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自転車の酒気帯び運転に罰則がなかった理由と、なぜ今、罰則が必要なのか?

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先日のこちらでも書きましたが、

 

自転車の青切符案について、警察庁有識者会議が2案を提示。
自転車の交通違反について青切符制度(反則金制度)を導入する話が出ていることは以前書きましたが 警察庁の有識者会議にて、自転車の交通違反について2つの案が示されました。 自転車の青切符制度案 有識者会議の情報(青切符に関する)はこちら。 以下...

 

警察庁は自転車の酒気帯び運転について罰則を設ける方向なんだとか。

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自転車の酒気帯び運転に罰則がなかった理由

まず現行法では、自転車だろうと酒気帯び運転は禁止されています。

(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

ところが、自転車については「酒酔い運転」に対して罰則があるものの「酒気帯び運転」については罰則がありません。

第百十七条の二の二
三 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

昭和45年改正前はクルマについても「酒酔い運転」しか罰則がなかったのですが、政令で定めるアルコール量以下なら飲んで運転してもいいと誤解を与えることから酒気帯び運転に罰則を新設。
その際に軽車両について酒気帯び運転の罰則を設けなかった理由はこれ。

自転車、荷車等の軽車両(第2条11号参照)を第119条第1項第7号の2の罰則の適用からはずした理由は、これらの軽車両の運転が他の交通に与える危険性は比較的低いので、軽車両については、危険度の高い酒酔い運転した場合のみを処罰することとすれば足りると考えられたからである。

 

「道路交通法の一部を改正する法律」(浜邦久、法務省刑事局付検事)、警察学論集、1970年9月、立花書房

道路交通法上、軽車両の酒気帯び運転は禁止されていますが、罰則はない。
これって昭和45年改正の理由と同じ現象が起きるわけ。

 

「罰則ないし、酒酔いじゃなきゃいいジャマイカ!?」

 

しかし酒気帯び運転のほうが事故が多いというデータが出ている以上、

新たに罰則規定を作りたいらしい。

 

まあ、自転車で公園に行きビールを飲む様子をTwitterに挙げるアホとかいますし、某大学で飲酒が厳しくなった理由は、自転車の飲酒運転で死亡事故を起こした事例がきっかけとも聞いてます。
罰則があるから抑止力になるのかはなんとも言い難いけど、まあ、時代的には必要かと。

 

ただまあ、なぜか自転車の酒気帯び運転に罰則適用して非常上告して破棄した最高裁判例があります。

 本件記録によると、高崎簡易裁判所は、昭和六一年八月一五日、「被告人は、酒気を帯び、呼気一リツトルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で、昭和六一年五月二二日午後三時二五分ころ、群馬県群馬郡a町bc番地の二先道路において、自転車を運転したものである。」との事実を認定し、これに対し、「道路交通法六五条一項、一一九条一項七号の二、同法施行令四四条の三、刑法一八条、刑訴法三四八条」を適用して、「被告人を罰金一万円に処する。右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する)被告人を労役場に留置する。被告人に対し、仮に右罰金に相当する金額を納付することを命ずる。」との略式命令を発付し、右略式命令は、昭和六一年九月四日確定したことが認められる。
しかしながら、右事実に適用された道路交通法(昭和六一年法律第六三号による改正前のもの)一一九条一項七号の二によれば、酒気帯び運転の処罰の対象は、軽車両を除く車両等であり、本件自転車は、軽車両に当たるから、右略式命令の認定事実は、罪とならなかつたものといわなければならない

 

最高裁判所第三小法廷 昭和62年12月1日

たまに不思議に思うのは、略式とは言えテキトーすぎること。
非常上告って道路交通法違反ばかりですし。

 

※非常上告とは、既に確定した有罪判決を取り消すために行う是正措置みたいなもの。

罰則は必要なのか?

個人的に思うのは、確かに罰則を設けることで新たに取締り対象にできるわけで、事故防止に貢献する可能性はあります。

 

しかし自転車相手に飲酒検問をするのか…と聞かれたらたぶん現実的ではない。
せいぜい、怪しい動きをする自転車を捕獲する程度でしょう。

 

けど最近思うのは、「自転車も酒気帯び運転に罰則ができた」ということを宣伝したいがための話題作り的な意味合いのほうが強いんじゃないかとすら思います。
というのも、そもそも自転車で飲酒運転が禁止されていることを知らない一般人はまあまあ多いのよ。
酒気帯び運転に罰則を新設したら、少なくともマスコミはまあまあ報道する。

 

法改正って、ある種の宣伝効果を狙っているんじゃなかろうか?
自転車ヘルメットの努力義務化なんて、マスコミが騒ぎまくったおかげで宣伝効果は抜群w

 

まあ、おかしな報道が相次いだせいでむしろ反発を招いた気もします。
ヘルメットが全く関係ない事故でも「被害者はヘルメットを着用していませんでした!」と発狂するのが報道ではすでにデフォルト化しました。

 

これについてもわざとやっているんじゃなかろうか?と最近疑ってまして、ヘルメットが関係ない事故でも「被害者はヘルメットを着用していませんでした!」と報道して、ネット民が「ヘルメット関係なくね?」とツッコミを入れる。

 

良くも悪くも努力義務化の宣伝効果は高いわけです。
おかげで「ヘルメットの努力義務」はやたら浸透しましたよね。
宣伝費用を掛けなくても、マスコミとネット民が拡散してくれるという新しい宣伝パターンを使っているのではなかろうか。

 

酒気帯び運転に罰則を新設すること自体は賛成です。
実効性があるかはなんとも言い難い。
警察官のマンパワーが足りてないので罰則を新設する効果があるかは不明ですが、結局は罰則を新設すればマスコミは勝手に騒ぎまくってくれるし、騒ぎまくって拡散してくれる点に宣伝効果を期待しているだけなのかもしれません。

 

何せ、自転車の飲酒運転が禁止されていることを知らない一般人は多いのだから。


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