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自転車乗りが実刑になるケース。

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自転車乗りが何らかの事故を起こしたときに、例えば歩行者が死亡したとしても執行猶予付き判決になるのが多いです。
これは車の事故でもそうですが。

 

ただまあ、実刑判決になった判例もあります。

自転車乗りが実刑判決

判例は大阪地裁 平成23年11月28日。
重過失致死の判例です。
車道幅員が約15.4m(東行き2車線、西行き3車線)の交通量が多い幹線道路を自転車に乗ったまま横断したことが発端の事故です。

 

イメージ図(正確性は保証しません)。

なぜこんなところを横断したかというと、自転車横断帯がある交差点が赤信号だったかららしい。
つまりは信号待ちしていれば安全かつ優先通行として横断できるにも関わらず、赤信号待ちを避けた結果です。

 

さて、自転車は西行き車線の右折レーンの最後尾から横断しました。
通常、このような行動をすれば自転車乗りが危険になるだけで、自転車乗りが重過失致死罪に問われるとはどういうことでしょうか?

 

まず、東行き第二通行帯を通行してきた車両からすれば、死角から自転車が飛び出してきた。
なので急ブレーキとハンドルを少し切ることにより回避しようとした。

これだけで済まずに、第一通行帯を通行してきた車両が車を避けようとして急ブレーキとハンドル操作をした。

本当に残念なことに、歩道を歩いていた方二名がお亡くなりになった事故です。
原因行為をした自転車が「重過失致死罪」に問われた判例ですが、執行猶予無しの実刑判決になっています。

 

まあ、自転車に限らずオートバイや車が同じように横断したら同じように事故が起きますが、せめてこの行動をするなら、センターラインを越える前に一時停止と確認はするでしょ。

 

違う判例ですが、やはり自転車の飛び出しを回避しようとした車が道路上の構造物に衝突し、ドライバーが死亡して重過失致死罪に問われた判例もあります。
ぶっちゃけさ、いわゆる弱者に当たる自転車が必ずケガや死亡に至るわけでもなくて、それこそ赤信号無視した横断歩行者との衝突を回避しようとしたオートバイが死亡した事故すらある。

重過失の意味

重過失致死における重過失の意義は、こちらの判例で示されています。

重過失失火罪及び重過失致死傷罪における「重大なる過失」とは、建物等の焼燬や人の死傷の結果がその具体的な状況下において通常人として容易に予見できたのに、これを怠り、あるいは、結果を予見しながら、その回避の措置をとることが同様容易であつたのに、これを怠つたというような注意義務の懈怠の著しい場合を指すものと解するのが相当であり、いわゆる認識のある過失をもつて重過失であるとする所論の見解を採ることはできない。けだし、法が重過失の場合を通常の過失の場合よりも重く処罰すべきものとしているのは、前者の方が後者よりも過失の程度がより重く、責任の程度がより重いと評価されるからであると解されるところ、結果についての予見がある場合がそうでない場合に比べて、一般的に過失の程度が重いということはできず、予見のない場合においても予見すべき義務の懈怠の著しいことがあり、また、予見のある場合においても結果の回避が必ずしも容易でないことがありうるからである。

 

東京高裁 昭和62年10月6日

ところで冒頭の判例。
要は自転車の横断行為について、他人が死亡するようなことを予見可能なのか?というところが争点でもあります。
幹線道路で交通量が激しい中、死角から急に出現すればこのような結果が起こる可能性は予見可能として有罪。

 

以前ちょっと取り上げたことがありますが、こちら。

 

自転車事故、被害者の気持ちを知ること。
それなりの年数、自転車を趣味とする人なら、ご存知の方も多いのかもしれませんが。2010年の事故ですが、スポーツ用自転車(ロードバイク)で走行していた40代男性が、信号無視した結果、横断歩道を横断中の歩行者を死亡させるという事故がありました。...

 

ロードバイクが信号無視した結果、横断歩行者と衝突した事故。
重過失致死罪ですが執行猶予付き判決。

 

加害者の主張が酷すぎてビックリします。
ロードバイクは下を向いているから(前傾姿勢)、斜め上にある信号が見えなくても仕方ないみたいな主張をしていたらしい。

 

ロードバイクに乗る我々からしても、当然に「防げた事故」としかいいようがない。
信号を守るという当たり前の義務を怠れば、何が起きるかは想像がつくわけで。

 

冒頭の判例についても、自転車横断帯が赤信号だったから、交差点ではないところから横断したわけ。
5車線の道路を自転車で横断するには、当たり前のように横断歩道や自転車横断帯を青信号で渡るもの。
防げた事故としかいいようがない。

 

なんかさ、ママチャリだけでなくロードバイクでも「信号無視事案」は時々耳にします。
ごく一部の少数派だと信じたいけど、「1人タイムトライアル中だから信号よりもタイムが大事」などと意味不明な言い訳をしたり、酷い場合だと先行自転車に「なんで信号で止まるんだ!」などと罵声を浴びせたり。

 

話にならんのですよ。

 

つい先日、こちらの記事にコメントを頂きました。

 

「警察は自転車の取り締まりを全然やってない」
こういうのを見ると、うーん、論点がそこなのか?という疑問を感じる。取り締まり件数リンク先の記事によると、一年間で全国の警察が行った自転車への取り締まり件数が25465件とあり、年々取り締まり件数が増えているのはバカでも分かる。一年間で254...

 

読者様
読者様
私は地方在住ですが、警察官と知り合いです。

自転車の交通違反取締は、やるな と云うのが、署内で暗黙の了解だと云っていました。

 

これについては私も以前交番で聞きました。
交番勤務の警察官いわく、

 

「私が自転車に切符を切ると大問題になる。上からの指令」

 

みたいなことをいってました。
そりゃ無法地帯にしかならんわ。

 

「自転車はルールを守らないものだ」などと平然と語る人とか、「車のほうが他害性ガー!」などと論点をすり替える人とか、「自転車インフラを整備しろ!」などと違う問題に持ち込みたがる人もいるわけですが、

管理人
管理人
インフラ整備したら魔法のように信号守り出すんかいな?
インフラ以前の問題では?
車のほうが他害性ガー!というのもさ、他害性が相対的に低いなら許されるわけじゃないし、比較論じゃなく自転車の問題でしょ?
現実見ろよドアホ!

 

信号守るのは何も難しいことじゃないのでね。
冒頭の判例にしても、ちょっと待てば自転車横断帯が青信号になり何ら危険もなく横断できるわけで、ちょっとのことを怠るととんでもないことが起きるから。

 

自転車の少額違反金制度は「見送り」になりましたが、都道府県警の温度差も一つの理由になってます。

 

悲報。自転車の違反金制度見送りへ・・・
電動キックボードの件と併せて、警察庁の有識者会議からの提言で、自転車への少額違反金制度を導入すべきとなっていたのですが、何とビックリの見送りだそうです。自転車への違反金制度、見送りへ警察庁の有識者検討会が求めていた自転車運転に対する違反金制...

 

違反してない立場からすれば、速やかに導入していただいてかまわない制度です。
むしろガンガンやってもらってかまわない。
ホント、信号みたいなシンプルなところを守らないとなると、一体何を守るのでしょうかね。
信号無視してでも達成したい「1人タイムトライアルの結果」とか、数十秒の「信号待ち」すら待てないとか。

 

自転車道が出来たら魔法のようにみんな信号守りだしたり、ワケわからないところから横断しなくなるとでも思うのだろうか。





コメント

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