自転車あるあるなのかもしれませんが、先日、車道から歩道に乗り上げる際に盛大に転倒する自転車をみました。
車道から歩道に乗り上げる際に盛大に転倒する自転車
赤の角度で自転車が進行し、前輪がうまく段差に乗らずに転倒。
そりゃ、タイヤが細い自転車が段差に斜めに入ればそうなるわな。
大回りするように「道路外に左折」するのは感心しませんが、法律上は「できる限り」なので必ずしも違反ではない。
第二十五条 車両は、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならない。
まあ、無減速で段差に斜めに突っ込めばそうなるよね。
ところで。
「道路外に左折」するために「歩道を横切る」ときには、こうなりますよね。
②あらかじめ左側端に寄る
③歩道の前で一時停止(17条2項)
④歩行者の有無を確認し、妨害禁止
ところが、「車道→歩道」に通行区分チェンジするだけならこうなる。
②歩道通行時は徐行
歩道を通行するという点では何ら変わらないのに、一時停止義務があったりなかったりする。
けどさ、やっているプレイに差があるのか?というと普通に疑問。
まあ、歩道や路側帯を横切る前の一時停止義務違反はカジュアルに横行しているので、話にならない。
中には「一時停止しなくても歩行者妨害しなければ違反ではない」などとデタラメを語る人まで現れたりするので、速やかに免許を返納して欲しい。
立法ミスでは?
自転車が車道→歩道に通行区分をクラスチェンジする際に一時停止義務を設けなかったのは失敗なんじゃないかと思ってまして、
歩道→車道、車道→歩道とクラスチェンジする際に一時停止義務があれば、ノールック車道降臨事件は起こらない。
いや、自転車がそんなところまで守ることは期待できないのかな。
いやさ、ワケわからない「自転車道」が横行してますが、信号の問題を避けるため交差点手前で歩道に接続する形式が横行。
仮に「車道⇔歩道」に通行区分チェンジする際に一時停止義務があったとしたら、こういうところも一時停止しなくちゃいけないわけで。
まあ、車道→歩道→車道などと好き放題走る自転車もどうかとは思うけど。
ちなみにこちらの判例。


時速約40キロで歩道を通行する自転車は「お話にならないレベルの違反」ですが、時速40キロで歩道を通行する自転車について
「予見可能」
とするのも個人的には無理があるように思う。
ただまあこの判例、道路外から歩道を横切る際に「左側に壁があり全く見通しが効かない」状態で一時停止せずに進行したこと自体は17条2項の違反。
広島高裁は一審の「一時停止を怠った過失」では事故は防げないとした点はその通り。
本件ガソリンスタンド敷地内からその北方に接する本件歩道を通過して本件車道へ向け進出するに当たり,本件ガソリンスタンドの出入口左方には壁や看板等が設置されていて左方の見通しが悪く,本件歩道を進行する自転車等の有無及びその安全を確認するのが困難であったから,本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約4.2kmで進行した過失により,折から本件歩道を左から右へ向け進行して来たA(当時41歳)運転のA自転車に気付かず,A自転車右側に自車右前部を衝突させてAを路上に転倒させ,よって,Aに入院加療150日間を要する脊髄損傷等の傷害を負わせたものである。
広島高裁 令和3年9月16日
要は一時停止→僅かに前進→一時停止すれば、見える範囲が広がるだけでなく、歩道を爆走する自転車としても回避行動が期待できるし。
「見えないのに徐行といえ漠然進行するな」という意味では全くその通り。
自転車が歩道を横切る際も同じ。
けど、先日見た「盛大に転倒する自転車」でいえば、
あの速度で歩道に進行したら歩行者はびっくりするし事故の原因になるわけで、そういう意味では自分自身が痛い思いをしただけマシなのかもしれません。
他人を傷つけたほうがマズイ話になりますから。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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