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理不尽な「自転車の信号」。

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こちらの続きです。

 

人間の解釈って…「特定の交通」とは。
ちょっと笑った件。 これがついているときは、歩道通行自転車、車道通行自転車ともに歩行者用灯器に従うことになりますが、根拠は施行令2条5項。 5 特定の交通についてのみ意味が表示される信号が他の信号と同時に表示されている場合における当該他の信...

 

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クソデマ

平成30年施行規則改正ガー!などと全く関係ない話を根拠にするアホがいるみたいですが、正しくは下記の通り。

 

警察庁の解説。

(1)信号機に従う義務
自転車は、道路を通行する際は、信号機等に従わなければいけません。
特に、横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用信号機に従わなければいけません。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/img/3-13.pdf

交通の方法に関する教則

(1) 信号が青になつてから横断しましよう。

なお、「歩行者・自転車専用」と表示されている歩行者用信号機がある場合や横断歩道を進行する場合は、歩行者用信号機の信号に従わなければなりません。

福岡県警。

https://www.police.pref.fukuoka.jp/data/open/cnt/3/15517/1/jitensyasingou.pdf

平成30年施行規則の改正なんて何の意味もないのにね。

 

以上、「歩行者自転車専用」の補助標識があるときは、歩道通行自転車、車道通行自転車ともに「歩行者自転車専用信号」に従うと解釈する以外にはない。

 

そもそも「その間違っている解釈」を取ると他の解説やらと整合性が取れなくなることに気がつかないのもいかがなものかと思いますが。

見えなきゃ無効

その上で、交差点手前の段階で「歩行者自転車専用」の補助標識が見えないなら、見えない標識は無効です。

 ところで、道路交通法施行令七条三項には、公安委員会が道路標識を設置するときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように設置しなければならない旨を規定しており、このことに鑑みても、道路標識は、ただ見えさえすればよいというものではなく、歩行者、車両等の運転者が、いかなる通行を規制するのか容易に判別できる方法で設置すべきものであることはいうまでもないしかるに本件道路標識は、前示のように、本件交差点の南東角にある元A銀行建物の角からfを約四・七米も南に入つた場所に設置されていたばかりでなく、その標識(矢印をもつて一方通行の方向を示しているもの)は、正確に西を指示しておらず、約四〇度も西南方を指示していたというのである。そのうえ本件記録によれば、本件当時、fも北から南への一方通行と指定されていたこと、本件標識のすぐ前(交差点寄り)にはfの駐車禁止をも示すものと認められる道路標識があつて、本件標識はその背後に一部重なり合うようにして設置されていたことが明らかであるから、その設置場所、設置状況にてらし、本件標識か、eの東から西への一方通行を明らかに指示するものとはとうてい認められず、むしろfの北から南への一方通行を指示するもののように見られるのである。このような標識の設置方法は、道路交通法施行令の前記法条に違反するものであり、右標識によつては、fを南下して本件交差点を左折し、eを東行しょうとする車両等の運転者に対し、eの東行を禁止する旨の通行規制が、適法かつ有効になされているものということはできないといわなければならない。したがつて、被告人が、本件道路標識を見落して、eが東から西への一方通行と指定されていることに気付かず、右道路を東に向けて前記原動機付自転車を運転通行したとしても、なんら過失による車両等の通行禁止、制限違反の罪は成立しないものというべきである。それにもかかわらず、本件道路標識が、右eの東から西への一方通行のみを指示しているものであることは疑いを容れないところであるとし、その設置が違法でないことを前提として、右の罪が成立するものとした原判決および同判決の維持した第一審判決は、事実誤認、ないし法令の解釈を誤つて被告事件が罪とならないのにこれを有罪とした違法があり、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、刑訴法四一一条一号、三号により、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。

 

最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月15日

「歩行者自転車専用信号」があれば、全ての自転車は「歩行者自転車専用信号」に従う(施行令2条4項、5項)。
しかし交差点手前の段階で「歩行者自転車専用」の補助標識が視認できないなら、補助標識の効力がなくなる。

 

で。
現実問題としては、少なくとも私は明らかに視認できる場合を除き「歩行者自転車専用信号」は注視して探しません。
現実的にも取締り対象にしてないことが多いですし。
ただし、信号に従う義務(交通法7条)は過失犯の処罰規定があるので、違反切符を切られても文句言える立場でもない。

両方の信号を睨みながら進行する方が危ない。

 

ただし、「事故になった場合」については正直別です。
余裕で過失認定して過失相殺のネタにされます。

 

要はこの件、仮に違反切符を切られても99%は不起訴だし(前科がなければ確実に不起訴)、刑事責任はまあまあどうでもいい話。
民事責任はまあまあ被ることになるので、きちんと理解した上で「歩行者自転車専用信号を注視する方が危ない」と思うならそれはそれ。
ちゃんと理解してないままおかしな解釈を鵜呑みにしていたら、いざ問題が起きたときには無駄に揉める。

 

きちんと理解した上で改正を促すのと、デタラメ解釈を信じるのでは違うのですよ。

ついでに「対面」の話

こういうデタラメを語る人でも、自転車道路交通法研究会の常務理事だそうですが、

施行令2条でいうところの「対面」の話。

 

平成20年施行令改正前までは、横断歩道を通行する自転車が従うべき信号機は「車両用三灯式」でした。

「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について|e-Govパブリック・コメント
パブリックコメントの「「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について」に関する意見募集の実施についての詳細です。

イ 横断歩道を進行する普通自転車が従うべき信号灯火を定めることについて

 

この項目に対しては、
○ 自転車に乗ったまま横断歩道を通行することはできないはずであり、また、自転車で横断歩道を通行することは大変危険。
といった御意見がありました。

今回の改正は、道路交通法の一部を改正する法律(平成19年法律第90号。以下「改正法」といいます。)により、例外的に歩道を通行することができる普通自転車の範囲を明確化したことに伴い、自転車横断帯が設置されていない交差点において、これらの普通自転車が横断歩道を進行して道路を横断することが見込まれることを踏まえ、横断歩道を通行する普通自転車が従うべき信号を車両用でなく歩行者用灯器とするものです。
道路交通法においては、普通自転車が横断歩道を通行することを禁止する規定はありませんが、横断歩道は歩行者の横断のための場所であることから、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)において、横断歩道の通行について、歩行者の通行を妨げてはならない旨を周知し、歩行者の安全確保を図ることとしています。

 

警察庁パブリックコメント

歩道にいる自転車が「対面する」車道の信号に従うルールでした(平成20年までは)。
平成20年以前の判例でも、歩道通行自転車が横断歩道を通行する際に従うべき信号機は車両用三灯式としている↓

 

なぜ?「自転車は横断歩道を乗ったまま横断しちゃダメ」という説が定着した理由。
いまだに「自転車は横断歩道を横断するときに、乗ったままではダメ」と理解している人がいます。 これは誤りでして、 同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せない 平成30年1月18日 福岡高裁 このように、自転車に乗...

 

つまり施行令2条の「対面」とは、同一進行方向なら全部を指すのよね。
「正面」じゃないのよ。

この団体のいい加減さにも毎回ビックリするが…

 

なので車道通行しようと歩道通行しようと、「歩行者自転車専用」の信号があるならそれに従うルールになるのは自明ですが(施行令2条4、5項)、先に書いたように切符はあり得るけど起訴はまずあり得ません。
つまりは事故ったときの民事過失割合に影響する程度ですが、実態に合わないから守らないのはその人の勝手。
しかし過失相殺など責任を負うのは事実。

 

それを理解して、おかしな補助標識なら「紛らわしいから外してプリーズ」と管轄署にお願いしたりするしかないのですよ。

 

誰かがいずれ不利益を食らう構造なので。
ワケわからん法令解釈する人たちにはウンザリしますが、自分都合の法令解釈をして正当化するよりも、おかしな補助標識自体を外させないと意味がない。

 

と、いう話を書いたつもりなんですが、

 

難解なルールが自転車の動きをおかしくする。
さて質問です。 この場合、誰に何の違反があるのでしょうか? 正解はCMのあと、すぐ。 正解は これは正直なところ自転車からすると酷なんですが、自転車の信号無視になります。 理由はシンプルで、歩行者用灯器に「歩行者自転車専用」がついているため...

 

ルールを曲解するよりも、ルールはルールで理解した上で「外して」と陳情していく問題なのでは?
ワケわからん屁理屈を使ったところで、いざ事故が起きて裁判になれば屁理屈なんて論破されておしまいなのだから。


コメント

  1. 元MTB乗り より:

    歩車分離で、スクランブル状態しか見た記憶のない、歩行者自転車専用信号の交差点があるのですが、とても信号通りに渡ると歩行者が危ないので、敢えて無視している所があります(基本的には探さない事にして守ってないので、ここに限らずですが)。こういう信号ってどうなんですかね。ママチャリ向けだと悪くはないのですが、車道走るロードバイクとは相性が悪いなと思ってます。車道走ってると、側面の信号を意識することはないだろうし、自動車の信号に従った方が、歩行者に対しては安全にみえます。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      それはおっしゃる通りで、そもそも自転車と歩行者を交錯させたら事故るだけです。

  2. SHINKO より:

    歩行者自転車用信号が赤で車両用が青そして自転車で交差点に入り対向右折車と事故って助手席の人やまたはオートバイのライダーが怪我したりしたら自転車が加害者になるから行政処分無しって事は無いと思いますがどうなんでしょう?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      ええと、自転車に行政処分という意味ですか?
      それともオートバイやクルマに対する行政処分ですか?

      前者はそもそも行政処分が存在しませんし、後者は状況次第になります。
      回避可能性がないなら行政処分がつかない可能性もありますし、回避可能性があるなら交差点安全進行義務違反がつくかと。

  3. SHINKO より:

    すみません行政処分で無くて罰金ですね。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      んー、他人を怪我させたときに自転車乗りが「過失致死傷罪」や「重過失致死傷罪」に問われることはあります。

      信号無視の件ではありませんが、逆走自転車と衝突した自転車が過失致死傷罪や安全運転義務違反で書類送検された事例や、実際に有罪判決になった事例は知ってますが、理屈の上では過失致死傷罪や重過失致死傷罪になり得ます。

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