普通自転車専用通行帯(20条2項、以下「自転車レーン」)については、駐停車車両が「邪魔」だというのはごもっともな話。
ほとんどの自転車レーンについては、「駐車禁止」の道路標識がついていて「駐停車禁止」の標識はついていないと思うので、実質的には
になると思う。
ところで。
※以下、駐車禁止、停車は問題なしの前提で書きます。自転車レーンの中には駐停車禁止に指定されているところもありますが。
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自転車レーンと駐停車問題
理屈の上では違法駐車は厳禁、停車はOKになるわけですが、停車の規定ってこれ。
第四十七条 車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
「できる限り左側端に沿って」なので、ルールに基づいて合法的に停車するとなると、必然的に自転車レーンを塞ぐことになります。
ルールに従うと自転車レーンを塞いで停車する仕組みなわけで、最初から自転車レーンは塞ぐ前提なのよ。
そうすると問題点はここ。
・ポールを立てるなど自転車レーンに進入できない構造にしない道路管理者(警察含む)が悪い
現実として、自転車レーンに停車できないようにポールを立てている自転車レーンはあるし、
国立の大学通りの自転車レーンなんて、謎のプランターで自転車レーンを仕切っている。
これらの場所で停車が禁止されていないなら、「できる限り左側端に沿って」停車するにはポールやプランターの右側になるわけで、必然的に自転車レーン内には駐停車不可能になります。
要はなぜ道路管理者や警察がポールを立てることに消極的なのか?が問題なわけで、「なぜ」なのかが問題。
事実として自転車レーン使用者から「ポール立ててくれ」との陳情があっても、道路管理者と警察の話し合いで潰されるケースはあります。
ルールに従って停車すれば自転車レーンを塞ぐことになるし、かといって自転車に乗る立場からすれば「停車車両が邪魔」になる。
「なぜ」ポールを立てることを渋るのかについては多少は理由を知ってますが、現実問題として駐車禁止の標識を立てたところで守らない人は守らないし、ましてや外交官特権を盾に好き放題やる方々すらいることを考えると、現状の最適解は「ポールを立てる」になるでしょう。
まあ、ポールが途切れた部分に違法駐停車されるオチもあるみたいですが、そこは取締りで対処するしかない。
※この位置は交差点内(T字路)だから自転車レーンとポールが途切れています。
ルールに従うと停車車両は自転車レーンを塞ぐことになるのだから、法律が悪いか、構造が悪いか。
停車が合法であれば、自転車レーンを塞ぐ車両の運転者を責めるのはお門違い。
ルールに従っている人を非難し出すと、それこそ「自転車は邪魔だから歩道を走ってろ」という人と変わらないことになる。
もう1つ疑問
個人的にはこういう意見を述べる人にも疑問しかなくて、「専用通行帯」だからクルマが1mmでも通行したらダメだろ的な謎主張。
1ミリも通行しないで止めるなんて不可能だろ、ほら、小学生の喧嘩みたいになっちゃうよ。俺はいつも警察官に言ってる。「別に捕まえてくれとは言っていない。退けてくれればいいんですよ。止めるなら自転車レーンを開けて車道側に止めてくれれば。」って。
— Johnan 城南 Rotten (@cyclepistols) October 15, 2023
もちろん誤りでして、要は停車方法として「できる限り左側端に沿って」(47条1項)と指定されている以上、20条3項でいう「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」として最低限の範囲で通行することを認めていることは、法律を読めばわかると思うのですが…
第二十条
3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
小学生の喧嘩みたいになっちゃうのは単に法律を理解しないまま屁理屈をいうからであって、こういう人はどこに問題があるのか理解してないのではなかろうか。
法律上はルールに従って停車すると自転車レーンを塞ぐことを求めているわけだし(できる限り左側端に沿って)。
きちんと理解しないまま屁理屈を語る典型例。
その上で
要は駐車禁止、停車禁止になっていないならそれぞれ「自転車レーンを塞ぐ形で」駐停車することを求めている法律がおかしいとも言えるし、仮にそれらを法改正で「専用通行帯の右側に」と規定したとしても、歩道に跨がる駐停車(違法)をする車両が普通にいることをみても遵守は期待できない。
なので物理的に自転車レーンを塞ぐ駐停車ができない形にするしかないけど、ポールを立てることに道路管理者や警察が消極的な事例がまあまあある。
消極的になる理由は道路ごとに違うので、それぞれについて消極的になる理由から考えないと解決しませんが、そのあたりの事情を聞こうとすると「総合的に判断した結果だ」みたいな何ら具体性がない回答で濁されてしまうので、どうにも埒があかない。
イマイチ何をしたいのかわからないこともありますが、もしポールを立てることによる何らかの弊害があるなら、簡易的な仕切りで一定期間区切ってみて実証実験してみりゃ済むと思うのですよ。
何もしないまま判断するよりも、懸念材料があるなら一度やってみて生のデータを取れば済む話なんですが。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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