つい最近、ある場所に存在する「自転車道」(交通法2条1項3号の3)について通行義務があるのか?ないのか?という質問を頂いたのですが。
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自転車道の通行義務
道路交通法上、普通自転車は自転車があるときは自転車道を通行する義務がありますが
第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
そもそもの問題として、道路交通法上の自転車道って道路標識が必須要件ではないのです。
例えば車両通行帯は「道路標示」が必須要件ですよね。
標識令では自転車道の道路標識はこれ。
けど道路交通法上は標識が必須要件にはなってないので、自転車のために工作物で仕切りがあれば自転車道になりうる。
なので、そこが自転車道になるのかどうかはみてもわからないことが普通にあります。
一応は定義上「車道の部分」なので車道を区切らないとダメ説もありますが(執務資料等)、
「車道の部分」の解釈って2つ成り立つのですよ。
②歩道を切り取って車道にしてはいけない法律はないのだから、歩道の中を工作物で区切っても車道を作ることは可能。なので道路交通法の自転車道になる。
①の解釈で書いてあるのは執務資料。
②の解釈は、「最新道路交通法事典」(東京地方検察庁交通部研究会、1974年)、「逐条道路交通法」(交通法令研究会、警察時報社、昭和47年)。
例えば国道16号相模原の自転車道は、誰がみても歩道の中にありますが、管轄署によると道路交通法上の自転車道なので通行義務あり。
一方、国道357号金沢区の自転車道については同じく歩道の中にありますが、管轄署によると道路交通法上は自転車道と見なさないため、通行義務はない。
広島市にできた自転車道については、誰がみても歩道の中にありますが、管轄署によると道路交通法上の自転車道なので通行義務あり。
羽田空港近くの自転車道については、誰がみても歩道の中にありますが、管轄署に聞く気にもなれない笑。
多摩川スカイブリッヂの自転車道は、車道の部分と見なせるので通行義務あり。
そうするとこれはどうします?
「歩道の普通自転車通行指定部分」の道路標示があるので歩道だと理解できますが、一方、自転車道は標識が必須要件ではないのです。
なのでそこが「道路交通法上の自転車道」なのかについては、構造をみてわからないならあとは管轄署のお気持ち次第としか言えません。
いい加減にして
そもそも「標識」が必須要件ではないのは車道と歩道も同じこと。
歩道であることを示す標識なんてないので。
なお、管轄署が道路交通法上の自転車道ではないと考えたとしても、事故が起きた場合に裁判所がどう判断するのかはわかりません。
それも含め、法律の不備&分かりにくい構造を乱発する行政の悪行としか思ってないです。
なので「ここは自転車道なのか?」と聞かれても、管轄署に聞かない限りはわからないでしょうし、管轄署と裁判所の見解が一致するとは限りません。
先日のこれにしても、構造物で区切りがあるので自転車道と捉える余地はあるし、
こっちなんて、交通規制上は車両通行帯最外側線の外側にポールで区切られてますが、
道路交通法上は自転車道だと捉えないと、自転車がここを通行すると通行帯違反になるという意味不明な状況に陥ってしまう。
しかし自転車道だと捉えると、このエリアは双方向通行が可能になるという意味不明な状況に陥り、「超法規的存在」と捉えるしかありません。
法律と構造の整合性を取らないまま進めるから、道路交通法ではイマイチ解決不可能な事態が勃発するし、道路交通法を理解してない人がこのようにプレイする自転車について「通行帯違反」だの騒ぐし(違反ではないです)、
自転車のルールって地獄。
「道路交通法を守っている」と豪語する人って、どうやってわからないルールを守っているのか不思議です。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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