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「地域により道路交通法の解釈は異なる」←??

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先日の記事についてご意見頂きました。

 

道路交通法38条は全国一律で解釈は同じ。
まあ、今さら何の話だwとんでもない誹謗中傷されたので、仕方なくいくつかの都道府県警察本部に確認しました。今さらどうした?道路交通法の解釈は、全国一律送料無料…おっと送料は関係ないか。国の法律、しかも刑法の根本的な解釈が全国一律なのは当たり前...

 

読者様
読者様
あの記事改稿されてましたけど、地域によって法の判断が違うというびっくりなこと書いてましたね
なんか質問の仕方があやふやだったんじゃないかという気がしますが

 

警察があんな答えをしていたのなら、むしろ資料を以って指摘するくらいの姿勢でいて欲しいですよね

いやホント、地域によって法解釈が違うなんてあるわけがないです。

「地域により道路交通法の解釈は異なる」←??

当該記事の当該箇所はこちら。

 

<改定前>

なお、「自転車は軽車両だから、歩行者と同じ扱いではない」「降りて押しているときは歩行者扱いだが、自転車に乗っているときは車両である」などと間違った解釈が拡散されがちだが、警察庁に確認したところ「横断歩行者等」の「等」に自転車が含まれるとのこと。自転車に乗っていても降りていても同じである。横断歩道では、歩行者同様、自転車にも優先権がありクルマは必ず一時停止をする義務がある。

 

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

<改定後>

警察庁が展開する#9110(警察相談専用電話地域の警察本部などにつながる)に確認して集まった回答が以下となる。

「横断歩行者等の「等」には自転車も含まれる」
「(歩行者の横断を邪魔しない前提で)自転車に乗っていても降りていても同じ」
「斜め横断などの違法行為をすれば軽車両として自転車も取り締まりの対象となる」
「横断歩道で待っている限りは(乗っている場合も)歩行者と同様の扱いである」
「自転車に乗っているときには軽車両となり横断歩道での優先権はない」(つまりクルマが一時停止する必要はない)等、解釈は地域によって異なっている。「(取り締まりに関しては)その場の警察官の判断による」という回答もあった。

 

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

道路交通法38条は、日本国内では等しく適用されるのですが、地域によって解釈が違うなどという法学上100%あり得ないことと考えていい。

 

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

地域によって解釈が違うなら、そもそも憲法違反です。

第三十一条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

読者様が指摘するように、「質問の仕方があやふやだったんじゃないか」という可能性が高いけど、あえていうなら、

管理人
管理人
地域によって回答が違う結果に陥ったときに、なんで専門書等で確認を取らないのだろう。

地域によって法律解釈が違うなんてあるわけないのだから、専門書等で確認を取るのがベスト。

 

最も信頼性が高い道路交通法ハンドブック(政府刊行物)はこちら。

自転車に乗り横断歩道を横断する者は、この規定による保護は受けません。

 

法の規定が、横断歩道等を横断する歩行者等となっており、横断歩道等の中には自転車横断帯が、歩行者等の中には自転車が含まれまれているところから設問のような疑問を持たれたことと思いますが、法38条1項の保護対象は、横断歩道を横断する歩行者と自転車横断帯を横断する自転車であって、横断歩道を横断する自転車や、自転車横断帯を横断する歩行者を保護する趣旨ではありません。ただし、二輪や三輪の自転車を押して歩いているときは別です。
つまり、あくまでも、法の規定(法12条、法63条の6)に従って横断している者だけを対象にした保護規定です。

 

道路交通法ハンドブック、警察庁交通企画課、p2140、ぎょうせい

仮に「地域によって回答が違う」という結果に陥ったとしたら、いくつか専門書読んで確認するのがよい。

 

道路交通法ハンドブックは法改正や解釈変更時にはページの差し替えがありますが、道路交通法38条は昭和53年改正(自転車横断帯新設)を最後に改正されてませんので、解釈が変わる余地もありません。
最近の判例(平成30年1月18日福岡高裁等)でも従来通りの解釈のまま。

 

法12条、法63条の6に従って横断している者だけを対象とありますが、歩行者には横断歩道を、自転車には自転車横断帯を使う義務(それぞれ付近にある場合)を定めた関係で、横断義務を果たした者を優先する規定がないと、誰も横断歩道や自転車横断帯を使わなくなるわけよ。
横断義務に照応させたのが38条の規定。

 

なぜ?横断歩道で自転車が優先にならない理由。
先日の記事についてなんですが、と何名かの声を頂きました。どこかに書いた気がしますが、きちんと理解しようと思うとかなり話が長くなるので、読む気しないと思いますよ。とりあえず書きます。結論から先に結論から。法解釈上、どちらも成り立ちます。38条...

 

だからこういう判決になる。

道路交通法38条1項は、「横断歩道又は自転車横断帯(以下・・・「横断歩道等」という)に接近する場合には当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下・・・「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。」と規定しているが、これは、自転車については、同法63条の6において、自転車の自転車横断帯による横断義務を定めていることに照応するものであって、自転車が、自転車横断帯の設けられていない交差点の横断歩道上を走行して横断する場合には当てはまらない

 

大阪地裁 平成25年6月27日

道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されず

 

平成30年1月18日 福岡高裁

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。横断歩道と自転車の関係をメインにします。○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。○横断歩道を横断しようとする自転車には3...

 

例えばさ、こんな質問をしたら

読者様
読者様
横断歩行者等妨害に自転車は含まれますか?

こうなるわな。

管理人
管理人
38条は歩行者又は自転車をまとめて「歩行者等」としてますから、自転車も含まれます。

仮にそういう質問をしたなら質問が悪いのであって、ちゃんと聞けばこうなる。

読者様
読者様
横断歩道を横断しようとする自転車がいた場合、38条により一時停止義務はありますか?

管理人
管理人
38条は横断歩道を横断しようとする歩行者と、自転車横断帯を横断しようとする自転車を対象にしているので、自転車横断帯がない横断歩道を横断しようとする自転車がいても一時停止義務はありません。

こちらでも書いたんだけど、

 

道路交通法38条は全国一律で解釈は同じ。
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某県警本部の人とも話したけど、ここから先も重要。

管理人
管理人
38条の義務がなくても安全運転義務(70条)があるため、事故を起こせば70条違反に問われます。

自動車の運転者は進路前方の歩道上に自転車が車道に向いているのを発見した場合、自動車の車体が自転車の前方を通過してしまうまで自転車に注目を続け、その動静に対する警戒を続けながら自動車を進行すべき注意義務がある。

 

東京地裁 昭和39年6月15日

自動車運転者としては、同法70条による安全運転義務があるのはもちろん、交通の実情を踏まえた注意義務が求められるのは当然である(所論は、道路交通法上の義務と自動車運転過失致死罪における注意義務を同一のものと理解している点で相当でない。すなわち、信頼の原則が働くような場合はともかく、前者がないからといって、直ちに後者までないということにはならない。)そして、自転車は、対歩行者との関係では交通強者であるものの、対自動車との関係では交通弱者であって、なお多くの自転車が歩行者と同様に自転車横断帯の設置されていない横断歩道を利用して横断しているのが交通の実情である。

(中略)

自動車運転者としても、このような交通の実情を踏まえれば、歩行者はもちろん、歩行者の通行を妨げることのない場合に徐行して自転車が横断歩道を利用して道路を横断するかもしれない、と予見することは十分に可能である。

したがって、進路前方の交通整理の行われていない交差点に横断歩道がある場合には、適宜速度を調整し、横断歩道による歩行者及び自転車の有無並びにその安全を確認して進行するべき注意義務が認められる

 

東京高裁 平成22年5月25日

38条の義務がなくても安全運転義務までは免れないというところまでが重要。

 

そもそもさ、斜め横断は一体何に抵触するのだろう。

警察庁が展開する#9110(警察相談専用電話地域の警察本部などにつながる)に確認して集まった回答が以下となる。

「横断歩行者等の「等」には自転車も含まれる」
「(歩行者の横断を邪魔しない前提で)自転車に乗っていても降りていても同じ」
「斜め横断などの違法行為をすれば軽車両として自転車も取り締まりの対象となる」
「横断歩道で待っている限りは(乗っている場合も)歩行者と同様の扱いである」
「自転車に乗っているときには軽車両となり横断歩道での優先権はない」(つまりクルマが一時停止する必要はない)等、解釈は地域によって異なっている。「(取り締まりに関しては)その場の警察官の判断による」という回答もあった。

 

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

理屈の上では斜め横断を逆走と捉える余地はあるけど、相当な角度じゃないと違反にはしづらい。

「自転車は横断歩道を渡ってもいい」と「自転車は横断歩道では優先権がない」を混同する人もいたりするけど、基本的に別問題。

 

けどさ、これはどうかと思う。

 

(改定前)
「警察庁に確認したところ」

 

(改定後)
「警察庁が展開する#9110(警察相談専用電話地域の警察本部などにつながる)に確認して」

 

#9110に電話したのに「警察庁に聞いた」とは普通書かない。
違う組織なんだし。

 

地域によって回答が違うなら、さらに調べるのがジャーナリストだと思うし、警察庁に聞いてないのに「警察庁に聞いた」と書くのも理解に苦しむし。
ちなみにこのジャーナリストさんが質問したという4県に聞いてみると、回答は全部同じなんですが。

 

道路交通法38条は全国一律で解釈は同じ。
まあ、今さら何の話だwとんでもない誹謗中傷されたので、仕方なくいくつかの都道府県警察本部に確認しました。今さらどうした?道路交通法の解釈は、全国一律送料無料…おっと送料は関係ないか。国の法律、しかも刑法の根本的な解釈が全国一律なのは当たり前...

 

ちなみに「執務資料道路交通法解説(東京法令出版)」は大きな図書館にいけばたぶんあります。
道路交通法ハンドブックについては、国会図書館行きです。

 

興味ある人はさ、自前で執務資料を買ったり、道路交通法ハンドブックを読みに国会図書館に行ったり、遠隔複写の申し込みしたりして勉強してるのですが、興味ある人はどうぞ。

 

ていうかさ、マスメディアがこういう間違いを書くと、すぐうちに抗議メールとか来るのな。
書き直せと。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。横断歩道と自転車の関係をメインにします。○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。○横断歩道を横断しようとする自転車には3...

 

あえて判例や警察庁の書籍を載せている理由は、信頼性が高いことが明らかだから。
書き直せと迫られても、公式見解ですから直しようがないのですよ。





コメント

  1. Toshiya より:

    判例挙げられているのは自転車のまま進行し事故が起きたケース
    警察への質問は「横断しようとする『自転車』がいた場合」であるから警察からかような回答になるのも当然でしょう。
    しかし義務の発生の議論には足らないのではないか。
    「その進路の前方」と「明らかな場合を除き」の解釈論
    つまり歩行者成りのケース。
    38条の構成要件は大きくは「歩行者妨害の事実」であり、「その進路の前方」に関しても判例、学説は揃っている。
    一つの思考ケースとして、横断歩道手前で自転車が停車している、いつでも降りれる、降りた瞬間に歩行者に「成る」が、自動車と交差どのタイミングで成り歩されたら歩行者妨害となるか。極端な話横切ってる最中の成り歩はどうか。
    条文を素直に読むとアウト。物陰から飛び出してきた歩行者と同じ。
    自転車にまたがったまま待っててくれるだろうと予測するのが合理的か。
    自転車側にしてみれば成り歩は容易であり明確に自分に優先権が生じ自動車は停止してくれる、それを選択しない合理的理由はない、裁判所的にはそのように判断するだろう。
    ケース2、予見可能性、自転車が接近しコリジョンコースだとする、そのまま突っ込んでくるバカはいない
    必ず止まる、そのまま双方進行すれば事故になる、70条違反
    自転車は2つの選択がある、①サドルにまたがり自転車のまま停止
    ②成り歩し横断。
    どう考えても裁判所は後者を想定しなさいだろう。当該事例を争った判例は見つからないが。結局のところ38条の停止義務が発生する。
    「その進路の前方」の判例学説はかなり狭い、が、それは歩行者のスピードを想定されたもので、小走り程度の自転車を自動車側はしっかり認識でき、かつ、双方が衝突を予想できるコースである場合。どこまで自動車側に責任を負わせるのが妥当か。歩行者に「成る」蓋然性は十分に高い。事故が起きていない場合、どこまでの精度で取り締まりをするのが社会的な要請であるか。政治問題
    (いずれ自動運転のアルゴリズムや判定の実装基準として明確な基準を設けなきゃならんでしょうが)
    つまりまとめると、事故は起きなかったが結果として自転車は降りて歩行者になったことにより歩行者妨害が生じた場合の違反の有無

    自転車のまま事故が起きても38条には抵触しないが。実はあまり参考にならない。
    38条の取り締まりは昨今ようやくやり始めたばかりであり、この自転車の歩行者成りのケースは学説もなく判例もない、ぼちぼち裁判にも出てくるのではないかと楽しみにしている。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      >警察への質問は「横断しようとする『自転車』がいた場合」であるから警察からかような回答になるのも当然でしょう。

      何か誤解されているようですが、自転車に跨がったままであれば自転車としての地位しかありませんので、前段の義務もありません。

      後段の冒頭に「この場合において」とあるように、前段の義務が課されていない場面においては後段の義務も生じません。

      このあたり、昭和の時代から確立された論理があります。
      「自転車に乗る人は自転車としてしか評価されない」。

      ・横断歩道手前で自転車に跨がり横断待ちしている場合、2つの観点から注意義務が生じます。
      ①横断歩道付近の見通しが悪い場合
      →「歩行者がいないことが明らかとは言えない」ため、38条1項前段の義務が生じる

      ②横断歩道付近の見通しがいい場合
      →自転車がそのまま横断歩道を横断することが予見可能なため、適宜減速しながら注視し事故を回避する義務が生じる(70条)

      自転車から降りて押して横断する場合も、①または②の延長で考えるだけですし、既に確立した考え方だと思いますけど。
      判例でも自転車に向けた前段の義務(歩行者になる可能性)は否定されていますが、自転車に跨がる人は自転車としての地位しかなく、歩行者になる可能性がどうのこうのというのは、38条の義務ではありません。

      なぜ過失運転致死傷罪の過失認定で、「横断歩道の見通しが悪いから歩行者がいないことが明らかとは言えない」という論理を取らざるを得ないか、検察官向けの本にも書いてありますよ。

      「降りて押して歩行者になる可能性」を38条の義務とした場合、まだ降りてないので実質的に自転車に向けた前段の義務になってしまいます。
      何のために横断歩道と自転車横断帯を分けているのか考えればわかるかと思います。

      なお申し訳ありませんが、議論したいのであればメールにしてください。
      コメント欄に長文が続きますと、重くなり管理画面が開きにくいので。

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