先日、歩行者の逆走などという道路交通法にはない概念をご披露頂いた方がいましたが、
道路交通法上は歩道もしくは路側帯において歩行者の進行方向に指定はなく、歩道もしくは路側帯がない道路においても右側端通行義務を定めながらも、左側端通行を許容しているので、事実上歩行者には「逆走」がない。
第十条 歩行者等は、歩道又は歩行者等の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。
それは置いといて、ええと、ついには妄想ですかね。
https://t.co/aWOkPbjvzU
6歳幼児が乗る自転車は、車両じゃなくて歩行者だよ。
と思う人もいる。
だけどね、その6歳の幼児が乗る自転車(車両=歩行者)をサイクリングロードに一人で放置した責任は、一体誰にあるんだろうねって話なんだよね。
ロードバイクの運転者ばかりじゃなくて親にも責任あるだろ? pic.twitter.com/BxIJhuII5r— 網戸 (@OKz16opaTZCKnTA) May 16, 2023
大人が子供に配慮するのは当然
いったいどこから「サイクリングロードに1人で放置した」という事実を読み取れるのやら。
妄想で語るのはやめましょう。
なお、意味を理解できなかったようですが、6歳が乗る程度の速度に対し、修理を要するほどの損害が出ていることから「どちらの過失が大きいかはバカでもわかる話」。
普通の注意義務を果たしていれば、大きな損害が出るような事故にはならないからね。
民事の過失の概念を理解しているのだろうか。
ところで、きちんと読み取れないようなのでアレなんですが、
「真ん中辺りでフラフラしてた」という点について過失を免れない
小児用の車とサイクリングロードでの事故。小児用の車とされるおおむね6歳未満の自転車は、道路交通法上は「歩行者」になる話を何度か書いていますが、 質問を頂きました。 小児用自転車が歩行者扱いって常識なのでしょうか。。。 2年程前にサイクリングロードで当時6歳の息子とロードバイクがぶ...
と、書いたように、一方的過失だなんて誰も思っていませんよ。
さらに言えば、おおよそ11歳、12歳以上じゃないと責任能力がないので、この場合の「過失を免れない」とは親権者を意味する(民法714条1項)。
前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
イチイチここから説明しないとわからないような方なんですかね。
6歳の子供という話と「過失を免れない」と書いた点から、普通の人であれば「親権者の責任は免れない」と読み取れるのですが、斬新な実力を発揮する人にはわからないのか…
しかも「全て親の責任」などと全くあり得ない話を始めてますが、
https://t.co/aWOkPbjvzU
その場に親がいたのに、回避できなかったのかな?
だったらね、それは全て親の責任になる。
ロードバイク運転者が安全運転で避けるはず、止まるはず。
と、思ってたんじゃないの?
その場にいたなら親が防げるでしょう?
無責任な親の油断がうんだ事故。
と、悪い方になります pic.twitter.com/6QBFjN1tua— 網戸 (@OKz16opaTZCKnTA) May 16, 2023
サイクリングロードで自転車同士の対向関係の接触や衝突の場合、基本過失割合は50:50だと書いたのも読めないのだろうか。
(ただし後述する事情から、自転車扱いなのかについては事故発生前にはわからない)
以下、河川敷道路(幅員3m)での自転車同士の事故判例。
足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。その上で、以上のような被告と原告の過失の内容及びこれが結果に与えた影響を考慮すると、被告の過失の方がやや大きいというべきであり、4割の過失相殺をするのが相当である。
大阪地裁 平成28年9月16日
なお、当該判例については以下のような状況です。
原告 | 被告 |
時速約20キロ | 12歳、無灯火、2人乗り、友人と並走 |
「全て親の責任」などという、全くあり得ない妄想をする人がいるとは…
一方的過失だなんて書いてない上に、過失の「大小」の話を書いているにもかかわらず読み取れないとなると、残念ながらあなたには「ムリ」かと。
「小児用の車」なのかを見抜くことは不可能
小児用の車と見なされた場合には道路交通法上「歩行者」になります。
道路交通法2条1項11号が「小児用の車」を軽車両から除外し、同条3項1号が「小児用の車を通行させている者」を歩行者とした所以を考えるのに、同じく自転車の類型に入るものであつても、「小児用の車」にあたれば、これに乗つて進行している者は歩行者とされ
福岡高裁 昭和49年5月29日
警察庁の指針では以下の通り。
○小学校入学前まで(6歳未満)の者が乗車している自転車
○車体が6歳未満の者が乗車する程度の大きさ(車輪がおおむね16インチ)
○走行、制動操作が簡単で、速度が毎時4ないし8キロメートル程度以下のもの
対向する自転車に乗る子供について、5歳なのか6歳なのかを見分けることができる人なんていないし、ましてや自転車なのか小児用の車なのかを見抜くことは不可能。
なのでわからない以上は歩行者として扱うのは当然(最終的にどっちなのかは結果論に過ぎない)。
歩行者と捉えると、車両運転者には当然この義務が課される。
第十八条
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
全て情報が出揃った「結果論」で考える人は多いけど、対向する自転車に乗る子供が自転車扱いなのか小児用の車(歩行者)扱いなのかはわからないのだから、歩行者と捉えて「安全側方間隔」又は「徐行」する。
子供相手&サイクリングロードなら両方必要でしょう。
安全側方間隔にしても子供が乗る自転車相手なら2m以上は必須。
通常これらの義務を果たしていれば接触や衝突には至らないし、仮に接触や衝突しても大した被害になることはないのであって、それを前提に書いているのもわかんないんだろうな~。
まあ「歩行者の逆走」などという衝撃的な話をするくらいなので、まずは法律を勉強することからオススメしておきます。
まさか、歩道を通行する自転車について「逆走」があるなんて思ってないですよね?
歩道を通行する自転車は左右どちらの歩道を通行しても、63条の4に抵触しない限りは何ら違法性がない。
きちんと法律の条文から読んでご確認ください。
こういう人って「結果論」でしか見れないのだろうけど、わかっている人であれば「対歩行者」と捉えて18条2項の義務を果たすので(事実上徐行と安全側方間隔の両方)、「真ん中でフラフラしていた」としても大きな被害になるわけがないのですよ。
ちなみにこれで子供が怪我をした場合には過失傷害罪にも問われますが、過失傷害罪は親告罪なので被害者側から告訴がない限りは動きません。
以前見た判例では、順走自転車と逆走自転車が衝突し逆走自転車が怪我をした事故について、順走自転車が「過失傷害罪で有罪(略式)」と書いてありました。
どう考えても大人が乗るロードバイクのほうが注意義務が大きい案件ですが(一見して歩行者扱いするので。最終的にどっちなのかは結果論。)、まさかそれすらわからない人がいるとは思いもしませんでした。
そして子供側に過失がないなんて話を書いてないにもかかわらず、どういう読解力を発揮するの。
下手すりゃ前科持ちにすらなりうる案件なことを理解しているのでしょうか。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
無茶苦茶な理屈を作ってしまう人って、いい大人でも結構いますよね。
大概は、何かの都合や自分のこだわりでもってまず結論が決まり、次にそれに合わせて理屈を組み立てようとすることが、混乱の原因です。例えば政治家の弁とかは典型的(笑)。
道理を積み重ねることで結論を得る、というパターンの人は、かなり少ないです。
あと話がぐちゃぐちゃになる原因としてもう一つ大きいのはやはり、相手が言っていることを理解しようとしないこと。これも非常に多いのです。
大変残念ですが、これらのメカニズムに鑑みれば、議論を深め共通認識に至る道のりは、大変遠く険しいと言わざるを得ません。
コメントありがとうございます。
そもそも議論を目的にしてない方もいるので、なおさらややこしいと感じています。
持論を貫きたいだけの人もいますので…
なるほど、それは確かにややこしい。
選ぶことができるなら、関わらないのが良さそうです。
コメントありがとうございます。
世の中いろんな人がいるので人間観察と考えると楽しめたりします。
物事、捉え方次第なのかもしれません笑。
けど幼児と衝突して逆ギレする大人にはなりたくないなと思ってます。
小児用の車(歩行者)かどうかなんて裁判しない限りはわからないので、歩行者とみなして大人が行動すべきとしか思わないので。