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それは違反になるか。

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ちょっと前にこちらの記事を書いたのですが、

 

歩行者の直前横断と38条の2。
いきなりですが質問です。 深夜、クルマは法定速度以下の時速56~57キロで片側二車線道路(幹線道路)を進行していたところ、塀があり見通しが効かない非舗装の市道から歩行者が横断。 歩行者が車道に進出したとき、両者の距離は約13.4mしかありま...

 

民事の過失割合は一審、二審ともにクルマ0%。
こういう場合って行政処分としての違反ってつくの?と質問されたのですが。

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違反…

当該事例にて実際にどうだったのかはわからないので一般論として書きます。
実際にどうだったのかは知りません。

 

まず、民事の結果と刑事・行政の結果は何らリンクしません。
全く別の枠組みですので、民事で無過失になったから行政処分が無くなるということはあり得ません。

 

その上で書きますが、いわゆる青切符。
青切符を切られたことって、違反の確定ではないですよね。

 

警察官は道路交通法違反の嫌疑があるから青切符を切り、青切符を切られた運転者はいまだ被疑者です
違反の確定は裁判所のお仕事。

 

青切符を切られた被疑者が争わずに認めて反則金を払った場合にはそれ以上刑事責任を問われない仕組みなのが反則金制度です。

 

で。
こういう事故で回避可能性がなく、道路交通法の具体的義務違反(例えば速度超過や徐行義務違反など)がなくても、安全運転義務違反(70条)や交差点安全進行義務違反(36条4項)を行政処分としてつけることはまあまあ普通です。
あくまでも「被疑者」であり、「違反確定者」ではないので。

 

不服なら争ってね!というのが青切符の仕組みなのですが、当然のように争いたくても検察官は不起訴にするので争う場所がない。
そして加点処分は行政訴訟法では行政処分に該当しないため、提訴しても「不適法な訴えだから却下」になります。

 

行政訴訟として提訴できるのは、ゴールド免許から格下げになった場合や免取りなどの場合のみです。

 

法律解釈上、冒頭のケースでは交差点安全進行義務違反が成立するとは思えませんが、

 

交差点安全進行義務(道路交通法36条4項)の解釈と判例。
先日取り上げた件について質問を頂きました。 ええと、基本的にはならないです。 交差点安全進行義務 交差点安全進行義務はこちら。 (交差点における他の車両等との関係等) 第三十六条 4 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するとき...

 

青切符は単なる被疑者であって違反確定者というわけでもないので、そこは「そんなもん」くらいに思うしかないのかと。

 

ちなみに以前、このように書いてますが、

 

クソワロタ笑。データなんて意味ないじゃん。
警察庁や政府などが毎年、交通事故の統計データを公表しているじゃないですか。 あれ、前から疑問に思っていたことがありまして、某警察本部数ヶ所に聞いてみました。 第一当事者、第二当事者 交通事故の統計データを見ると、第一当事者、第二当事者という...

 

そういう事情も含め、強者対弱者の事故の場合、現実的な過失の大小とは関係なく強者が第一当事者になる仕組み。

 

そういうことをわかっているから、リンク先のような本音の回答になるわけだし、対弱者の事故のデータをみると強者側には100%に近いレベルで「何らかの違反があった」というデータにしかならない。

 

違反確定者の件数ではなく、被疑者の件数ですから。

 

現実的な話をすると、例えばこちらで挙げた横断歩行者妨害の事例。

 

横断歩道にて一時停止後に「通行妨害」をした事例。
道路交通法38条1項後段は、 (横断歩道等における歩行者等の優先) 第三十八条 この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないよ...

 

青切符を切られた被疑者は反則金を支払わず、刑事責任は不起訴。
安全運転義務違反なんて昭和の判例をみればわかるように、まあまあ無罪判決になったものはあります。
本来、成立要件が厳しい安全運転義務違反についても、青切符は単なる被疑者でしかないので、争ったら無罪になる事例は多いのだろうと思うけど、そもそも不起訴になれば争う場所すらない。

 

警察官が青切符を切ったものの中から、そこから先に有罪・無罪があるわけで、青切符って単なる被疑者なんですよ。
違反確定者というわけではない。

 

現実的な話をすると、まだ青切符が導入されていなかった時代には道路交通法違反、道路交通取締法の事件で無罪判決が普通にあるわけで、切符を切った中にさらに有罪(法令違反確定)・無罪(法令違反なし)があるということです。

そういうことで

自転車対クルマの事故について、クルマ側の違反が100%になっているジャマイカ!?と発狂する人とかいますが、「そういう理由」で安全運転義務違反や交差点安全進行義務違反をとりあえずつけたりしてますし、もちろんそれは違反確定者ではないし、リアルに争ったら無罪になるケースはかなりあるけど争う場所すらない。

 

そういうロジックから、統計データ上は「そうなる」のは当たり前なので、第一当事者がどうとか、クルマの違反が100%だのなんだかんだいう人って、大丈夫なのかと心配になります。

 

だから某警察本部の人も「第一当事者がどうとか全く関係ないし、統計データも無意味」だと語るわけでね。

 

以前自転車同士の衝突事故で、逆走自転車と衝突した順走自転車が「安全運転義務違反(70条)」で書類送検という話を書きましたが、

 

逆走自転車と衝突した自転車が安全運転義務違反&重過失致傷!?
以前から逆走自転車問題については何度も書いてますが、逆走自転車との距離があるときには、左端に寄せて停止して待ったほうがいいよと書いてきました。 今回の判例は逆走自転車と順走自転車の衝突です。 順走自転車が犯罪? 判例は東京地裁 令和3年7月...

 

いわゆる赤切符ですが、「安全運転義務違反の嫌疑があるから」書類送検したわけで、違反確定者ではないのよね。
赤切符はいまだ被疑者で、違反確定は裁判所のお仕事。
強者対弱者の関係性ならカジュアルに安全運転義務違反の青切符を切るのがお約束ですが、それらが本当に違反なのかは別問題だし、昭和の判例の中には警察のそういうカジュアルに安全運転義務違反を切る姿勢を批判しているものすらありますが、青切符も赤切符も違反確定者ではないのよね。

 

そういう事情から、違反として成立するかはさておいて冒頭の事例で交差点安全進行義務違反として加点される可能性はあります。
違反にはなり得ないとしか言いようがないけど、違反確定者ではなく被疑者なんですよ。

 

本来の安全運転義務違反は、事故が起きたという結果に着目するのではなくて、事故に至る可能性が高い運転方法を取り締まるためのモノ。
本来の趣旨と運用にはズレがあるので仕方ない。

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