ちょっと前に、大学構内で自転車同士が正面衝突した事故報道がありましたが、
これとは別件ですが、大学構内で自転車同士が正面衝突した事故判例がありました。
Contents
大学構内で自転車同士が正面衝突
判例は東京地裁 平成28年4月12日。
原告自転車は幅員約6mの通路を左側通行し、被告自転車は右カーブを右側寄り通行です。
まず、大学構内について道路交通法の適用があるのか?という問題がありますが、以下のように判断。
本件通路は、一般車両の通行可能な道路に接続するアスファルト舗装の通路であり、現に、学生、教職員等、不特定多数の者の交通の用に供されているのであって、自動車で大学構内に入るときは入構証の交付を受ける必要があることや、外来者の無断立ち入りを禁止する旨の掲示がされていることなどを考慮しても、本件通路は道路交通法2条1項1号所定の道路(一般交通の用に供するその他の場所)に当たると解される。
東京地裁 平成28年4月12日
まあ、この判断自体は妥当かなと思いますが、過失割合はこちら。
原告自転車(左側通行) | 被告自転車(右側通行) |
50 | 50 |
こうなる理由としては、センターラインもなければ大学から左側通行の指導が徹底されていなかったことなどを総合考慮すると、原告自転車(左側通行)もカーブ部分を逆走してくる自転車を予見可能という判断です。
過失とは予見可能性と回避可能性なので、そもそも民事の過失割合は道路交通法の具体的義務が全てではない仕組み。
逆走自転車がいることは「予見可能」だし、自転車程度のスピードなら「回避可能」と判断されることが多い。
逆走自転車との衝突
そもそも、逆走自転車と順走自転車が衝突した場合の過失割合は50:50なので、ある意味では基本過失割合に準じた判断とも言えます。
狭いサイクリングロードでの事故にしても、こんな感じですし。
足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。
大阪地裁 平成28年9月16日
令和になった今でも、自転車の左側通行は確立されてないのでね…
自転車同士の事故の場合、思い描くような過失割合は望めないし、大抵の場合「逆走自転車は予見可能」として順走側にもだいぶ過失がつくわけで、逆走自転車って最強ですよね。。。
なお、逆走自転車に対して事故回避行動を取らないと安全運転義務違反や過失傷害罪に問われるので、
いつになったら自転車にも左側通行義務が適用されるのやら。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
こんにちは、いつもここを読んで自分を振り返っています。
>いつになったら自転車にも左側通行義務が適用されるのやら。
ホントですよね。
でもこれはこの記事の結論「50:50」となっているのが原因ではないでしょうか。
「こういう事故を起こすと逆走車は過失75%が基本」
と言うところから始まるようにすれば少しは逆走車が減る気がします。
そしてヘルメットより何より「信号遵守」「一時停止遵守」「左側通行遵守」
これの啓発がなさ過ぎです。
これからもタメになる記事をお願いします。
コメントありがとうございます。
一応、自転車の逆走事故は50:50にしましょうということが赤本で決まってまして、そこを直すのは容易ではありません。。。