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自転車と言えど、横断歩道手前では減速・停止義務があります。

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自転車も車両なので、当然ですが車道を通行して横断歩道に接近する際は、減速義務や一時停止義務があります。
当たり前のこととして、前方左右を注視して進行する義務も。

 

何ヵ月か前に、ウーバーイーツの配達員が夜間無灯火で横断歩道事故を起こしました。

 

ウーバー配達員、有罪判決(ただし執行猶予)。
以前書いた件です。 飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員が雨の中、自転車で歩行者をはねて死亡させたとして、自転車事故では異例の業務上過失致死罪で在宅起訴された男(29)について、東京地裁は18日、禁錮1年6カ月執行猶予3年(求刑・...

 

当たり前のこととして、夜間無灯火で雨が降っているにも関わらず前方左右を未確認のまま横断歩道に進行したウーバーイーツ配達員が悪いです。
何ら擁護する気はないのですが、若干疑問点が。

事故と報道

この事故はそれなりに話題になったので記憶にある方もいると思います。
業務上過失致死で有罪判決ですが、自転車が業過に問われること自体が異例。

 

当時の報道ではこのようにあります。

鏡味薫裁判官は、悪天候時などに支払われる追加報酬を得るため速度を上げたと指摘し、「過失は重い」と述べた。

 

自転車で死亡事故、ウーバー配達員に有罪判決 東京地裁:朝日新聞デジタル
飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員が雨の中、自転車で歩行者をはねて死亡させたとして、自転車事故では異例の業務上過失致死罪で在宅起訴された男(29)について、東京地裁は18日、禁錮1年6カ…

悪天候時の追加報酬を得るために速度を上げたと裁判官が指摘したとある。

 

実際の判決文は裁判所ホームページにもあります。

(罪となるべき事実)
被告人は、ロードバイク型の自転車による有償の食品配達業を営み、走行速度を上げて歩合制の配達報酬等を効率的に得ようとしていた者であるが、令和3年4月17日午後7時5分頃、食品を配達するため、業務として前記自転車を運転し、東京都板橋区[以下省略]の道路をa方面からb方面に向かい時速約20ないし25キロメートルで進行中、同所先の交通整理の行われていない丁字路交差点入口に設けられた横断歩道に差し掛かった際、自車には前照灯の装備がない上、折からの降雨により眼鏡に雨滴が付着するなどし、前方左右が見えにくい状態になっていたのであるから、適宜減速した上、一層前方左右を注視し、同横断歩道による横断歩行者の有無及びその安全を確認しながら進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、減速することなく、かつ、前方左右を注視せず、同横断歩道による横断歩行者の有無及びその安全を確認しないまま漫然前記速度で進行した過失により、折から左方から右方に横断歩行中のA(当時78歳)を左前方約4.5メートルの地点に認め、急制動の措置を講じたが間に合わず、同人に自車を衝突させて同人を路上に転倒させ、よって、同人に外傷性頭蓋内損傷の傷害を負わせ、同月19日午後8時28分頃、東京都荒川区[以下省略]所在の病院において、同人を前記傷害により死亡させた。

(量刑の理由)
1 本件は、判示の食品配達業を営んでいた被告人が、自転車を運転中、交通整理の行われていない丁字路交差点入り口の横断歩道に差し掛かった際、速度調節及び前方左右注視の業務上の注意義務を怠り、折から同横断歩道を歩行中の被害者に自車を衝突させて死亡させた事案である。
2 被告人は、夜間降雨があった中、前照灯の装備がなく、眼鏡に雨滴が付着して前方左右が見えにくい状態にあったにもかかわらず、時速約20ないし25キロメートルという自転車としては相応に高速度のまま、横断歩道による横断歩行者の有無及びその安全を確認しないままに走行したために本件を惹起した。被告人は、高速走行可能なロードバイク型の自転車を運転するなどして、走行速度を上げて歩合制の配達報酬等を継続的に効率よく得ようと食品配達業に従事しており、そのような業務者の負う基本的な注意義務に違反したものであって、その過失は重い。

 

東京地裁 令和4年2月18日

私の読み方が悪いのかな?
「悪天候時の追加報酬を得るため」とは読み取れないのだが・・・
「歩合制の追加報酬等」の「等」のところに含まれているのかな?

 

いろいろ調べた結果としては、検察が公判中に「悪天候時の追加報酬ガー!」と主張していた模様。

 

うーん、裁判官は「悪天候時の追加報酬ガー!」と指摘しているようには見えない。
不思議。

 

あっ、当たり前ですが何ら擁護する気はありません。
この過失は重大ですから。

自車には前照灯の装備がない上、折からの降雨により眼鏡に雨滴が付着するなどし、前方左右が見えにくい状態になっていたのであるから、適宜減速した上、一層前方左右を注視し、同横断歩道による横断歩行者の有無及びその安全を確認しながら進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、減速することなく、かつ、前方左右を注視せず、同横断歩道による横断歩行者の有無及びその安全を確認しないまま漫然前記速度で進行した過失

これって、悪天候とか無灯火とか関係なく、横断歩道に接近する際に求められる基本的な注意義務です。
悪天候で無灯火なら、なおさらその注意義務が加重されます。
無灯火なら乗るな!というのが正論ですが、ライトを点灯させていても注意義務はあります。

 

けど、「悪天候時の追加報酬ガー!」と裁判官が指摘したようには見えないので、「歩合制の追加報酬等」の「等」から読み取るのですかね。
公判中に検察が主張していた模様だし、必ずしも盛ったとは思わないけど。

時速20ないし25キロ

「自転車は他害性が車より低い」として車との対比の概念を持ち出す人を時々見かけます。
そりゃ高い低いの比較論にすりゃそうなる。
この事故、自転車は時速20ないし25キロ。
普通にぶつかれば死んでしまいます。

 

時速9キロの自転車でも死亡事故はあります。

 

時速9キロの自転車でも、ぶつかれば人は死んでしまう。
昨年あった自転車事故で、スマホを見ながら乗っていた大学生がご老人にぶつかり、ご老人がお亡くなりになるという痛ましい事故がありました。 この件は報道でご存知の方も多いかと思いますが、ちょっと思うところがありまして。 (adsbygoogle ...

 

自転車について、恐怖心を抱く歩行者が多い現実もあります。

・歩行中に、原付に危険を感じる人 48%、自転車に危険を感じる人71%、キックボードに危険を感じる人 48%

 

・車を運転中に、原付に危険を感じる人 59%、自転車に危険を感じる人70%、キックボードに危険を感じる人 61%

 

・バイク運転中に、原付に危険を感じる人 61%、自転車に危険を感じる人68%、キックボードに危険を感じる人 61%

 

・自転車運転中に、原付に危険を感じる人 50%、自転車に危険を感じる人62%、キックボードに危険を感じる人 49%

歩行中 車を運転中 バイクを運転中 自転車を運転中
原付に危険を感じる 48% 59% 61% 50%
自転車に危険を感じる 71% 70% 68% 62%
キックボードに危険を感じる 48% 61% 61% 49%

https://www.mlit.go.jp/common/001469846.pdf

 

ちょっとの不注意が重大な結果を招く一例と言える判決ですが、「自転車だしいいだろ」みたいな甘えの結果なのかもしれません。
「ちょっといいだろ」ではなく、「絶対ダメだろ」にならないと。

 

けど、報道についてはいささか疑問。
公判中の検察官の主張や、被告人が争っていないことを踏まえれば、間違いとも盛ったとも思わないけど、裁判官が指摘してますかね?
「悪天候時などに支払われる追加報酬を得るため速度を上げた」と。

 

あっ、全く擁護する気はないですよ。

 

ちなみに別件ですが、赤信号を無視して横断歩道に突入したロードバイクが「前傾姿勢だから信号が見えないのは当然だ」と主張した判例があった気がします。
マジな話、永久に乗り物に乗らないで欲しいレベル。





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