こういう事故を見るといろいろ思うところはありますが、
衝撃的怠慢。交通事故なのに、大森警察、面倒理由に、事故処理しない。 pic.twitter.com/2Vr3yliUrA
— 森 良一 (@EM2LTkeRLj56467) August 4, 2023
どのように考えるのが正解なのでしょうか?
Contents
自転車の横断歩道事故
今回は質疑応答形式で説明します。
①自転車が横断歩道を乗ったまま横断することは違反では?
同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せない
平成30年1月18日 福岡高裁
「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について|e-Govパブリック・コメントパブリックコメントの「「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について」に関する意見募集の実施についての詳細です。
イ 横断歩道を進行する普通自転車が従うべき信号灯火を定めることについて
この項目に対しては、
○ 自転車に乗ったまま横断歩道を通行することはできないはずであり、また、自転車で横断歩道を通行することは大変危険。
といった御意見がありました。今回の改正は、道路交通法の一部を改正する法律(平成19年法律第90号。以下「改正法」といいます。)により、例外的に歩道を通行することができる普通自転車の範囲を明確化したことに伴い、自転車横断帯が設置されていない交差点において、これらの普通自転車が横断歩道を進行して道路を横断することが見込まれることを踏まえ、横断歩道を通行する普通自転車が従うべき信号を車両用でなく歩行者用灯器とするものです。
道路交通法においては、普通自転車が横断歩道を通行することを禁止する規定はありませんが、横断歩道は歩行者の横断のための場所であることから、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)において、横断歩道の通行について、歩行者の通行を妨げてはならない旨を周知し、歩行者の安全確保を図ることとしています。
②優先権はどちらにあるのでしょうか?
道路交通法上、自転車は軽車両に該当し(同条2条1項11号)、車両として扱われており(同項8号)、交差点における他の車両等(同法36条)との関係においても、車両に関する規定の適用により、四輪車や単車と同様の規制に服する(自転車の交通方法の特例が定められているものは除く。)。交差点を左折する四輪車にもその進行にあたっては前方を確認すべき注意義務があることは当然であるが、歩行者用信号規制対象自転車であっても、横断歩道では歩行者が横断歩道により道路を横断する場合のような優先的地位(同法38条1項)は与えられておらず、また、他の車両との関係においてはなお安全配慮義務(同法70条)を負うと解されるから、安全確認や運転操作に過失がある場合は、自転車の運転者は、相当の責任を負わなければならない。
神戸地裁 令和元年9月12日
③刑罰としての安全運転義務違反は成立しますか?
民事責任上では安全運転義務を怠った過失になりますが。
右第70条は他人に危害を及ぼさないような云々と規定されているので人の生命身体に対して危害を加える場合にのみ限定すべきである。因に同条は他人に危害云々といつており之は人を対象とする言葉であつて物を損壊した場合を含ませることは無理である。
大津地裁彦根支部 昭和41年7月20日
④ぶっちゃけた話、どうなんですかね。
ただし故意の立証は難しいので、現実的かと聞かれるとビミョーです。
なお、自転車側には優先権がない以上、容易に接触や衝突を回避できる場合には過失になります。
自転車で交差点を横断するときは、車両が交通弱者である自転車や歩行者に配慮すべきであるから、自身は、信号色と交差点進入直前に接近している自動車がないかだけを確認し、その他、特に減速したり一時停止をしたりする必要はないと考えていたと述べる。しかし、自転車は、横断歩道で横断する際、歩行者のような優先的地位(道路交通法38条1項)が与えられておらず、自動車を含む他の車両との関係ではなお安全運転義務を負い、自ら衝突等を回避するよう行動すべきであるのに、交差点を走行する車両を顧みることなく進入したものである不注視の程度は、自転車といえども交差点に進入する際には自動車との関係で安全運転義務を負うことすら認識していないという点でも大きいといわざるを得ない
名古屋地裁 令和4年3月30日
横断歩道ではなく歩道での事故ですが、故意に衝突させたと判断されて自転車の過失を100%にした判例があります。
ただし故意の立証は困難ですし、動画のケースについては、現実的には自転車過失が20%行くかどうかというところでしょうか。
この手の相場は自転車過失が10%程度なので。
そもそも
自転車が横断歩道を乗ったまま横断すること自体は違反ではないものの優先権はありませんし、理屈の上では25条の2第1項の義務を負うわけで、
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
道路交通法上は自転車が不利なものの、実情を踏まえてクルマの注意義務のほうが大きいことになります。
見た印象ではどっちもどっちですが、自転車による当たり屋行為も横行しているのが現実。
なので自転車を先に行かせたほうが無難。
実際のところ、怪我をさせて過失運転致死傷罪で起訴されることもありますし、当たり屋だと立証することは困難。
この判例は過失運転致傷罪で略式起訴されたものの、裁判所が「慎重な審理が必要」として略式を受けず通常の裁判になり無罪になってますが、かなりマレな事例です。
そもそも、自転車の前輪とクルマの最後部が衝突してますが、このような事故態様は「自転車が容易に衝突を回避可能」と判断されます。
また、横断歩道上で似たような事例にて、「自転車が故意に起こした事故」と判断されて支払い済み保険金を全額返金せよという判例もありますし(東京地裁平成27年11月5日)、自転車が必ず有利になると思わないほうがいい。
まあ、現実的な過失割合は自転車過失20%行くかどうかだったりしますが…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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