ちょっと前に頂いた質問なのですが、
要はこういう話ですよね。
Contents
どちらでも間違いとは言えない
これ、例えば手前にも横断歩道がある場合には、こうなります。
横断歩道Aに対する停止位置は横断歩道の直前、つまりは交差点内になります。
たまに「交差点内だから駐停車禁止だからダメ」と勘違いする人がいますが、これは駐停車ではなく「法令による一時停止」なので問題ありません。
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
で、これ。
交差道路があまりにも狭く、横断歩道と停止線が離れてない場合には別ですが、基本的にYで構いません。
理由というほどでもありませんが、仮に交差道路から左折進入した場合、横断歩道に対する停止位置はYですよね。
Xが横断歩道に対する停止位置になるわけではない。
交差道路から進入した場合と、そうでない場合で停止位置を変える理由もないので、Yで問題なし。
かといってXが間違いというわけでもない。
38条2項に「横断歩道直前に停止車両がある場合の一時停止義務」がありますが、
第三十八条
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
38条2項でいう「その手前の直前」とは、横断歩道から5m程度と言われます。
停止線から5mではありません。
要は横断歩道と停止線の位置関係を見た時に、横断歩道と停止線が5m以上離れていたら38条2項などの関係からしても不都合。
Yで構わないです。
なお参考までに、「交通規制基準」ではこのようになっています。
舗装された道路に横断歩道を設置する場合は、原則として、横断歩道(交差点の流出部等にある場合を除く。)の1~5メートル手前に、停止線を設置すること。
あまり横断歩道と停止線が離れてしまうと、不都合なのです。
やや分かりにくい
まあ、現実的にはXで停止する車両もいますし、それを間違いというわけでもないのですが、あまりにも横断歩道から離れて停止されても、あまりにも横断歩道に近すぎる位置で停止されても、歩行者は横断しにくいみたいな研究があった気がします。
現実的には「横断歩道から2、3m手前」に停止すると歩行者的には心理的な圧迫もなく横断しやすくなる…みたいな。
まあこの手の問題は本質で考えるべきと思っていまして、止まることが第一。
Yの位置で停止すると、交差道路からガンガン左折してきて歩行者が横断できなくなるみたいな意味不明な状況にもなるし、対向車がガンガン右折していって意味不明な状況にもなります。
横断歩道の停止線は昭和46年改正道路交通法で誕生してますが、昭和39年頃から国会では「停止線を作るべき」とされながらも、なぜか警察庁が渋っていたフシがあります。
第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第43号 昭和39年5月12日
○秋山委員
(略)
いま世間でいろいろ言われていることの一つに、横断歩道の手前と言うのですか、そこで停止線があるところと、ないところがございます。しかし、停止線のあるところはまあまあとして、停止線のないところでは、自動車がかなりなスピードできて、直前でぴたっととまる場合があります。そうすると、車と人間とぶつかればどちらが損をするか、おっかないか、危険があるか、これもおのずとわかってくるものですから、やはりこちらが遠慮している。それに今度は、運転者のほうはそれが気持ちがいいのかもわかりませんけれども、それらに対して、おもしろ半分ということはないかもわかりませんけれども、そういうことが往々にしてあるのではないかという心持ちもしてまいります。したがって、世間の人たちがいま言っていることは、あまり身近でとまることによって気持ちの悪さが感じられてまいるということであります。ですから、停止線がないところでも何メートル前でとまるべきであるということがどこかに織り込んであるのかどうかお尋ねを申し上げたいと思いますし、なければこれはどこかにつくるべきではないかとも考えますので、お答えをいただきたいと思います。
○宮崎説明員 ただいま御指摘の点は、現行法令のもとにおいては、直前において停止すればよろしいということになっております。なお、御指摘の点は、いろいろ問題がございますので、将来の問題としてただいま部内で検討をいたしております。
何の問題があったのかは明らかではないのですが、昭和42年頃には道路交通法上は横断歩道に停止線が規定されてないけど、任意の目安として停止線があったようです。
第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 昭和42年7月4日
○鈴木(光)政府委員 横断歩道は歩行者が歩いておりますので、自動車が停止した場合に、歩行者に危害を及ぼさないという範囲を、抽象的に申しますればそういうことになるわけでありますが、私どものほうで規制の基準をきめておりまして、横断歩道の直前に停止線を引いてございますが、あれは私どもの基準では大体二メートルないし三メートルというところに線を引いて、そこを停止線にしなさいというふうに内部で基準をきめております。
今でいう実証実験を経て正式に停止線にしたものと思われますが、何を懸念していたのかはよくわかりません。
おおむね横断歩道と停止線が5m以上離れていたら、その停止線は横断歩道に対するものではないと思われますが。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント