ヘルメット努力義務化から1ヶ月程度経ちました。
自転車ヘルメットの努力義務化については、約2年前から発表され、改正道路交通法自体も1年前に決まっていたわけですが、
この数ヶ月で「ヘルメット努力義務化の前に、自転車レーンなど行政がやるべきことがあるだろ!」という意見がごく一部では盛んに。
そもそも「努力義務」なんて法律上は何も縛りを設けてないから努力義務なのに、「法的縛り」だの「規制強化」だのミスリードする側に問題があるような。
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そもそもの不思議
そもそもこれ。
「ヘルメット努力義務化の前に、自転車レーンなど行政がやるべきことがあるだろ!」
確かにそこについては否定する気もないのですが、若干の違和感。
というのも、自転車ヘルメットの努力義務化は「警察庁」のお仕事になりますが、警察庁・警察組織って道路構造などインフラの主体にはなり得ない組織。
交通規制や交通ルールの作成がお仕事の組織に、「道路構造を変えろ」と言ったところで、得意の「管轄違い」でしかない。
インフラについては国土交通省やら都道府県、市町村のお仕事なので…警察組織に対し「自転車道作れ」と言ったところで管轄違いだから他へどうぞでしかない。
なんか無理矢理問題の矛先を変えているように見えてしまう。
ステーキ屋に対し
「牛丼出せよ!同じ牛だろ!」
と言ったところで何も起きないのは明らかですが、「同じ行政」という雑な括りで批判したところで何が起きるのだろうか。
税務署に行って「労働問題ガー!」など主張したところで何も起きないのはわかると思うし、労基署に行って「違法駐車ガー!」と文句をつけたところで何も起きませんが、警察庁ができる範囲が「そこだけ」なんじゃないのかね。
そもそも「努力義務」なんだからどうせ今のように「今までと変わらず被らない人」が大多数なのは容易に予見可能だったわけで、2年前に記事にした時も「あー、ジャパンが得意とする名目上の努力義務発動か」くらいにしか思っていなかったのですが。
この国は歯磨きすら努力義務ですし。
(国民の責務)
第六条 国民は、歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科に係る検診(健康診査及び健康診断を含む。第八条において同じ。)を受け、及び必要に応じて歯科保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。
(国民の責務)
第二条 国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。
「被災者への支援その他助け合い」も努力義務。
(国民の努力)
第五条 国民は、第二条の基本理念にのっとり、相互扶助と連帯の精神に基づいて、被災者への支援その他の助け合いに努めるものとする。
そもそも「東日本大震災復興基本法5条」なんてほとんどの人は知らないでしょ。
「行政の仕事ガー!」といったところで、日本が得意とする「ザ・管轄違い」という罠しかない。
「ザ・管轄違い」が問題だというなら、声の挙げ方も違うかと。
なお、事故に遭ったときの過失割合に響くかどうかについてですが、民法でいうところの過失とは、一般的な基準として普及しているかの問題なので、今のところは否定的見解の方が多い。
国民の大多数がヘルメットをかぶり、自転車=ヘルメットが常識レベルになれば別でしょうけど。
することがないだけ
警察庁が自転車ヘルメットの努力義務化にしたのは、電動キックボードとの兼ね合いもありますが、
他にすることがない(警察組織の管轄では)
インフラには関われない組織ができることなんて、そんなもんですし。
そもそも、いまだに「第一当事者ガー!」とか語る人がいることにも驚きますが、第一当事者、第二当事者をどのように決めているか知っているのだろうか。
自転車がノールックで直前横断しても第一当事者はクルマになることが多いのに。
けど、こういう記事が出ると、「第一当事者ガー!」と主張する人は出てくるんでしょうね。
意味のない数字を持ち出す時点でお察し。
なお、努力義務化については実態として法的な効力もないので、「そのうち忘れ去られる」のがオチでしょう。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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