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青梅街道の「普通自転車歩道通行可」が撤去。

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ふーん、という感想しかありませんが、

区内の青梅街道の歩道に設置している標識「普通自転車歩道通行可」は、8月中旬以降に撤去する予定です。

 

指定されたページ、またはファイルは見つかりませんでした。|杉並区

影響は特定小型原付だけですね。

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「普通自転車歩道通行可」の撤去と影響

そもそも、当該「普通自転車歩道通行可」を撤去する理由ですが、「歩道上で電動キックボードや自転車による歩行者への接触事故」が増えていることが理由らしく。
さほど広くない歩道ですし。
そして「普通自転車専用通行帯」などを整備する予定は今のところありません。

 

ここまでが事実。
事実を踏まえての影響について説明します。

 

○特定小型原付

まず、特定小型原付については、「自転車通行可」の標識がない歩道は「時速6キロモード」にしたところで通行できませんので、特定小型原付が歩道を通行することは出来なくなります。

 

○普通自転車

普通自転車については、63条の4第1項3号でいう「やむを得ないと認められるとき」があるので、実質的には何も変わらないでしょう。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき

そもそも歩道を通行する自転車が歩道上にある標識の有無を確認してから歩道通行している実態なんてありませんし、現実的にも当該規定に違反しているとして切符を切ることは困難。

理屈の上では「車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められないのに歩道を通行した」ということであれば、17条1項(通行区分)の違反となりますが、法定要件が不明確なので現実的には注意指導しかできない。

 

そもそも、「自転車通行可」の標識がある場合でも、絶対的な通行権を認めたものとは解釈できず、63条の4第1項本文にて

ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。

としているわけで、実質的に自転車が歩道を通行する上では標識の有無が大きく関わるものとは言えない。

 

そして13歳未満70歳以上は標識の有無が関係なく歩道通行可能です。

 

以上を踏まえると、「自転車通行可」の標識が撤去されることへの影響は、現実的には特定小型原付のみと捉えていいでしょう。

「やむを得ないと認められるとき」

そもそも63条の4第1項3号でいう「やむを得ないと認められるとき」とはなんなのか?

 

この規定が出来たのは平成19年改正道路交通法。
当時の国会議事録によると、このような説明になっています。

第166回国会 参議院 内閣委員会 第9号 平成19年4月17日

 

○亀井郁夫君

国民新党の亀井でございますが、道交法というのは非常に一般の人たちに密着した法律ですから、もっといろいろな点で、今日も指摘ありましたけれども、分かりやすく作っていく必要があると思いますから、いろいろ研究してほしいと思うんですけれども、今日これから何点か、私も素人でございますけれども、常識の観点からお聞きしたいと思うわけでございますが。
普通自転車については、児童や幼児については車道又は交通の状況に照らして歩道を通行することができるということになっておるんですけど、普通自転車がね、普通自転車が歩道を走ることができるということになっているんだけれども、ほとんどの人が今ごろは交通事情が厳しいからみんな歩道を走っている人が多いんですけれども、どういう場合に歩道を走ることができるか。その認定はだれがするんですか。そして、それはどういう形で表示されているんですか。どこにもそういうことは書いてないんで、その辺がどうなっているんでしょうか。

 

○政府参考人(矢代隆義君)

お答え申し上げます。
現在の道路交通法では、自転車は車道を通行することが原則と、それから都道府県の公安委員会が普通自転車歩道通行可の規制、これは標識を立てますが、した場合には車道を通っても歩道を通ってもいいということになっております。したがいまして、基本的には各都道府県公安委員会がそれを判断して歩道通行のできる場所を決めていくと、これが大原則でございます。
そこで、今回の改正ではこれに加えまして、児童、幼児等が運転する場合、あるいは車道の交通の状況に照らしまして自転車の通行の安全を確保するため当該自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合ということでございますが、このやむを得ないと認められる場合というのは、これは客観的に決まるというふうなものでございまして、道交法でやむを得ない場合というのは極めて限定的な意味でありまして、言い換えますと、どうしてもそうせざるを得ない状況のことを言っております。
したがいまして、例えば道路工事が行われておってそこを通れない、あるいは駐車車両が連続的に存在しているというような場合、あるいは狭い車道で大型車が連続してどんどん来る、通れない、進めないと、そういうような場合が想定されるわけですが、これを一つ一つずっと書き出すのはなかなか容易でないわけですけれども、交通の方法に関する教則、これは国家公安委員会が定めておりますので、その中でこのやむを得ないというのはこういうことなんだということをよく示していく考えでございます。だれが決めるかということになりますと、これは客観的にもう決まってくるものであると、こういうことでございます

 

○亀井郁夫君

どうも分かったような分からないような、客観的に決めるというんだけれども、決める人がたくさんおるわけだから困っちゃうわけですね。そうすると、道路を走るんだといっても、普通自転車を運転している人が危ないと思ったら歩道を走っていいんですね。そうすると、おかしいじゃないかと言っても、それは自分がそう思っていたからと言えばいいんであれば、そんなふうにだれでも決められるようになってはいかぬし。また、国家公安委員会が決めたというんだったら、決めたところをある程度はっきりしておけばいいと思うんだけれども、そういう点でもおかしいと思います。その辺どうなんですか。

 

○政府参考人(矢代隆義君)

このやむを得ない場合について、自転車の利用者の方が自分で判断して、言葉を換えて言えば勝手に判断していいというわけではありませんで、やはりそういう客観的に先ほど私が申し上げましたような状況でないにもかかわらず、自分はやむを得ないと思ったんだと、こういうふうに言われましても、それはやはりそこで現場では、それでは違反になるということで指導することになると思います。
それで、なぜそのようにせざるを得なかったかと言いますと、公安委員会の規制というのは標識を立てるわけですので、この道路はいいか悪いかと決めますと、これは二十四時間三百六十五日もうオール・オア・ナッシングでございまして、それで、交通の道路の変化というような状況ですとか、交通の状況にちょっと対応できない場合がやっぱりあるわけなんですね。そういうことを考慮いたしまして、そこで先ほど申し上げましたように、大原則は公安委員会が決めていきますけれども、それによることができない場合があるであろうから、それについて法定事項とさせていただくと、こういうことでございます。

「やむを得ない場合」の具体例は「交通の方法に関する教則」で示すとしている。
では教則ではどうなっているのか?

(4) 普通自転車は、次の場合に限り、歩道の車道寄りの部分(歩道に白線と自転車の標示(付表3(2)22)がある場合は、それによつて指定された部分)を通ることができます。ただし、警察官や交通巡視員が歩行者の安全を確保するため歩道を通つてはならない旨を指示したときは、その指示に従わなければなりません。
(中略)
ウ 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき。

例示列挙されているのは以下の場合。

①道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合
②著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合
③など

まあ、だいぶ曖昧な規定です。

 

青梅街道の車道の現状からすれば、ほとんどのケースで「やむを得ないと認められるとき」に該当すると思われるので、現実的には徐行して歩行者の妨害をしなければ文句のつけようがない。
「やむを得ないと認められないのに歩道を通行した」なんて理由では違反を取りようがないので、現実的には刑罰を期待した条文というよりも、警察官が注意指導するための根拠としての意味合いが強いのだと思っていますが、昨年でしたっけ。
京都でも「自転車通行可の標識が撤去」されてますが、

 

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結局のところ、電動キックボードに対する対策として「自転車通行可」を撤去する事例は他にも聞いてます。
本来、特定小型原付が歩道を通行する上では「時速6キロモード」にする義務があるわけで、この規制に従っているならば自転車なんかよりもはるかに他害性は低いと考えられますが(自転車が時速6キロ以下で通行しているなんてまず見かけない)、特定小型原付にしてもまだそこまで信用されてないのでしょう。

 

現実的にはモード変更せずに歩道通行している事例は多々聞きますし。

 

それなら「自転車通行可」を解除しちゃえ的な発想にしかならないのが警察ですが、今後もこのように自転車通行可規制を解除しちゃう事例は普通にあるでしょう。

 

まあ、こんなことが起きる理由も、構造主体と規制主体が別だからとしか言いようがありませんが、要は実質的な不利益があるのかと聞かれたら「特定小型原付には不利益、普通自転車には影響は無いに等しい」わけで、そもそも標識を撤去したところで何かが変わるのか?というところに疑問しかありません。

 

なので標識撤去が狙い撃ちしたのは、現実的には特定小型原付のみかと。


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