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交差点を直進?横断歩道を直進?

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ちょっと前に書いた記事について。

 

青信号で横断歩道を横断する自転車の義務。
うーむ。歩行者はいいとしても、自転車はね。青信号で横断歩道を横断する自転車これ、自転車側が勘違いしていると大きな過ちに繋がるので書いておきます。横断歩道を横断する自転車は、車より優先されることはありません。施行令2条を根拠にする人は多い。人...

 

リンク先の記述について、「横断」ではなく「交差点を直進」とみなすべきと言ってくる人がいるのですが。

交差点を直進?

リンク先の内容について。

ちなみに歩道→横断歩道に行くのは「直進」だから、左折車よりも直進車優先だと語り出す人がいるけど、

38条の優先権がないばかりか、交差点の定義に歩道が含まれない。

五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。

なので歩道→横断歩道に向かう自転車は、道路交通法上では
・横断歩道を直進
・道路を横断

 

このようにしか解釈できない。

これについて、「交差点を直進」とみなすべきだ!とメールしてきた方がいるのですが。
文字で説明してもわかりにくいと思うので、こちらから。

 

さて、これについて自転車は交差点を直進とみなすべきというご意見。

とりあえず今の時点では不明にしておきますね。

 

これは「交差点を直進」なんすか?

 

右左折は違う道路に進行方向を変えること(34条)、もしくは道路外の場所に出ること(25条)と解釈されます。

 

次。
この自転車はどのように捉えます?

交差点を左折ですよね。
一番上の画像を「交差点を直進」とみなすなら。

これも交差点を左折とみなします?

まさか「交差点で転回」とみなすわけじゃないとは思うけど。
とりあえず評価は後回し。

 

次。
これは「交差点を右折」なんすか?

これが仮に「交差点を右折」だと捉えた場合、珍事が勃発しません?

第三十七条 車両等は、交差点で右折する場合において当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。

「交差点を右折する自転車」は「交差点を左折する車両」の進行妨害をすると37条に抵触するという珍事が勃発しません?

 

さらに言えば17条4項(左側通行義務)違反と捉えることもできなくはない。
もちろん、歩道通行を逆走と捉えた話ではなくて、「交差点」だとする部分の話ね。

 

続きまして、これは?

自転車のプレイを「交差点を右折」とみなすなら、右折対右折の謎の闘いになります。
どうすんのこれ?

 

仮にですよ。
自転車のプレイについて「交差点を右折」とみなすなら、片方は37条による優先規定の対象(右折自転車と左折車)になり、もう一方は右折自転車と右折車の関係になる。
この2つについて差をつける理由もわからない。

 

○「交差点を右折する自転車」vs「交差点を左折する車」(37条?により左折車優先?)

○「交差点を右折する自転車」vs「交差点を右折する車」

車のドライバーからしても、自転車の動きが右折なのか左折なのか、一瞬で判断できます?
左折や右折について道路交通法上の定義はありませんが、34条や25条を見る限り、違う道路や道路外に向かうことを意味する。

 

いろいろ考えてみればわかるし、交差点の定義から歩道が除外されている。
なので上の画像全てについて、自転車のプレイは以下の解釈にしかなり得ません。

・横断歩道を直進
・道路(車道)を横断

横断歩道を横断する自転車について、仮に交差点を通行していると捉えた場合、逆走にもなりうるし、意味不明な事態が大量発生して収集つかない。

 

以上の理由から横断歩道を横断する自転車について「交差点を直進」とみなすことはあり得ません。

基本的な考え方

先ほども確認したように、これ。

「横断歩道を直進」であり「車道を横断」になります。
車道を横断する以上、25条の2第1項の義務があると考えられるのですが、自転車が車の進行を妨害して事故が起きたとする。

この状態で車のドライバーが怪我したり、死亡することはまず想定できませんよね。
自転車と車が衝突して、車のドライバーが死亡した事例は少なくとも聞いたことがない。

 

自転車が怪我したり死亡する可能性は予見可能だし、38条の優先権がないにしろ、自転車が横断歩道を横断することは日常的な風景ですから「予見可能」。

 

過失運転致死傷罪(昔だと業務上過失致死傷罪)はこのように規定されてます。

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

運転上必要な注意ってかなり幅広い概念ですが、要は横断歩道を横断する自転車なんて日常的な風景なので予見可能
過失というのは「予見可能なことを回避しなかったこと」となりますが、道路交通法の優先権うんぬんとは関係なく、「自転車が横断歩道を横断するという、予見可能なこと」について「注意を怠り」、「事故を回避するための方法を取らなかった」なら有罪。

 

なので道路交通法の優先権とか関係なく、車は事故回避のためになんとかせい!というのが実態になります。

 

これ、仮にですよ。
交差点を左折したのがオートバイだったとします。

この場合、オートバイが怪我する可能性も当然ありますね。
自転車の場合は自動車運転処罰法の適用外なので、刑法上の過失致死傷、重過失致死傷に問われる可能性もゼロではない。

 

ちなみに警察内部で「交差点事故」として処理する場合には一応基準がありまして、横断歩道もしくは自転車横断帯の内側までを「交差点事故」とします。
理由は一応ありますが、面倒なので割愛します笑。

横断歩道と自転車

判例はこちらにまとめました。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。横断歩道と自転車の関係をメインにします。○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。○横断歩道を横断しようとする自転車には3...

 

自転車側に大きな過失をつける判例もありますが、車が道路交通法の優先規定のみならず予見可能なことを回避する義務を負うのは当然。
けど、自転車側に不利な判例も普通に存在するわけで、自転車が優先であるかのような無意味な主張はやめたほうがいいと思う。

 

優先道路の進行妨害とした福岡高裁判例についても、高齢者修正がなければ40:60とかになりますよ。
優者危険負担の原則がある中、40:60ってかなり重い責任とみなせます。

 

どちらにせよ、横断歩道で自転車が優先だと勘違いしていると痛い目に遭うのは明らかです。

 

あと、業務上過失傷害の判例になりますが、自転車横断帯が併設されている横断歩道を自転車が横断し、左折車と衝突した事故について無罪にしているモノもあります(双方青信号)。
この判例は1回目の一審が有罪、東京高裁が破棄差戻しにした2回目の一審です。

 6 以上のとおりであるから,対面信号機の表示が青色信号に変わったため被告人車両を発車させ左折を開始してから被害車両と衝突するまでの間に,被告人が被害車両を発見することは,本件の証拠関係の下では,可能であったと合理的疑いを入れないまでには認められないとしかいい様がない。したがって,被告人に本件事故について予見可能性及び結果回避可能性があったとするには合理的な疑いが残るというべきである。
検察官は,道路交通法38条1項の趣旨に鑑みれば,被害者の発見が困難であったとしても,被害者が横断歩道に接近していたという事情があった以上,同項にいう「歩行者又は自転車がないことが明らかな場合」とは到底いえないのであるから,被害者の発見
が困難であったことをもって被告人の過失が否定されるとはいえないと主張する。しかしながら,本件は業務上過失傷害罪に問われている事案であるから,道路交通法上の義務の内容を,その趣旨に鑑みるという形であっても,過失における注意義務の内容にそのまま取り込むことには疑問が残るし,本件では,被告人は被害者を見つけていないのであるから,歩行者等の姿が見え横断しようとしているのかどうかの判断が明確にできないといった場合ではなく,暗いとはいっても格別見通しを遮る物があったと認められるわけでもないといった状況であったのに(本件事故は12月(平成12年)の発生であるから,7月(平成15年)の様子が写っている甲1添付の写真より,1月(平成14年)の様子が写っている前甲14添付の写真に近かったと思われる。これによれば,街路樹等は格別見通しを遮るような状況ではない。前甲14も本件事故から1年以上後のものであるが,本件では,事故当時の見通し状況を明らかにした写真等はないし,見通しを遮る物の存在を積極的に推認させるような事情も証拠もない。),客観的に被害車両が本件交差点に近付いていたことの一事をもって,被告人の現場の状況に関する認識内容に関わらず,直ちに「歩行者又は自転車がないことが明らかな場合」には該当しないとすることにも同調できない。
なお,被告人車両は死角のある大型自動車であることから,その注意義務の程度も普通自動車に比して高度なものが要求されるとしても,交差点の直前で一旦停止して,助手席側に体を移動させるなどして確認すべき注意義務まで要求することは,信号機による交通整理がなされており,格別見通しを遮る物があったと認められるわけでもないといった状況であったことなどを考慮すれば運転者にとって酷であるといわざるを得ず,また,そのようにすれば被害者を発見できたことを適切に認められるような証拠もない。検察官自
身,当審第3回公判において,これ以上の訴因変更はないと明言しているところでもある。
そうすると,結局,本件では,被告人に当審における訴因変更後の公訴事実記載の過失があると認めるには合理的な疑いが残る。

 

東京地裁  平成15年12月15日

 

過失運転致死傷罪の場合、具体的に怠った注意義務違反を立証することになりますが、注意義務を果たしていたら事故を回避できたとするものがない限り、有罪にはなりません。
自転車横断帯もある横断歩道なので、道路交通法38条の違反は成立することになりますが、過失運転致死傷罪が成立するかは別問題です。

 

ちょっと話が逸れましたが、これ。

自転車が横断歩道を横断することを道路交通法として評価すると、「横断歩道を直進」であり「車道を横断」としかなりません。
交差点を直進とみなすと、意味不明な珍事が大量発生して解釈上無理。

 




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