まあまあどうでもいい話なんですが、先日の弁護士さんのケース。
「歩行者がドライバーに譲って車が発進した直後、歩行者の気が急に変わり歩行開始したらどうするんだ!」などと当たり屋さんの事例を出すような方々もいらっしゃる。
まあ、当たり屋さんのオモチャにされかねないけどな。
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当たり屋さんと判例
どちらも歩行者が譲ってうんぬんのケースではないものの、横断歩行者等妨害(38条違反)で切符を切られた方が起こした裁判について、「当たり屋だ!」と主張している判例はいくつかみつかります。
比較的最近だと平成22年5月13日東京地裁、平成25年1月31日東京地裁。
それぞれ免許取消処分取消請求事件、免許効力停止処分取消請求事件です。
もちろん、当たり屋かどうかだけが争点ではないものの、若干の疑問が。
原告の「当たり屋だから違反を取り消せ」という主張に対し、行政側の反論ですよ。
いろんな反論の仕方はあるじゃないですか。
以下、一例として。
①「当たり屋だろうと歩行者の横断を妨害した以上、38条の違反が成立する」
②「被害者が当たり屋である証拠はどこにもなく、原告の憶測の域を越えない」
判例を見ている限り、基本的には②で反論しているのね。
どちらの判例についても、「当たり屋である立証」が不十分だとしてますが、逆に当たり屋である立証が成されたら違反としては成立しないのだろうか?
ちなみに「当たり屋の立証」ですが、あんまり詳しく書くと当たり屋さんへのアシストになりかねないので書きません。
「急に気が変わった」
横断歩道を横断する歩行者は自由に横断する権利があります(信号無視除く)。
譲った直後に気が変わり、発進した車両に当たるというのは、自由を履き違えているとしか思わないけど、面倒な事態になることを徹底的に避けた方が好ましいのも事実。
譲られたからといって先に進まないという選択肢もあるのでね。
ただまあ、一時停止して自転車横断帯を横断する自転車を見守っていただけなのに、自転車が「驚愕させられた」として転倒し、ドライバーが罪に問われる事案もあるのが現実。
この事案は過失運転傷害罪に問われ略式起訴されたものの、裁判所が「慎重な審理が必要」として略式不相当として通常裁判になり無罪。
事故による傷害保険金等目当てに、自ら作為的に仕組んで転倒した偽装事故の疑いが極めて高く
平成28年7月25日 和歌山簡裁
2年間で5件の自転車事故に遭っているそうですが、ほぼ同様の非接触事故も過去に遭っている。
過去の事故については、どのような処分になったのかはわからんけど。
見ず知らずの他人について、100%信用しないほうがいいんだよね。
「急に気が変わった」などとして当たり屋行為に走る人も出る可能性があるから。
車が先に行くことに合意を取ったところまでドラレコに記録として残ってないと、ワケわかんない認定されかねませんし。
きちんとやり取りの記録が残り、一時停止後に最徐行にて慎重に進行したにも関わらず、「急に気が変わった」として事故が起きたなら悪意になるので違反としては成立しない可能性はあります。
ただし、全ての注意義務を果たしたにも関わらず事故が起きたというのが大前提。
一時停止しないのは論外だし、きちんと確認してないのも論外だし、仮に発進するにしても最徐行にて慎重に進むことが必須。
以前、横断歩道が赤信号でも38条の義務があるなどとデマを流す人とかもいるけどさ、
横断歩道の直近なので横断歩道を横断する歩行者と見なせますが、38条の義務なんてあるわけねーだろ・・・
事故を起こせば安全運転義務違反に問われるけど、38条とか関係ない。
こういうのも「自由な横断」と捉えるのかな?
自由を履き違えているとしか思わないけど。
法律って完璧ではないし、裁判もおかしな判断をされることもあるし。
譲られたと思っても単なる当たり屋の可能性もあるので、気を付けたほうがいいですよ。
※当たり前だけど弁護士さんのケースは当たり屋ではありません。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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