PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

自転車に「乗った状態」が歩行者扱いされる唯一の例外とは?

blog

自転車に乗った状態は自転車であり軽車両ですが、あまり知られていませんが「自転車に乗った状態」だけど歩行者扱いになる例外があります。

 

たった1つの例外とは?

スポンサーリンク

小児用の車

道路交通法の「歩行者とみなす規定」(2条3項1号)には「小児用の車」というものがあります。

3 この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。
一 移動用小型車、身体障害者用の車、遠隔操作型小型車、小児用の車又は歩行補助車等を通行させている者(遠隔操作型小型車にあつては、遠隔操作により通行させている者を除く。)

おおむね6歳未満が乗る自転車については、小児用の車となり道路交通法上は「歩行者」です。


小児用の車について、警察庁が示した基準はこちら。

○小学校入学前まで(6歳未満)の者が乗車している自転車
○車体が6歳未満の者が乗車する程度の大きさ(車輪がおおむね16インチ)
○走行、制動操作が簡単で、速度が毎時4ないし8キロメートル程度以下のもの

幼児の保護と、低速ゆえの他害性の低さからこのような規定になっています。

 

ただし、明確な基準があるわけではないため、判例でもケースバイケースとして判断されています。

判例年齢自転車サイズ・速度裁判所の判断
東京高裁S52.11.305才7ヶ月ハンドル高80センチ、車輪直径40センチ軽車両
東京地裁S53.12.144才11ヶ月補助輪付幼児用自転車(7、8キロ)小児用の車(歩行者)
岐阜地裁H19.3.96才2ヶ月16インチ軽車両
東京高裁H26.12.246才18インチ軽車両
福岡高裁S49.5.299歳8か月22インチ軽車両※
浦和地裁S57.3.317才8ヶ月16インチ自転車

※一審は「小児用の車」としたものの、二審は軽車両と認定。

道路交通法2条1項11号が「小児用の車」を軽車両から除外し、同条3項1号が「小児用の車を通行させている者」を歩行者とした所以を考えるのに、同じく自転車の類型に入るものであつても、「小児用の車」にあたれば、これに乗つて進行している者は歩行者とされ

 

福岡高裁 昭和49年5月29日

おおむね6歳未満が乗る自転車は「小児用の車」として歩行者になるため、例えば横断歩道を横断しようとしていたら「歩行者」。

 

自転車に乗ったままでも「歩行者」になる唯一の例外です。
なお、その他の年齢でも「降りて押して歩く」と歩行者になることは言うまでもなく(道路交通法2条3項2号)。

 

なお、福岡高裁判例はこちらをどうぞ。

 

「小児用の車」は歩行者扱い。
先日書いた内容についていきなり「嘘つき」呼ばわりされるインターネットって凄いですよね。 近々改正予定ですが、改正後も結局は歩行者扱い。 現在の法規で示しますね。 (定義) 第二条 3 この法律の規定の適用については、次...

 

歩道通行要件との勘違い

道路交通法63条の4第1項2号、施行令26条では歩道に「自転車通行可」の標識がなくても歩道を通行できる要件として13歳未満、70歳以上が乗る自転車を挙げていますが、この人たちは歩行者扱いになるわけではなく、あくまでも「軽車両」として標識の有無にかかわらず歩道を通行できるのみ。
「小児用の車」は乗ったままでも歩行者ですので、意味が違います。

普通自転車により歩道を通行することができる者
第二十六条 法第六十三条の四第一項第二号の政令で定める者は、次に掲げるとおりとする。
一 児童及び幼児
二 七十歳以上の者
三 普通自転車により安全に車道を通行することに支障を生ずる程度の身体の障害として内閣府令で定めるものを有する者

なお、横断歩道を横断しようとする自転車がいても一時停止義務はありませんが、「小児用の車」に該当する場合は「歩行者」なので一時停止義務がある。

 

13歳未満と70歳以上も歩行者扱いだと勘違いする人がいますが、立場はあくまでも「軽車両」です。
ただし、判断能力の問題などから事故につながりやすいため、一時停止して横断させたほうが無難なことは言うまでもありません。

 

70歳以上が自転車に乗ったまま横断歩道を横断した場合の事故については、「軽車両」として扱われています。

 

・福岡高裁 平成30年1月18日
・大阪高裁 平成30年2月16日

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。...

 

下記は小学生が横断歩道を自転車に乗ったまま横断した事故ですが、やはり「軽車両」として扱われています。

 

横断歩道を横断した自転車と、優先道路の判例。
以前こちらで挙げた福岡高裁の判例ですが、横断歩道を横断した自転車を優先道路の進行妨害(36条2項)としています。 一応、似たような判例はあります。 横断歩道と優先道路 判例は大阪地裁、平成2...

 

実際のところ、一時停止義務がなくても事故回避義務は免れないので、一時停止して自転車を横断させたほうが無難なことは多いのですが、乗ったままでも歩行者扱いされるのは「小児用の車」とされる場合のみ

 

全年齢において、自転車に乗ったまま横断歩道を横断することは禁止されていませんが(禁止されていないが優先権はない)、小児用の車については道路交通法上「歩行者」であることはなぜかあまり知られていません。
歩行者については横断歩道上で優先になるのは言うまでもありません。

 

なぜ?「自転車は横断歩道を乗ったまま横断しちゃダメ」という説が定着した理由。
いまだに「自転車は横断歩道を横断するときに、乗ったままではダメ」と理解している人がいます。 これは誤りでして、 同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せない 平成30年1月18日 福岡高裁 ...

 

マスメディアが書く「自転車ルールの解説」って、なぜか間違いが多発するのでびっくりしますが、それだけ自転車のルールって理解している人が少ないのが現状です。

 

「小児用の車」は歩行者扱い。
先日書いた内容についていきなり「嘘つき」呼ばわりされるインターネットって凄いですよね。 近々改正予定ですが、改正後も結局は歩行者扱い。 現在の法規で示しますね。 (定義) 第二条 3 この法律の規定の適用については、次...

 


コメント

  1. けいは より:

    「小学生が横断歩道を小学生に乗ったまま横断」しちゃってますよ

タイトルとURLをコピーしました