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交通事故の損害賠償に少額訴訟はオススメしない。

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交通事故になり少額訴訟を検討中という方から、こちらの判例の詳細を質問されたのですが、

 

6歳が乗る自転車でも過失割合50%。
以前チラっと書いた件ですが、 この中の判例について。 6歳が乗る自転車でも過失割合50% 判例は東京高裁 平成26年12月24日。 事故概略です(イメージ図。正確性は保証しません。) 加害車...

 

メール、届いてますかね?

判例の詳細は

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この判例、一審で子供の自転車:バス=40:60としてますが、二審は50:50に変更しています。
あえてその理由は書かなかったのですが、10%修正した理由は「被害自転車の右側通行、一時停止なし、減速なし」を「著しい過失」と変更したからかと。
自転車は車両なので、左側通行義務(17条4項)、左側端通行義務(18条1項)。
優先道路の進行妨害に当たりますし。

 

ちなみに、「小児用の車」かどうかの争いは一審で完結しています。
控訴した理由は、バスからすると事故の予見可能性も回避可能性もないということから自賠法3条但書きを適用して無過失もしくは被害者7割を主張したからです。

 

改めて整理しますと、バスが通行していたのはセンターラインがある優先道路。
対向車線は信号待ち停止車両が重なり、交差点右側は視認できない。
交差道路は生活道路のような狭いところ。

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一審の認定の概要。

①住宅が付近にあること、対向車の陰で見通しが効かない以上は、見えにくい交差道路から進行する車両があることを予見し、速度等を調整して進行する注意義務がバスにあった。
②被害自転車との位置関係からすると、バスが注意義務を果たせば衝突を回避できた。
③被害自転車は「小児用の車」とは言えず、軽車両。

二審での控訴人(バス)の主張の概要と裁判所の判断。

控訴人の主張 裁判所の判断
42条(見通しが悪い道路の徐行義務)から優先道路が除外されている趣旨からすれば、被害自転車を予見する義務がなく、制限速度内で注意義務を果たしていた 確かに42条(徐行義務)から優先道路が除外されているが、バス運転者として付近に住宅等があることを知っていた以上、児童等が安易に飛び出してくることを予見し、交差点内安全進行義務(36条4項)を怠った
被害者との位置関係から回避可能性がない 児童等が安易に飛び出してくることを予見し、それに備えた運転をすれば回避可能
被害自転車は右側通行(17条4項、18条1項)で減速、停止することもなく著しい過失がある 原判決に追記し、「著しい過失」とした

職業運転手で住宅等が多いことを知っており、児童の飛び出しが予見可能としたことや、対向車両の停止で見えない以上は予見可能性から注意すべきだったとしています。
優先道路の「見通しが悪い交差点の徐行義務」は採用されていませんが、状況からみて予見可能→交差点内安全進行義務(36条4項)から注意義務があったという認定ですが、被害自転車が右側通行、一時停止なし、減速なしで進行したことを「著しい過失」として一審判決を変更しています。

 

事実上、優先道路でも見通しが悪いなら徐行すべきと言ったのと同じになりますが、ネット上で「優先関係に従い、優先側に自衛を求めるな!」と主張する方々からすれば、被害自転車を非難するだけなんかな?
まあ、何がなんでもクルマが全面的に悪いことに帰着させたいだけの目的で、あらゆる難癖をつけることに生きがいを感じていらっしゃる方もいますから、しょうもない人たちですよね。
赤信号で飛び出した歩行者に衝突しても「クルマが悪い」、赤信号で飛び出した歩行者を回避するためにオートバイが転倒し死亡しても「オートバイが悪い」。
信号無視した歩行者が悪いと思いますが。

 

優先関係だけで過失割合を決めるべき!と主張する方々もいますが、優先関係だけで過失割合を決めると被害自転車(6歳)が全過失責任を負うことになります。
優者危険負担の原則を考慮しても被害者が70~80%となりますが、優先道路でも、制限速度内でもダメと判断されています。
なんのための優先道路なのか、なんのために優先道路では徐行義務が免除されているのかは謎ですが、民事ってこういうの多いですよね。
バスもある種の自衛のためにさらに減速する義務があったわけですが、通常、このようなケースで過失運転傷害罪に問われることは少ないかと。

 

なお、仮に小児用の車だと判断された場合には、バス対歩行者の事故になり、バスには38条の2、歩行者には直前直後横断(13条1項)、付近に横断歩道がある場合の横断歩道使用義務(12条1項)あたりの争いになります。
直後横断を禁止している趣旨は、直後横断を許容すると対向車線が渋滞していたらドライバーには常に徐行義務が課されることになってしまうからだと思いますが。

少額訴訟はオススメしない

読者様がどのような事故に至ったのか詳細までは書いてなかったのですが、少額訴訟って争いがあるときには向かないと思うのです。

 

誰がみても明らかな争いようがないケースならともかく、少額訴訟はリスクがあると思う。

 

・審理は1日で終了するため、十分な審理は望めない
・判決に不服があっても控訴できない
・簡裁判事は法曹資格を持たない人
・相手方が任意保険に加入しているなら、少額訴訟を拒否される可能性が高い

 

この判例をどのように活かしたいのかは知りませんが、裁判って原告に立証責任があるので、具体的に相手にどのような過失があり、自分にはどのような過失がないのか明らかにしていく必要があります。
判例を提示して、

読者様
読者様
似たような判例では50:50だから俺も50:50だ!

という主張ではたぶん弱い。
より適切な判例を出されたら弱いし、少額訴訟は1日で終了するわけなので、相手方からより適切な判例を出されたら対抗する証拠を出せない(1日で終了するため、探す暇もない)。

 

交通事故の訴訟(少額訴訟ではなく)が何回くらい口頭弁論するのか知りませんが、私がやった訴訟は一審の口頭弁論は8回で、1ヶ月~1ヶ月半に一度の頻度。
今回は私が主張、次回は相手方が反論、さらに次回は私が反論…みたいな感じで進みますが、1ヶ月くらい時間があるので時間を掛けて考えたり判例を探せます。
一応裁判官から「原告は反論のためにどれくらい時間が必要ですか?」と聞かれるので、「1ヶ月ください」と言えば1ヶ月貰えました。

 

少額訴訟の場合、それが無い。

 

少額訴訟って1日で終了する簡易な手続きですが、内容に争いがあるときには向かないような気がします。
一番ややこしいのは、訴訟提起する人からすれば「明らかに俺の勝ち!判例あるし」と思っていても、プロから見れば穴だらけということ。
本人訴訟の限界だと思いますが、いろんな専門家が「明らか」というような事案以外は少額訴訟はリスキーな気がします。

 

少額訴訟ではなくても、裁判するほうが不利になる事例はあるわけで、下記の事例も示談交渉では加害者側は無過失の主張をしていなかったみたい。

 

横断歩行者に過失100%をつけた珍しい判例。
横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。 目安は歩行者:車=20:80。 ところが、横断歩行者に過失100%とした珍しい判例もあります。 横断歩行者に過失100% ※画...

 

被害者が示談交渉に納得いかず、裁判をしたところ加害者の無過失の主張が認められてしまった。
読者様の事例の詳細はわかりませんが、裁判したから必ずしもいい結果で終わるわけじゃないので、ある程度のところで妥協したほうがいいケースもあります。

 





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