私、電動キックボードの推進派ではないのですが笑、この問題についてはきちんと理解している人が少ないことが問題だと思う。
実証実験の第二期は「時速15キロしか出ない特定レンタル事業者の電動キックボードを、小型特殊自動車扱いすることによりヘルメット無しの実証実験」でした。
一応、データの一部が公表されてます。
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実証実験の結果
ヘルメット無しの実証実験について、2021年4月~10月の違反件数と事故数が公表されてます。
詳しくはこちらを参考に。
以下、データ等の引用は下記リンク先です。
https://www.mlit.go.jp/common/001469846.pdf
合計(4月~10月の7ヶ月間) | |
乗車人数 | 85869人 |
乗車時間 | 73546時間 |
走行距離 | 539041km |
事故件数 | 11件 |
違反件数 | 80件 |
なお、事故については内容が簡単に公開されてます。
1、歩行者接触(怪我なし)
2、逆走してきた自転車から接触(怪我なし)
3、停車車両へ接触(怪我なし、軽微物損あり)
4、自損転倒(打撲、捻挫)
5、後方からきた自転車から接触(怪我なし)
6、停車車両へ追突(怪我なし、軽微物損あり)
7、自転車へ追突(先方捻挫)
8、停車車両へ追突(怪我なし、軽微物損あり)
9、自損転倒(打撲)
10、自損転倒(擦り傷)
11、不注意運転タクシーから接触(打撲、物損なし)
2と5と11は「もらい系事故」と思われますが、それ以外は電動キックボードの運転者に責任があるものと思われます。
違反の詳しい内容は見当たりませんが「駐車違反と歩道通行」とあります。
なおこの実証実験については、電動キックボードを「小型特殊自動車」とみなす特例ですので免許を保有した人だけのデータです。
ヘルメット無しで危険を感じなかった人が94%、ヘルメットが備え付けられていたら被りたい人が13%となっています。
ちょっと面白いなと思うのは、非利用者からのアンケート。
・歩行中に、原付に危険を感じる人 48%、自転車に危険を感じる人71%、キックボードに危険を感じる人 48%
・車を運転中に、原付に危険を感じる人 59%、自転車に危険を感じる人70%、キックボードに危険を感じる人 61%
・バイク運転中に、原付に危険を感じる人 61%、自転車に危険を感じる人68%、キックボードに危険を感じる人 61%
・自転車運転中に、原付に危険を感じる人 50%、自転車に危険を感じる人62%、キックボードに危険を感じる人 49%
歩行中 | 車を運転中 | バイクを運転中 | 自転車を運転中 | |
原付に危険を感じる | 48% | 59% | 61% | 50% |
自転車に危険を感じる | 71% | 70% | 68% | 62% |
キックボードに危険を感じる | 48% | 61% | 61% | 49% |
自転車の印象悪すぎワロタ笑。
安定した高率をマーク。
当サイトを見ているサイクリストさんはきちんとした人が多い印象がありますが、世間が自転車に向ける悪評は数字に出ちゃってるのが痛い。
そりゃさ、カジュアルに信号無視とか逆走とか無灯火とかキメキメな奴らが多いからですよ。
単なるデータです。
データを見て違反が少ないか多いかについては、あえて評価しません。
一応この実証実験は「小型特殊自動車」扱いなので、青切符の対象です。
しかし警察官が実証実験を理解していない話もチラホラ出てましたし、全ての違反を取り締まりしているわけではないことは容易に想像つく。
539041kmの総走行距離(7ヶ月間)で事故件数は11件。
単純計算だと、約49000キロの走行に1回の事故となりますが、他のモビリティ(車や自転車等)と比較するにはサンプル数が少ないと思うので、これも評価しづらい。
他のモビリティについて、似たようなデータをお持ちの方がいましたら教えてください。
あくまでも実証実験は免許持ちの人限定です。
令和4年に可決された改正道路交通法では16歳以上なら免許不要で乗れます(施行はまだ先です)。
また、実証実験は「特定レンタル事業者の電動キックボード限定」ですが、改正道路交通法ではレンタル品に限定されません。
個人的には、「免許持ってない人も含めた実証実験」をして欲しかったですが、その実証実験は法律上不可能。
一応、免許持ってない人と持っている人で違反率がどれくらい違うかについて、クローズドの場所で実験していたはず。
こちらのリンク先に有識者会議の発表がありますが、この中で触れています。
個人的には免許制は維持すべきだと思っています。
理由はシンプルで、免許制にすると電動キックボードの違反により点数が加算されますよね。
「たかが電動キックボード」という甘い考えがあったとしても「だけど、違反すると点数加算で車の運転にも響く」という自制心が働く可能性があるから。
電動キックボードの違反を重ねてゴールド取消とか免停なんてバカバカしいから自制心が働く余地があります。
とりあえず言えることですが、正しく法律を理解することと、データを見ること。
批判するなら正しく批判しないと説得力がない。
まあ、既に可決しましたけど。
けど、思っているよりも転倒事故は少ないみたい。
データについても、実証実験の前提条件と、改正道路交通法が違うことまで加味して考えないと。
ちなみに実証実験の第一期は「時速20キロまで、自転車レーン走行可能、原付扱いでヘルメット義務」でした。
実証実験第一期も重大事故は出ていないはずですが、データが見つからない。
強いて言えば、違反件数が80件、延べ85869人が使用したので数字上は1073人に1人が違反。
総走行距離が539041キロなので約6738キロに一回の違反と言えます。
しかしこれも「違反取り締まり件数」なので、実態とは乖離があるのは当然です。
実際には取り締まりに遭っていない違反はあるわけで、それがどのくらいなのかは謎。
ちなみに「ヘルメットが任意」になる件。
ヘルメットが任意になると、自転車用ヘルメットでも問題ないことになります。
現在のオートバイや原付はヘルメット着用義務がありますが、道路交通法施行規則ではこのようになっています。
第九条の五 法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。
一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
特定小型電動キックボードはヘルメットが任意になるため、この規定に沿わないヘルメットでも問題ありません。
「被るな」というルールではなく、「ご自由に」ですから。
工事現場用ヘルメットでも問題ありません。
海外では自転車用ヘルメットを推奨したりしているところもありますが、ヘルメットが任意ということはある意味ではヘルメットの自由度を広げたとも取れます。
被りたい層も少ないけどいるみたいだし、そういう人には自転車用ヘルメットが可能なのは朗報なのかもしれません。
とりあえず、「すぐに転びそう」とか印象だけで語っても何も発展しないわけで、反対するなら理路整然と反対した方がいいと思う。
私は「免許必須」だけして欲しかったけど、それ以外の点は反対しません。
歩道通行モードの時速6キロを作ったのは評価しますが、どこまで取り締まりをしっかりするかですね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
警察の発表によれば、平成25年度末の自動車の総走行距離は約7,462億kmで、26年度中の事故件数は57万3,842件です。
年度末と年で多少の誤差はあると思いますが、単純計算で自動車の事故は130万kmで1件起きています。
データが古いのは単純に新しいものが見つからなかったからです。
それと比べると電動キックボードは54万kmで11件で4.9万kmに1件起きています。
色々な条件が違いすぎて単純な比較はできませんが、数字だけみると多く感じますね。
コメントありがとうございます。
車との比較だと走行性能に雲泥の差がありますから、自転車と比較できたほうがより適切かもしれません。
けど車のデータをみると、130万キロに一回だと事故が多いのか少ないのかよくわからない数字になりますね笑。
電動キックボードはどの程度普及するのかわかりませんが、これだけ反対者が多いなら乗る人が増えるのかもやや怪しいような。
あとは、実際の事故の内どの程度が申告されているかですね。電動キックボードで単独で転んだとか、擦ったとかも事故にカウントされているかどうか?
確実に言えるのは免許が前提の実証実験よりも、免許不要になってからの方が事故割合は増えますよね。
コメントありがとうございます。
そういう管理についても、私物の電動キックボードではなくレンタルだとしやすいと思うんですよね。
一応、レンタルだと走行ログなど全部管理されているようです。
今後はどの程度増えるかはわかりませんが、車道の逆走とかされると、ロードバイクからみても脅威ですから。