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ドア開け事故と自転車の過失。

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一般的な話になりますが、クルマのドアが突然開いてドアアタックされた場合、クルマの過失が100%。
ただし自転車側が容易に回避可能な事情がある場合には自転車側にも過失が付くことがあります。

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ドア開け事故と自転車の過失

判例は大阪地裁 令和3年1月12日。

 

まずは事故の態様。

・クルマは転回し、道路左側端から2.9m空けて停車(ハザード無し)。
・自転車はゆっくりとした速度で進行していたが、停車中の被告車の左側に2.9m空いていたことから、被告車の左側50センチのところを通過しようとした
・突然ドアが開いて負傷。

これについて以下の過失割合としています。

クルマ(ドア開け) 自転車
90 10

クルマと道路左側端の間に2.9mあるにもかかわらず、被告車の左側50センチのところを通過しようとしたことについて18条1項(左側端寄り通行義務)の過失があったとしています。
ザックリ言えば、もっと左側端を通行すれば回避可能という意味。

 

ところで。

そもそもの話

この判例によると、道路左側端から2.4mを通行したことが18条1項の違反になる…とも取れますが、普通に考えれば「このような状況においての話」なので、道路左側端から2.4mの位置を通行することが必ず違反になるわけでもありません。

 

そもそも「過失」について勘違いしている人は多いのですが、過失≠道路交通法違反です。
過失は予見可能性と回避可能性の問題なので(意味合いとしては不注意のこと)、仮に18条1項の義務違反がないと判断されたところで、被告車の左側に2.9mもあるのに被告車のすぐ横50センチを通過しようとしたことは過失になり得ます。

 

以前挙げたこちらなんですが、

路線バスと、子供が乗る自転車の衝突事故です。
路線バスは優先道路を進行していて徐行義務(42条1号)がなく、しかも対向車線が信号待ち停止車両で死角になっていたことから無過失を主張しています。
42条1号は左右の見通しが悪い交差点で徐行義務を課してますが、優先道路を進行する場合には免除している。

 

裁判所はバスについて、優先道路を進行していたのだから42条1号の徐行義務はないとしてますが、路線バスの運転者として住宅や学校があることをよく知っていたのだから、死角に当たる非優先道路から飛び出しが予見可能だとして徐行していれば回避できたと判断。

 

道路交通法42条1号の徐行義務はないとしながらも、結局は予見可能だとして徐行義務違反を認定しているわけです。

 

過失って道路交通法違反の正否を争うわけじゃないので、道路交通法42条1号の該当性が否定されても、実質的には42条1号と同じ徐行すべき注意義務を怠った過失を認定するわけで。

 

で。
以前挙げたこれ。

 

自転車に対し、27条【追いつかれた車両の譲る義務】を認めた判例。
堅苦しい話が続いていますが、一つの参考になるかと思いまして。 自転車の場合、道路交通法27条の【追いつかれた車両の義務】は適用外です。 これは刑事事件として取り締ま利される対象ではないというだけで、民事では認めた判例もあります。 事例 判例...

 

いまだに勘違いしている人がいますが、相手方から27条の主張があったときに、27条の解釈についてひたすら反論して「自転車には適用されない」と主張したところで、別に変わらんのです。
27条は自転車には関係しないと判断されたところで、並走状態に陥った以上は回避可能なら避けるべき注意義務があるわけで、27条と同様の注意義務について検討されるだけなので。

 

だから攻撃防御ガー!とか的外れなところに発狂する人をみると、全然わかってないんだなと。

 

刑事の過失運転致死傷にしても、道路交通法違反の正否を争うわけじゃない。
たまたま道路交通法の具体的義務が過失運転致死傷における注意義務違反になることはありますが、道路交通法違反がなくても過失運転致死傷は成立する。

 

冒頭の件にしても、わざわざ18条を持ち出さなくても自転車側にも予見可能性と回避可能性があるなら過失相殺するだけのこと。

 

道路交通法何条がどうのこうのにこだわりすぎる人をみると、大丈夫なのか心配になります。
道路交通法の解釈として「自転車には適用されない」と判断されたところで、予見可能性と回避可能性があるなら「否定された道路交通法の義務」と同様の注意義務違反を認定されるだけなので、本質的には関係ないのです。

 

例えばこれにしてもそう。

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

原告側が道路交通法の具体的義務違反がないことを主張して、しかも被告側の解釈の誤りを指摘してますが、裁判所も道路交通法の解釈については原告の主張を支持している。
けど予見可能性から同様の注意義務違反を認定するわけで。

 

何条がどうとか「過失(運転)致死傷」や民事ではそこまで大要素じゃないのよね。
ましてや道路交通法違反について争うわけではなく過失(不注意)についての話なので。

 


コメント

  1. しまなみ最高 より:

    高校生の時に、軽トラの右脇を通学の為に通った際、ドアがいきなり開いてかなりの怪我をした事があります。
    その時の天候は雨で合羽を着て走行していたのですが、雨でお互い見難い状況下でドアの近くを通った自分にも悪い点があるよね、という話を親とした覚えがあります。
    交通法規上では車の方が悪くても、怪我をするのは自分なのだから、最大限自分を守る運転をしなさいと。

    ルールを皆が知って走るのも勿論大切ですが、「どうやったらお互い安全に行けるか」にもう一度みんな戻って安全に運転して欲しいなあと思います。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      基本的には離れて通過すれば問題は起きませんが、確認不足でドアを開ける人もいるのはやめて欲しいですね。

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