の能力の問題ですが、こういうイラストを見ただけで、左から追い抜きするのも違反だと謎解釈に陥る人っていますからねぇ・・・

これに対して謎の反論をする人たちがいるのですが、【追越しするときは右からって書いてあるだろ!】と。
追越しの時は右からですが、追い抜きは右からなんて一言も書いて無い。

【同一車線内では追い抜きは成立せず、追越しになる】という珍論を掲げる人もいるのですが、そんな法的根拠はどこにもない。

車両通行帯の件でもそうですが、

先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているので...

法律論を語っているのに、法律で返せない人って基本的に無能。

こういう大手媒体の記事の意味を読み違えて、自分勝手な解釈をする人もいるのですが、単に違反になる事例を挙げているだけのこと。
違反とはならない事例については触れていない。
ここを理解できない人も残念ながらいる。
まあ、上の記事の内容はそこまで解釈が難しいものでもないので、誤解する人も少ないかもしれません。

議論が成り立つ人と成り立たない人の差

よくあるのが、

いろんな人
いろんな人
教習所でこう習った!
いろんな人
いろんな人
このサイトにはこう書いてある!

違反かどうかという法律論をしているわけで、議論が成り立つ人だと、きちんと法の条文や専門書、判例を引用して反論してくる。
こういう人とは議論が成立しますが、教習所で習ったとか、専門性が乏しいネットの記事を引用する人って、そもそも議論が成立しない。
教習所は厳密な法解釈を教えているわけでもなくて、危険だけど違反ではない行為も一律で違反だと教える傾向にあるし、大手サイトの記事内容なんかについてはそもそも信憑性が高い根拠はどこにもない。

大手の記事だと信用性が高いと思い込む人もいますが、内容がどうであるかが問題なので大手とか個人とか一切関係ない。
そもそも、法律の専門家でもない人がチェックしているという点では大手だろうと個人だろうと変わりませんし。
編集長とか責任者があらゆる分野に精通して、法律もバッチリカバーしているスーパーマンなわけもない。

先日もある大手サイトの記載内容について質問を頂いたので回答したのですが、その記事の内容を見ると、車両通行帯の話と複数車線の話を混同しているので、そもそも読む価値が無いという回答をさせていただきました。
あるときは【複数車線の場合】と書いてみたり、あるときは【多通行帯がある場合】となっていて、両者を明確に分けていない時点で書き手が混同している。
しかも警察が回答した意図も、【法に抵触しない】のか、【現実的に違反を取ることはない】なのかでも違う。

刑事訴訟って、検察官VS被告人弁護士という構図。
検察官も司法試験を突破しているわけで、判決が出る以上は、極論するとどっちかの主張は間違っていることになる。
民事でも原告弁護士と被告人弁護士、どちらかの主張が間違っていたことになる。

一審ではトンデモ判決も多いですが、裁判官も当然司法試験を突破している。

必ず正しいことを語るわけでもないのが明らかなのに、資格を持っているというだけで信用する人って理解しがたい。
弁護士という人が、何を語っているかという言動で信用が得られるわけで、弁護士だから常に信用されるわけでもない。

肩書至上主義で中身を見ない人も増えている中、記事も恣意的解釈する人が出ないといいなと思ってます。
たいして勉強もしていない人が、的外れな主張することってネットでは多いですしね。

ちなみにですが、ムリな追い抜きや信号待ちで先行車よりも前に出ようとするの、基本的にはオススメしていません。
法律を理解して、違反であることと、危険だけど違反ではないことは分けて考えるべき。

一番理解しがたいのは、書いていないことを勝手に想像して書いてあることにしてしまう人。
事実と推測の違いも分からないレベルなんだと思いますが、ちょっとこのレベルになるとかわいそう。

結局のところ

一番左が路側帯の場合は別として、オートバイも自転車も、交差点での信号待ちで左からすり抜ける行動は、ラインを越えていれば第一通行帯の外を走っていることになるので違反です。
自転車の場合はナビラインが描いてあることが最近は多いので、ナビラインが描いてあるなら事実上は違反を取ることは不可能。

ただまあ、ロードバイクが信号待ちで前に出たところで、どうせ速度差で抜かれるのは必至。
イチイチ前に出るとおかしな追越しや追い抜きをされて激オコするだけなんでしょうから、マナーとしては無理に前に出ないほうが好ましいのは言うまでもなく。

ちなみに今だに複数車線=車両通行帯だと信じる人は、当たり前ですが車両通行帯最外側線の外を走ったら、言動に矛盾があることになります。
都合よく使い分けるバカがいるのかはわかりませんが。