昨日輪行袋について書きましたが、それについて質問を受けました。
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コクーンや超速FIVEなどの前輪しか外さない輪行袋は、電車に乗せると違反になるのでしょうか?
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回答いたします。
コクーンや超速FIVE
コクーンや超速FIVEなど前輪しか外さない輪行袋というのは、それなりに使っている人が多い印象です。
これらの前輪しか外さない輪行袋というのは、メリットとデメリットがあります。
<メリット>
・後輪を外さないため、後輪の脱着に不安がある人には使いやすい
・リアディレーラーを痛めにくい
初心者の方で、後輪を外すのが苦手とか後輪外した後にうまく組み立てられるか不安という人は結構います。
そういう人には後輪を外さないというのはメリットになります。
また後輪も外すタイプの輪行袋だと、どうしてもリアディレーラーがむき出しになります。
そのため扱いが悪いとディレーラーハンガーを曲げてしまうなど不具合を起こすのですが、後輪を外さないタイプはその不安がだいぶ減ります。
<デメリット>
・デカイ
・鉄道会社の規則に違反する可能性
後輪を外さないことで、とにかくデカくなります。
また鉄道各社の規定に違反する可能性も出てきます。
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コクーン ボトルタイプ ブラック COCOON BOTTLE-BK タイオガ TIOGA 輪行袋 BAR02700
鉄道各社の規定
JR東日本の規定をみると、このように書いてあります。
第308条旅客は、第309条に規定する以外の携帯できる物品であって、列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り、3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、その重量が30キログラム以内のものを無料で車内に2個まで持ち込むことができる。
ただし、長さ2メートルを超える物品は車内に持ち込むことができない。2旅客は、前項に規定する制限内であっても、自転車及びサーフボードについては、次の各号の1に該当する場合に限り、無料で車内に持ち込むことができる。
(1)自転車にあっては、解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であって、折りたたんで専用の袋に収納したもの
(2)サーフボードにあっては、専用の袋に収納したものJR東日本:旅客営業規則>第2編 旅客営業 -第10章 手回り品
鉄道会社により若干の違いはあるようですが、多くの場合
・三辺の和が250センチ以内
・専用の袋に入れること
これらを条件にしていることが多いようです。
専用の袋というのは当然輪行袋のことで、ごみ袋輪行は違反になります。
コクーンや超速FIVEは違反なのか?
これについてですが、私自身もコクーンを持っているので実測したことがあります。
正確な数字は覚えていませんが、三辺の和が250センチ以内というのはギリギリクリアしていました。
確か、245センチとかそんな感じでした。
ただし、コクーンはサドル部分が袋からはみ出ます。
これについてですが、最近のJRでは【一枚の袋に完全収納】を求めているようで、サドルが飛び出ているのはアウト、サドルだけほかのもので覆うのもアウトのようです。
私鉄については鉄道会社により違うようです。
JR各社のHPなどを調べてみましたが、サドルが剥き出しになっているのはJR全社でアウト、一枚の袋で全てを覆うことを要求しているのはJR四国でしょうか。
http://www.jr-shikoku.co.jp/02_information/kippu_info/kippu_sonota/cycle_jirei.pdf#search=%27JR%E5%9B%9B%E5%9B%BD+%E8%BC%AA%E8%A1%8C%27
さて、そもそもですが輪行の歴史ってご存知ですか??
元々は、輪行は競輪選手くらいにしか許されていませんでした。
それが日本サイクリング協会の会員にも会員証を提示すれば許可されるようになり、そこから一般サイクリストにも有料にて許可されるようになりました。
その後自転車界の先輩方の努力により手荷物料金不要で輪行できるようになったという歴史があります。
それと同時に、鉄道各社は【安全性が確保できないと判断したとき】は自転車入りの輪行袋の乗車を拒否できる権限もあります。
これは例を挙げるならば、満員の通勤電車への持ち込みですね。
こんなことをするアホがいるとは思えませんが、満員電車に自転車を持ち込んだら事故が起きる可能性もあるので、当たり前ですが駅員に止められるでしょう。
なので輪行できるのは【サイクリストに与えられた権利】ではなく、あくまでも鉄道各社のご厚意で載せてもらえているというほうが正しい気がします。
コクーンについてはサドルが剥き出しになるため、原則としてアウトだと考えたほうがいいでしょう。
超速FIVEについてはサドルが飛び出ませんから、あとは鉄道各社が定める大きささえクリアしていれば問題ありません。
コクーンでも、このようにサドルまで覆うことができるタイプも発売されています。
フレックスコクーンというタイプです。
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こちらのフレックスコクーンについては、長ささえクリアしていれば違反にはなりません。
長さをクリアできるかは、正直なところ車種やフレームサイズで変わります。
なので実測してみないとわかりません。
ただし、最初に書きましたが、全身しか外さないタイプについては、前後輪外すタイプの2倍近い大きさになります。
もし複数人で輪行するとき、全員が前輪しか外さないタイプだとかなりのスペースを取ります。
そういうときは前輪しか外さないタイプをたくさん載せることで、一般乗客の迷惑になる可能性もあるので考えたほうがいいような気がします。
私が過去にツールド東北に出たとき、輪行して会場の石巻市まで行きました。
石巻から仙台に向かう電車は、1時間に2,3本しかないような状況ですが、電車内には前輪しか外さないタイプの輪行袋が溢れていて、一般乗客がまともに乗れないほどになっていました。
私はこの時、前後輪外すタイプの輪行袋でしたが、正直輪行せずに配送にすればよかったと後悔したほどです。
ただ、乗っている人全てが前後輪外すタイプだったならばかなりスペースが空いたはずで、ルール的には問題なくてもマナー的にはどうかなと思う面もありました。
また前輪しか外さないタイプの輪行袋の方々は、電車の入り口付近に5台くらい並べてひもで固定し、本人たちはみんな座席に座っている状況だったのもどうかなと思う点でした。
おかげで電車内のいくつかの出入り口がほぼ塞がっている状態でしたが・・・
なので前輪しか外さないタイプについては、鉄道各社が定めるルールを守った上で、またマナー的に一般乗客の迷惑にならないように配慮して使うべきかなと思います。
なお、今までコクーンを使ったことがありますが、駅員に実測されたことはありません。
というより、イチイチそんなことはしないでしょう。
駅員だって暇じゃありませんし。
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まあ、実際のところでいうと、前後輪外すタイプの輪行袋も、慣れれば難しいものではありません。
また、前輪しか外さないタイプよりもコンパクトになるため、持ち運びや電車内では楽です。
なので前後輪外すタイプにもぜひ挑戦してほしいものです。
OSTRICH(オーストリッチ) 輪行袋 [ロード220] ロイヤルブルー リア用エンド金具(旧)付属
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
いつも他にはない貴重な情報として拝見させて頂いています。
今回の前輪のみを外すタイプの輪行ですが、私もロードに乗り始めた頃に使っていたことがありました。
大学の頃福井に住んでいたこともあり、ロードに乗っている知り合いに誘われてこの手の輪行で神戸→福井まで行きました。(8年ほど前ですが・・・)
サドルが飛び出した状態で輪行していたのですが、行きでは何も言われることがなかったのに、帰りは改札で止められてしまいました・・・
結局、仕方なく無理やりサドルもバッグに収めて帰ったことがあります。
(一応事前にJRの規定を確認して問題は無さそうと思ってたのですが・・・)
それからは、後輪も外すタイプのバッグに変更して全部収めるようにしています。
コメントありがとうございます。
前輪のみ外す輪行袋ですが、厳密には以下の規定に違反しています。
これのどこに違反があるかというと【サドルが飛び出ているから収納してないだろ!】という理屈のようです。
苦し紛れにビニール袋などをサドルに被せると、【それは専用の袋ではないだろ!】となるようです。
私も使っていたことがありますが、止められたことはないですね。