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自転車が歩行者の至近距離を通過をして犬を驚かせて歩行者が転倒。

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世の中にはまあまあ不思議な事故がありますが、このような判例があります。

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自転車が至近距離通過をして犬を驚かせて歩行者が転倒

判例は最高裁判所第二小法廷 平成元年10月27日。
まずは事故の概要から。

 上告人(当時16歳)は、(略)ころ、在学中の高等学校に登校するため、降雨の中、自転車に乗って、高架道路である国道250号線(明姫幹線)を走行し、兵庫県加古川市a町bc―d番地付近に至って、右国道と並行する一般道路である高架下の側道(市道)に下りるため、同所の歩道橋から歩行者及び自転車の通行可能な傾斜面を自転車に乗って西方(姫路方面)から東方(明石方面)に下降しようとした。その際、上告人は、被上告人(当時49歳)が高架下の平坦な右側道を、左手に二本の引き綱に繋いだ犬二匹を連れ、右手に洋傘をさして上告人と同一方向に向けて歩行中であるのを認めた。そこで、上告人は、右斜面を自転車に乗って下り、被上告人との接触を避けてその右側を追い抜いたが、被上告人に接触しなかったものの、被上告人の極めて至近距離で、かつ、下り勾配であるのに減速しないで惰力を利用してそのまま走り過ぎたため、被上告人の連れていた犬が驚いて不規則な動作をし、右手に洋傘をさしていた被上告人は平衡を失い、同所路上に転倒した(以下「本件事故」という。)。この結果、被上告人は、左膝内側側副靱帯不全断裂、右肘関節打撲傷の傷害を負い、入通院による治療を受けたが、後遺症として、左膝内側側副靱帯損傷、左膝棚障害、左膝蓋軟骨軟化症の症状が残った。

自転車が歩行者の「極めて至近距離を」減速しないで通り過ぎた際に、歩行者が連れていた犬が驚いて歩行者が転倒した事故になります。

 

ちなみにこれ自体は道路交通法違反になります。

(左側寄り通行等)
第十八条
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない

大阪高裁は以下を認定。

減速徐行して、その側方を充分距離を保って通過するなど、危険の発生を未然に防止する注意義務があったのに、上告人は、漫然、被上告人の右側の極めて至近距離を下り勾配の惰力を利用して減速しないで走り過ぎた過失があるから、本件事故によって被上告人が被った損害を賠償する責任があるとし、被上告人の請求を棄却した第一審判決を取り消し、被上告人が本件事故によって被った損害は(中略)であるが、本件事故は、被上告人が降雨の中を右手に洋傘をさし、左手に犬二匹を連れて不安定な体勢で歩行していたことにも起因するから、双方の過失割合を被上告人8割、上告人2割とする

自転車:歩行者=20:80と認定。

 

しかし最高裁は認めませんでした。

 すなわち、原審の確定した右事実関係のもとで案ずるに、上告人は、被上告人が公道上を、降雨の中、右手に洋傘をさし、左手に二本の引き綱に繋いだ犬二匹を連れて上告人と同一方向に歩行しているのを認め、被上告人と自転車とが接触しないようにその後方から走行して被上告人の右側を追い抜いた際、被上告人の連れていた犬が驚いて不規則な動作をしたため、被上告人が平衡を失い路上に転倒したというものであるが、右転倒は、その状況に照らし、むしろ降雨の中、被上告人が右手に洋傘をさし、左手に犬二匹を連れて人車の通行する公道上を不安定な体勢で歩行していたことに起因するとみるべきであり、一方、犬の性癖等は様々であって、ことに自転車で接近したときの犬の反応動静を予測することは一般的に困難であり、特段の事情がない限り、犬が驚いて不規則な動作をすることによって歩行者が転倒するということを予見することも困難であるところ、本件においては、右特段の事情を認めることができないのであるから、上告人には本件事故につき不法行為法上責められるべき注意義務違反はないものというべきである。

 

最高裁判所第二小法廷 平成元年10月27日

最高裁は歩行者の過失と認定し、二審判決を破棄。

個人的に思うこと

二審判決が見つからないので詳しい状況は不明ですが、若干疑問なのは

被上告人との接触を避けてその右側を追い抜いたが、被上告人に接触しなかったものの、被上告人の極めて至近距離で、かつ、下り勾配であるのに減速しないで惰力を利用してそのまま走り過ぎた

十分非接触の誘因事故と見なせるような…

 

なお、歩行者の横を通過する際は十分な側方間隔を取り、場合によっては徐行(歩道ならそもそも徐行義務がありますが)。

 

裁判なんてしたら面倒になるし、事故さえ起こさなければ裁判にもならないのです。
何か起きそうなときには減速、徐行、十分な側方間隔、場合によっては掛け声。

 

何もないようにしたいですね。
まあ、かなり特殊なケースな気がしますが。
ちなみにサイクリングロードで歩行者が不満に感じるものナンバーワンは、「自転車が至近距離をビュンビュン通過する」です。
まず間違いない。

 


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