これ。
この時期から気を付けたい!
自転車との事故一時停止地点での
左から来る自転車には要注意!今日のVoicyでも
この事故映像について話してます!上西一美の聴くだけ安全運転点呼 https://t.co/gXwGS54PRJ#Voicy#ドラレコ#ドライブレコーダー#交通事故 pic.twitter.com/5n8Trqk5mK
— 上西一美@YouTube番組ドラレコ交通事故防止 (@kazumi_decreate) September 19, 2023
道路交通法上、どちらが優先なのか?と聞かれるとだいぶ困ります。
どちらが優先?
双方の義務はこうなります。
クルマ | 自転車 | |
法条 | 43条(一時停止) | 25条の2第1項 |
義務 | 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。 | 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。 |
注1:43条でいう「交差道路」は車道のみを指すため、歩道通行自転車を含まない
注2:38条(横断歩行者等妨害)は「横断歩道ー自転車」の関係には適用されない。
要は「一時停止」と「正常な交通を妨害するおそれがある場合の横断禁止」はどちらが強いのか?という問題になる。
結局のところ、道路交通法上はイマイチ決め手に欠く以上、相対的な力関係を考慮すると自転車を優先させるしかないという結論になります。
なお、類似判例はこんな感じ。
こんな判示をしている。
本件事故は、優先道路に併設された歩道を走行し、本件交差点を直進しようとした原告自転車と非優先道路から優先道路に左折進入するために本件交差点に進入しようとした被告車両との接触事故であるところ、双方に前方、左右の不注視等の過失が認められる。
そして、以上に加え、原告自転車が右側通行であり、被告車両から見て左方から本件交差点に進入してきたこと等に照らせば、本件事故の過失割合につき、原告15%、被告85%と認めるのが相当である。
名古屋地裁 平成30年9月5日
「自転車の右側通行」は歩道なので違反にはなりませんが、過失にはなり得ます。
民事の過失って道路交通法違反の程度を争うわけでもなく、不注意の程度を争うわけで。
民事はまたちょっと別の判断基準なので。
ちなみにこのようなケースにおいても38条1項「前段」の義務が強く働きます。
横断しようとする「歩行者が」明らかにいないとは言えないので、一時停止後に慎重に横断歩道に接近する義務を免れない。
刑事事件をみると、横断歩道上の自転車との事故は「横断しようとする歩行者が明らかにいないとは言えないのに減速しなかった過失により、自転車の飛び出しに対応できずに衝突した」みたいな過失認定になります。
ところで。
一時停止の意義
一時停止の標識及び停止線の標示に従い、所定の位置に車両を一時完全に停止させるべきことはもちろんであるが、ついで自車を発進させるにあたっては、一般に交差道路を進行する車両等の進行妨害をすることがないようにしなければならない道路交通法上の義務を負う(同法43条)にとどまらず、ひろく、進路前方左右、特に右方の安全を確認し、自車の進行が交差道路上の交通に危険を及ぼすことのないよう十分な配慮をして、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務をも負うことは多言を要しない。
東京高裁 昭和54年12月18日
まあ、遵守率は悪いので、怠れば何か起きますよ。
ところでいまだに「自転車も横断歩道では優先」などと語る人がいますが、多数の判例を見ればそんなわけがない。
「自転車に優先権はない」けど、「横断しようとする歩行者が明らかにいない」と言えないなら減速義務があり、事故を起こせばクルマの運転者は有罪。
最近「横断歩道で自転車に譲る必要はない」みたいな動画があるみたいですが、どうも説明不足で大丈夫なのか心配になる。
「義務がない」ならわかるけど必要性は状況次第だし、そもそも「小児用の車」にも触れていない。
小児用の車に該当するおおむね6歳未満の自転車は、道路交通法上は歩行者です。
なぜか全く知られてないルールの一つなんじゃないかと思いますが、小児用の車に該当する自転車は乗ったままでも歩行者です。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
動画、何か一時停止でちゃんと止まってないように見えるけどこんなもんですかね。歩行者としても、横断している、あるいはしようとしているのに、停止しようとせずに中途半端な速度でじりじり接近したりする車が散見され、怖いことが度々あります。その事もあって、自転車の時は減速接近と、人がいたら一時停止を心がけるようにはしてますね(時々見落としがあるので、さらなる注意が必要だなとは思いますが)。
コメントありがとうございます。
あっ、動画については一時不停止になります。
一般論としての話をメインにしちゃったので申し訳ありません。
最初の自転車の義務、についてですが、この動画の場合も道路外の施設若しくは場所に出入するため、にあたるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
おそらく25条の2第1項を勘違いしていると思われますが、
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
この規定は
「車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは」
②横断してはならない。
③転回してはならない。
④後退してはならない。
「道路外の施設若しくは場所に出入するための横断をしてはならない」ではなく「横断してはならない」になります。
その上で、この自転車は「道路外の施設に出入」には該当しません。
ちょっと説明下手なんですが、自転車除く一方通行の逆を走っている自転車にも一時停止義務ありますよね?
地面にある一時停止線は車用にしか引いていないことが多く、たまに見落としてしまいます
コメントありがとうございます。
一時停止標識があれば一時停止義務がありますが、なければ一時停止義務はありません。
標識がなく停止線のみの場合には一時停止義務がないことになります。
例えば
https://maps.app.goo.gl/up7m1AQkvbGoDVj4A
この道を北から南へ通る場合足元には停止線ありませんが、上には裏向きの一時停止標識があります
この場合でも一時停止義務はありますか?
コメントありがとうございます。
一時停止標識が向いてないので義務はありません。
ただし見通しが悪い交差点なので徐行義務があります。
ありがとうございます