PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

交通事故で口裏合わせて虚偽供述すると犯罪。

blog
スポンサーリンク

毎日のようにひき逃げだの報道があるのって、本来は異常であって日常であってはならない気がしますが、ひき逃げ事案ではひき逃げした当事者が罪に問われるのはもちろんのこと、知人まで及ぶことがあります。

スポンサーリンク

口裏合わせて虚偽供述して有罪

判例は最高裁判所第二小法廷 平成29年3月27日。
まずは事件の概要。

(1) Aは,平成23年9月18日午前3時25分頃,普通自動二輪車(カワサキZEPHYR。以下「A車」という。)を運転し,信号機により交通整理の行われている交差点の対面信号機の赤色表示を認めたにもかかわらず,停止せずに同交差点内に進入した過失により,右方から普通自動二輪車を運転進行してきたBを同車もろとも路上に転倒・滑走させ,同車をA車に衝突させ,よってBに外傷性脳損傷等の傷害を負わせる交通事故(以下「本件事故」という。)を起こし,その後Bを同傷害により死亡させたのに,所定の救護義務・報告義務を果たさなかった。
(2) 被告人は,自ら率いる不良集団の構成員であったAから同人が本件事故を起こしたことを聞き,A車の破損状況から捜査機関が前記道路交通法違反及び自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであることを突き止めるものと考え,Aの逮捕に先立ち,Aとの間で,A車は盗まれたことにする旨の話合いをした。
(3) Aは,前記(1)に係る各被疑事実により,平成24年7月8日通常逮捕され,引き続き勾留された。被告人は,その参考人として取調べを受けるに当たり,警察官から,本件事故のことのほか,AがA車に乗っているかどうか,A車がどこにあるか知っているかについて質問を受け,A車が本件事故の加害車両であると特定されていることを認識したが,警察官に対し,「Aがゼファーという単車に実際に乗っているのを見たことはない。Aはゼファーという単車を盗まれたと言っていた。単車の事故があったことは知らないし,誰が起こした事故なのか知らない。」などのうそを言い,本件事故の当時,A車が盗難被害を受けていたことなどから前記各罪の犯人はAではなく別人であるとする虚偽の説明をした。

何が問題かというと、犯人隠避です。
交通事故を起こした当事者と口裏合わせて「盗まれた」ことにし、被告人は参考人として事情聴取された際にウソの供述をした。

前記の事実関係によれば,被告人は,前記道路交通法違反及び自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであると知りながら,同人との間で,A車が盗まれたことにするという,Aを前記各罪の犯人として身柄の拘束を継続することに疑念を生じさせる内容の口裏合わせをした上,参考人として警察官に対して前記口裏合わせに基づいた虚偽の供述をしたものである。このような被告人の行為は,刑法103条にいう「罪を犯した者」をして現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為と認められるのであって,同条にいう「隠避させた」に当たると解するのが相当である(最高裁昭和63年(あ)第247号平成元年5月1日第一小法廷決定・刑集43巻5号405頁参照)。したがって,被告人について,犯人隠避罪の成立を認めた原判断は,是認できる。

 

最高裁判所第二小法廷 平成29年3月27日

どうせウソだとバレる話なのに、知人をかばってウソをついたので有罪。

 

ちなみに何が問題になっているかというと、事故を起こした当事者は既に逮捕、勾留されているわけです。
なぜに既に逮捕され身柄拘束されているのに犯人隠避の問題が生じるかという話。

(犯人蔵匿等)
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

「罪を犯した者」の解釈がこうだからです。

出頭しても犯人隠避罪は成立しない旨主張するので、以下職権により判断する。刑法一〇三条は、捜査、審判及び刑の執行等広義における刑事司法の作用を妨害する者を処罰しようとする趣旨の規定であつて(最高裁昭和二四年(れ)第一五六六号同年八月九日第三小法廷判決・刑集三巻九号一四四〇頁参照)、同条にいう「罪ヲ犯シタル者」には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、かかる者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう「隠避」に当たると解すべきである。そうすると、犯人が殺人未遂事件で逮捕勾留された後、被告人が他の者を教唆して右事件の身代り犯人として警察署に出頭させ、自己が犯人である旨の虚偽の陳述をさせた行為を犯人隠避教唆罪に当たるとした原判断は、正当である。

 

最高裁判所第一小法廷 平成元年5月1日

単なる参考人なのに、余計なウソをついたために犯罪になるという話です。

そもそも

変な話、こういう件は参考人としての事情聴取なので「知りません」なら問題にはならないはず。
なのでわざわざ有罪になりに行くみたいな話とも言えますが、そもそもの話としてはちゃんとルールを守り事故を起こさなければ何もなかったとしか言いようがないので、どこか虚しさが残る判例です。

 


コメント

タイトルとURLをコピーしました