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一時停止義務を果たしたクルマ vs 徐行義務を果たさなかったクルマ。

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こちらの続きです。

 

左方優先?一時停止?
いきなりですが質問です。道路幅員が同程度、センターラインや車両通行帯はなく、左右道路には一時停止規制があります。1、この交差点に優先道路はありますか?2、優先順位はA車、B車どちらが上ですか?3、双方の車両に課された義務はなんですか?左方優...

 

見通しが悪い交差点と徐行義務。
ちょっと前に書いたこれ。見通しが悪い交差点と徐行義務「一時不停止の自転車が悪い」という点は完全同意しますが、自転車が悪いと同時にクルマも違反がみられる。(徐行すべき場所)第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道...

 

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最高裁判所  昭和48年12月25日

このような事故がありました。

・優先道路は無し
・東西道路に一時停止規制
・交差点の全方向にブロック塀があり見通しは悪い
・南北道路の制限速度は40キロ
・道路幅は同程度

被告人車(青)は一時停止規制に従い一時停止した後、左方道路の見通しが悪いため徐行前進。
左方道路から進行してくる車との距離が約37mだったことから進行したところ、北進する車の速度が速く衝突した事故です。

この場合、一時停止規制されている被告人車は一時停止後、交差道路を進行する車の進行妨害禁止のルール。

(指定場所における一時停止)
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない

交差道路を進行する車には徐行義務(42条)が課されています。

 

さて、被告人車は同乗者に怪我をさせたとのことで業務上過失傷害罪に問われています。
最高裁は以下の理由から信頼の原則を適用。

 ところで、右交差点は、交通整理の行なわれていない、左右の見とおしの悪い交差点であり、東西道路と南北道路の幅員はほほ等しく、かつ、南北道路は優先道路ではないから、A車のように南北道路を北進して交差点に進入しようとする車両は、東西道路に一時停止の標識があつたとしても、本件当時施行の道路交通法42条に従い、交差点において徐行しなければならないのである(最高裁昭和43年7月16日第三小法廷判決・刑集22巻7号813頁参照。)。
しかるに、原判決の確定した事実によれば、Aは、制限速度を超えた時速約50キロメートルで進行し、交差点手前約20. 5メートルに至り、初めて被告人車を発見し、急制動の措置をとつたが間にあわず、交差点内で被告人車に衝突したというものであつて、本件事故は、主としてAの法規違反による重大な過失によつて生じたものというべきであり、このことは、原判決も認めているところである。
しかし、進んで、原判決が説示しているように、被告人にも過失があつたかどうかを検討してみると、本件のように交通整理の行なわれていない、見とおしの悪い交差点で、交差する双方の道路の幅員がほぼ等しいような場合において、一時停止の標識に従つて停止線上で一時停止した車両が発進進行しようとする際には、自動車運転者としては、特別な事情がないかぎり、これと交差する道路から交差点に進入しようとする他の車両が交通法規を守り、交差点で徐行することを信頼して運転すれば足りるのであつて、本件A車のように、あえて交通法規に違反し、高速度で交差点に進入しようとする車両のありうることまでも予想してこれと交差する道路の交通の安全を確認し、もつて事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務はないものと解するのが相当である。

最高裁判所第三小法廷  昭和48年12月25日

なお、判決は破棄差し戻し。
原審が「特別な事情」を認定しないまま有罪判決にした点に違法があるとしています。

 

なお、刑事責任がなくても民事責任は負うので、おそらく民事責任としては被告人車のほうがやや大きいか、50:50になるかどうかくらいだとは思いますが。

見通しが悪い交通法の徐行義務

優先道路(交差点内にセンターラインもしくは車両通行帯)じゃない限り、見通しが悪い交差点は徐行義務を負いますが、

(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。

ぶっちゃけた話、だいぶテキトーになっていて漠然進行する車が多いのが実状。
一時停止側が劣後するのは当然ですが、道路交通法の優先規定って原則としては「適法に通行する車両を優先する規定」なので、業務上過失傷害罪においても信頼の原則を適用したものと考えられます。

 

下記のように一時停止しないのは論外ですが、

かといって一時停止無視の自転車の一方的過失にならない理由は、やるべき義務(徐行)をしないまま漠然進行するから。
見通しが悪い交差点で徐行義務を課している理由は、一時不停止の車両を予見するためというよりも、歩行者の通行の安全が主の目的なんだとされますが、やるべき義務を果たさない結果、思っていたよりも過失がつくわけです。


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