ちょっと前になりますが、脇道から自転車が飛び出してきてリム破損(自転車同士の事故)に遭ったという方から、判例を教えて欲しいと言われまして。
その後少額訴訟を提起して解決したそうです。
脇道から自転車が飛び出してきてリム破損
被害者の方は子供載せ自転車で、加害者(脇道から自転車で飛び出し)は小学生。
破損したリムはこちら。
リムは完全にグニャリ系です。
下記判例はどこで全文を見れるのか?という話を頂いていたのですが、
この判例は優先道路の判例ですが、これと似たような事案なのかと勝手に思っていました。
けど私の想像とはだいぶかけ離れた「交差点」でして、事故現場はこちら。
どこに交差点が?と疑うレベルなんですが、当該交差点と交差道路はこれ。
一応Googleマップで確認しましたが、確かにこの先でも繋がってますし、道路交通法上は道路…ですかね。
被害者(読者様)は子供を載せて道路を進行中に、加害自転車が非舗装路の脇道からアタック。
読者様が言うには「事故の瞬間、何が起こったのか?理解できませんでした。ミサイルで被弾みたいな感じでしょうか?
予見性も回避可能性も不可能と思います。」とのこと。
加害自転車(小学生)側は親の自動車保険の関係から保険会社を経由して示談交渉してきたそうなのですが、保険屋が提示した過失割合はいくつだと思います?
加害者(小学生) | 被害者 |
70 | 30 |
ファッ!?
基本過失割合が80:20、小学生とのことで10%減算したらこうなると主張してきたそうな。
あり得ないだろとご自身でいろいろ調べて少額訴訟を提起し、90:10(被害者10%)で和解したそうな。
小学生が「被害者」なら減算する理由になるけど、加害者なら減算する理由にはならないし、むしろ広い道路に出る際にノーブレーキだったことを重過失として加害者に加算した結果のようです。
あえて一つ言うなら
自分なら何を主張するかな…と考えたのですが、これ。
路側帯線が「交差点」で途切れていないことから、「交差点の広狭関係」と見るよりも「道路外からノールックアタック」とみなし100:0を主張しますかね。
二段構えの主張です。
つまり、道路外から進入をメインにし、予備的に交差点とみなす場合についても主張する。
例
本件事故現場を見るに、路側帯線が交差道路で途切れておらず、交差道路が非舗装かつ車両が通行出来ない程度の幅であることを鑑みると、本来車両が進出してくることは予定されていない場所とみるべきである。すなわち本件事故は交差点事故ではなく、道路外から道路に進入した事例とみなすべきである。
その際の基本過失割合は被告:原告=90:10であるが、道路に進入するにあたり被告は何ら確認しないまま一時停止することなく進行した重過失(道路交通法17条2項、25条の2第1項)があることを考慮すれば全ての責任は被告にあり、原告には予見性も回避可能性もなく無過失である。
仮に交差点であると捉えるとしても、被告が何ら確認しないまま広い道路にノーブレーキで進行した重過失(36条3項)がある。特に本件事故現場の場合、路側帯線は被告からも十分視認可能であることを考えれば、被告は路側帯を横切る前に一時停止義務を負うことは明らかである(17条2項)。被告の交差点進入時無確認(36条3項)、一時停止義務違反(17条2項)から全責任は被告にあると考えるが、基本過失割合80:20から考えれば仮に原告に過失があるとしても10%を越えることはなく、被告の過失が90%となる。
まあ、無過失はなかなか認められないので、落としところとしては妥当な和解かなと思いますが。
けど、保険屋のお仕事とは凄まじいよね笑。
73とかなめてます。
予見性と回避可能性
予見性と回避可能性がない事故について過失相殺する風潮が好きになれないけど、しょうがないのかな。
自転車同士の事故って、過失割合が「変」。
裁判は当事者に立証責任があるのですが、無過失の立証、なかなか認められない気がします。
けどノールックノーブレーキでアタックしてきて、正常な交通、優先側からみて不意打ちに近いケースで過失相殺するのはどうなんですかね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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