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危険運転の件。

先日の「高速度危険運転」の件ですが、

なかなか凄いニュースだなぁと。 一般道で時速194キロで右直事故(加害者直進)について、危険運転致死罪ではなく...

判決文は一審、二審ともに裁判所ホームページにあります。
一審は津地裁 令和2年6月16日

二審は名古屋高裁 令和3年2月12日

一審のほうには事故現場の見取り図もあります。

興味があるなら全文どうぞ。

その進行を制御することが困難な高速度

結局のところ、自動車運転処罰法2条2号にいう「その進行を制御することが困難な高速度」の解釈が問題になるわけです。
一審判決では、他の車両の走行状態も含めて解釈できるとしながらも、故意性に疑いがあるとして危険運転致死罪の成立を否定。
過失運転致死罪にとどまるとして、懲役7年の実刑判決。

前に示したとおり,法2条2号にいう「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」とは,「そのような高速度では自車を制御することが物理的に困難な状態になっていること」を意味すると解されるところ,この判断に当たっては,道路の形状や路面の状況等の道路の状況のほか,車両の構造や性能などの客観的事実に照らして判断すべきであるが,ここでいう道路の状況には,カーブや道幅等の道路の物理的な形状のみならず,駐車車両や他の走行車両等によって客観的に進路の幅が狭められているなどの状況があるのであれば,そうした道路上の車両等の存在も含めて考慮することができると解される

津地裁 令和2年6月16日

二審は「他の車両の走行状態」は含まないと解釈して危険運転致死罪は否定。
一審の通り、過失運転致死罪として懲役7年の実刑判決。

自動車運転処罰法2条2号はこのようになっています。

二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
二審はこうなる。

また,他の走行車両の存在を進行制御困難性の判断要素として考慮できるとすると,本罪の故意の対象として,他の走行車両の動静及びそれが自車の進路に及ぼす影響等についての認識・予見が求められることになるが,認識・予見の程度の具体性をいかに強調したところで,不確定かつ流動的な事情が前提とならざるを得ないことに照らせば,認識・予見の有無の判断に際し,過失犯における予見可能性の有無との区別が曖昧となり,過失犯として処罰すべきものを故意犯として処罰することになるおそれも否定できない。
そもそも危険運転致死傷罪は,悪質・危険な運転行為による死傷事犯のうち過失犯として処罰することが相当でないものを故意犯とし,傷害・傷害致死に準じた重い法定刑で処罰しようと定められた罰則強化規定であることに鑑みると,処罰対象となる危険運転行為は悪質・危険な類型に限定されているとみるべきであるから,解釈によってその処罰対象を拡大することは法の創設趣旨にそぐわないといわざるを得ない。

名古屋高裁 令和3年2月12日

高速度危険運転という言葉の意味が、一般人が想像する内容と、法が規定する内容にズレがあるのでは?
時速190キロ以上が危険なのは誰でもわかるとして、「その進行を制御することが困難な」とついているところが問題になる。

たぶん

結局のところ、時速150キロなどの高速度でコースに従ってまっすぐ走っている分には、仮に何らかの事故が起きても危険運転致死罪は成立せず、過失運転致死罪として処理されるのが現状。
時速150キロなどが危険な運転なのは誰でもわかるとして、危険運転致死罪かどうかは別問題になってしまう。

法律の不備なことは以前から指摘されてますが、法律の不備をそのままにしている点が問題なのでは?
要は一般人が想像する「高速度危険運転」と、法が規定する「高速度危険運転」は別物になるわけです。

個人的には、このような解釈になる理由を報道するのがまず先なんじゃないかと思ってまして。
確かに関係者からすれば「なぜ危険運転致死罪ではないのか?」と思うのは当然のこと。
世論がそれに同調すると法解釈が変わるとは思えませんし、法自体が民意にそぐわないものだという現状を知らせるのが先なんじゃないかと思うのです。
もちろん遺族感情として許しがたいと考えるのは当然だけど。

危険な運転の全てが危険運転致死罪になるわけではないところが問題。




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